「正直どうでもいい?」

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素晴らしきかな農家の楽しさ逞しさ 『百姓貴族』2巻

百姓貴族 (2) (ウィングス・コミックス)百姓貴族 (2) (ウィングス・コミックス)
(2012/02/25)
荒川 弘

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   誰かこの親父をハリウッドへ連れて行け!! 荒川弘先生の農家エッセイ漫画「百姓貴族」2巻が発売されています。 1巻から実に2年以上ぶりに発売された新刊です。待ってましたよ! とは言え、なんだかメチャクチャ久しぶりともあまり感じないのは「銀の匙」がサンデーで連載しているからでしょうかね。テーマは同じく農業ですし。 では感想でも。 1巻はこちら→農家の常識は社会の非常識?農家エッセイコメディー『百姓貴族』1巻


自分はリアルで農家の方と縁があるわけでもないですし、北海道とはきっと全然違う気候にある愛知県に住んでいます。なのでこの作品を読むと、なんだか発見ばかりがあるんですよね。 農業に関してや荒川先生の父親の笑い話としてだけでなく、普通に勉強になるトリビアがずらりずらり並んでおり、工夫が凝らされたエッセイ漫画だなぁと思います。 8から10ページほどの短い連載なので、この2巻では12話とオマケを収録。 1巻もかなり濃い内容でしたが、2巻もまだまだおなじみのノリで突っ切って行きます。 前回で本作を面白いと感じた人ならば今回も楽しめるでしょうね。 今回も面白かったエピソードばかりなのですが、特にツボだったのがオス牛の話。 百姓貴族 ほとんどがお肉になってしまうオス。長く生き残るにはエリートである種牛になるしかない! 種牛というからしはもちろん種を出さなきゃ仕事にならんわけですが、しかしエリート種牛のその仕事ぶりは・・・。 今回で初めて知ったのですが・・・これはなんというかすごくシンパシー(どういうことだ)。 擬牝台と言われる台にのしかかりソノ気になったオス牛に、人口膣をあてがって精子を採取するというのです。選りすぐりのオスであるはずなのにこれってようするに相手は 百姓貴族2 まぁ効率重視ならこういうのが1番だよね・・・。 ちなみに採取した精子をメスに入れるときの方法も描いてありましたが・・・これもなぁw 牛の話だとほかにツノ切りのエピソードもありまして、これも面白かった。 というか焼いて止血ってすげえな。・・・ハッ、そういえばハガレンにもマスタング大佐が自分で傷口を焼いて止血したシーンがあったな・・・。 しかし一番にインパクトがあったのは親父殿ですよ! 2巻はオビでも荒川先生の父を大プッシュですし、実際なんだかこの作品では人気あるようで。まぁこれだけ濃いキャラ見せられたらそりゃ面白いし好きにもなるわなと。 橋を目の前にしてそれが壊れていることに気づいた親父。急ブレーキか!否! 百姓貴族3 飛んだー! どんなスタントマンだよ親父すげーな。やはり荒川先生が生む親父キャラの力強さはこの人から得られた部分も大きいのだろうか・・・。 傍若無人で適当で、でもなんだかちゃんと筋は通っているお父様。 家族からもなんだかんだで愛されているような感じは伝わってきますねw


さらっとですがそんな感想の「百姓貴族」2巻でした。 農家出身である荒川先生ならではの、楽しい一冊になっています。 笑い話っぽく描かれていても現実にはすごくシビアに命を扱った内容でもあって、こんな世界で育っていたからこそのあの骨太な作品たちなのかなぁと思ったりもします。 前にも書きましたが、作家さんのルーツを知れるというのはやはり面白い。 「銀の匙」と「百姓貴族」が違うのは、やはり主人公が荒川先生自身であること。 現実の出来事なのにここまで面白いのは、荒川先生の腕はもちろん、生活から切っても切り離せないほど恩恵にあずかっているのにその実体がよくわからない、農業という世界の奥深さもあるのかな。自分が無知なのもありますが、新しい発見をできるというのは楽しい。 牛乳プリンだったりラグビーカボチャだったり、「一般人は食べられることは無いだろうけど実は超おいしいですよ」ってエピソードもちらほらあって、羨ましいやらドヤ顔感が恨ましいやらw 3巻はまたしばらく後になりそうですが、楽しみですね。 『百姓貴族』2巻 ・・・・・・・・・★★★☆ 発見と遊び心(パラパラ漫画とかも)が詰まった作品。荒川先生ファンなら読みたい1冊。