2024年リリース音源からBEST30曲選んだ
2025年になってた。あけましておめでとうございます。
友人たちとの間で年間の楽曲まとめをやろうという話になっていたけどすっかり出遅れてしまった。先週の3連休でようやくまとまった気がする。12月にいい曲ですぎ。
せっかくなので個人的なコメントも書いていきます。
文章は定量ではなく、楽曲順はなんとなく流れを作っただけで順位ではないです。
↓プレイリスト(spotifyで作成)
- 青春謳歌 (feat.ano)/幾田りら, ano
- UNITE/結束バンド(伊地知虹夏)
- Luna say maybe/月村手毬(初星学園)
- Footprint (feat. YONCE)/TAIKING
- ウチは泣きそーです/The Otals
- 一雨 feat.諭吉佳作/men
- ランタノイド/水槽
- SOUP/VΔLZ
- 入水/sidenerds
- 一角獣/小雨ちゃん
- MORE and MORE/ルンルン
- nichijou:loopmania/lilbesh ramko
- 群青イニシエーション/レトラ(vα-liv)
- Dazzling/明透
- 祈り (feat. 終末うにこ)/effe
- 瞳の中のシリウス/如月 千早, 桜守 歌織, 東京フィルハーモニー交響楽団
- Cosmetic/十王星南(初星学園)
- どうせ/日高零奈(電音部)
- ビビデバ/星街すいせい
- 仮装狂騒曲/倉本千奈, 篠澤 広, 月村手毬(初星学園)
- Learn To Swim/星宮とと
- 片依存 - ESME MORI Remix/とた, Daoko
- Will you marry me ?/清 竜人25
- ふれてゆれて/宮野弦士
- さみしい惑星/mekakushe, 長瀬有花
- ナイトシンク/FINLANDS
- イエロー/Cody・Lee(李)
- 透明/Laura day romance
- ルララルララ/桜乃美々兎(電音部)
- こぼれてしまうよ/YUKI
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青春謳歌 (feat.ano)/幾田りら, ano
劇場版デデデデよかったですね・・・。後章の主題歌であり実質作品全体のエンディングとして流れてきた時、もうその頃にはシンガーとかアイドルとかではなく演者として、門出とおんたんの2人のキャラソンのように制作されているのが嬉しくて、うっかり泣けてしまった。
楽曲としても愛おしく、見事に作品の空気感とその先をにじませた歌詞も素晴らしい出来。ANNで弾き語りしたときの映像も好き。
UNITE/結束バンド(伊地知虹夏)
メロコア好きの虹夏ちゃんがめちゃめちゃ楽しそうにバスドラ踏んでるのが伝わってくるフォーリミ初の楽曲提供。このアルバム自体、どのバンドマンが参加するんだ!?と情報解禁からして楽しませてもらった良企画でしたね。ACIDMANがACIDMANすぎる。この曲も滅茶滅茶フォーリミなのでGENの声で脳内再生できる。その上でキャラクターに寄り添った展開・歌詞になっているのがお見事。
「っる!」「るぅ↑」「rる!」といろんなかわいい「る」が聞ける。
あとリスアニにインタビュー記事で味が5倍するようになります。
Luna say maybe/月村手毬(初星学園)
学マスとかいうオタク生活の天変地異。ゲーム、楽曲、キャラコンテンツの全方面で強力すぎるスタートを切った。毎日1曲ずつソロ曲とそのMVがリリースされていたときのお祭り感、忘れられない。
油断するとかなりの学マス曲を入れてしまいそうになったので最初のソロ曲群の中からは選抜して手毬曲。異常にリッチな出来栄えのMV、詰め込んだ歌詞、破れかぶれに疾走するメロディ、完全にヤリにいってる。オタクを刺しに来てたよ。
ゲーム開始前と後であまりにも歌い手の印象が変わったけど・・・それも2度おいしいということで、ひとつ。
Footprint (feat. YONCE)/TAIKING
Suchmosのギタリストとボーカリストがタッグ組んで制作した楽曲。
いま思えば再始動に向けた伏線のようなリリースだったのかもしれないけれど、サチモス曲ではあまり見られないタイプの情緒的な色彩を感じられるムードでとても好み。サチモス曲として見られないように本人たちも苦心したそうだが、成功していると思う
PVもかなりカッコいい。YONCEとかいう同学年のアイコンみたいなミュージシャンがどんどんカッコいい事してくれるの、素朴に嬉しい。
ウチは泣きそーです/The Otals
胸キュンポップス+シューゲイザーサウンド、オタルズの魅力がぎゅっと詰まった泣き要素ムンムンの名曲。
「結局大人になったって背丈はあんま伸びんかった」というフレーズから宿る心の痛みが気持ち良すぎる。アウトロの泣きのギターソロも青々しく染みる。25年ライブ見に行きたいバンド。2月にやるフィーバーでやるイベント行きたかったなぁ・・・。
一雨 feat.諭吉佳作/men
アイドルソングとしての美しさ、完成度。語ることを避けられない2024年の重大楽曲だと思っているんですが、諭吉佳作さんの活躍が各方面で目覚ましいことも印象深い。
今回リストにいれたのは諭吉佳作が歌唱しているバージョン。本人制作曲もポップと前衛要素の融合がたのしいのだけれど、純粋にシンガーとしての魅力もハッキリと感じられる気がしてとても気に入っている。
本家の方と合わせて雰囲気の違いを味わってみるのもよし。↓
fishbowlとしては遅れて公開された「茶切cute side」の茶畑の妖精みたいなMVが大変にかわいくてヘビロテしてたんですが、楽曲リリースはもっと昔だったので今回はリストに入れられず。
でもド名曲なので聞いてみてほしい。間奏~ラスサビのトランペットがマジで泣けるので。ありがとうヤマモトショウ。
ランタノイド/水槽
水槽さんも躍進した1年だったのでは。ブリーチの曲にも抜擢されたし。個人的にも暴カワでようやくリアルライブを体験できて嬉しかった。
ベスト30に入れたいほかの候補曲はあったけど多分1番聞いたランタノイドを選んだ。2番Aメロの歌詞もリズム感とか気持ちいい。
ネクスト夜枠(雑な括り)として注目株になっていくんじゃないだろうか。
SOUP/VΔLZ
熱心にVΔLZの活動を追っているわけではないけれど、この曲の出来栄えは異常値たたき出していると思う。アルバムで聞いてると、急にどうしたってくらいオシャで女々しいこの曲が流れてきて、即座にお気に入りボタンを押していた。
3人のおっかけコーラスやハモりの美しさ、男性ボーカルの甘酸っぱいポイントを抑えたメロディライン、男性アイドルソングとしてめちゃくちゃハイレベルな1曲でリピートしまくりでした。「Hurrah!!」しかり、じんさんはにじさんじでいい曲書きすぎ。
入水/sidenerds
まだ活動歴は浅いが確実にファンを増やしているsidenerds。中でも1番好きな曲が入水。
ベルトパンチというオルタナロックバンドがあるんですけど、どうやらそこのフォロワーのようなバンドらしいぞという雑な触れ込みから聞いてみたところまんまとハマるという。
イントロのうねるようなギターリフの分厚さ。イノセントな感触をのこすウィスパーなボーカル。これだよこれ!とヨダレ振りまきながらアイドルソング沼からインディーギターロック界に戻ってきてしまった。最高。
一角獣/小雨ちゃん
陰キャ宅録インディーロック、ART-SCHOOLの遺伝子を継ぐもの、会社で事務員やってる、小雨ちゃんさん。最新アルバムもとてよかった・・・でも初めて聞いたこの曲の重く儚げな雰囲気がいまだに心に焼き付いており、一角獣を選択。
気持ちが晴れるとかではないけれど、なにか抱えきれなくなった夜に聴くある種のヒーリングミュージック。眠る時に流すとさみしくやさしい気持ちになれる。
MORE and MORE/ルンルン
ちょっと久しぶりにきたにじさんじの謎ケモノ枠。社会の負傷者に向けた痛みを分かつリリックでヒリヒリした僕らの心に一杯くれるDJちょま。
最近でてきた「新天体」もまじでヘビロテ。おもしろアニマルみたいなツラしてやってるクリエイティブが半端じゃない。化け物です。
nichijou:loopmania/lilbesh ramko
ラムコの曲ってとにかく快楽的なのだ。気持ちよく叫んで、気持ちよく踊れて、けれどどこか自傷の恍惚にも似た後ろ暗さと悲観によって成立する。
つい最近ライブにも行ったのだけど、ただただ熱狂という具合で会場ごと爆発しそうなテンションになってて圧巻だった。
ただ現場でいかに盛り上がろうとも、一人で部屋で聴くのが1番いい。そう思いたい音楽。インターネットを飛び出して、ライブを通じて、あなたとだれかとぼくの部屋の距離がわずか近づく。
群青イニシエーション/レトラ(vα-liv)
ヴイアラ、念願のソロ楽曲はどれも個性がバッチリ。中でもレトラの曲は静と動のゆるやかな以降が心地よい。間奏で聞こえてくるコーラスがとても美しく、天使の呼び声のような風格がある。
12月にあったアイマスエキスポ以降、パフォーマンスや曲を通じてファンが拡大した手応えがある。
従来のアイマスアイドルは一線を画す性質を持ったヴイアラだからこそ、新しい地平を切り開くアイマス界の実験場として活躍してほしい。そして電音部くんとはいい関係でいてほしい。
Dazzling/明透
水槽さん提供曲。明透はこういったテンション感の、憂いある曲を歌ったのグッと力を込めたハスキーな声が刺さる。
個人的には、存流姉へ手向けた餞としての曲なんじゃないかと思っている。曲単体としても優しくも、痛みと再生を想起させる、たしかにビターな余韻を刻みつける。
祈り (feat. 終末うにこ)/effe
寝るときによく流しているeffeさんによるセカイ系コンセプトアルバムにある数少ないボーカル曲。KEYの昔のゲーソンのような眩さ、儚さ、祝福の幻覚感。
ヒーリングしつつもトリップ感ある、ノイズを効果的に使ったサウンドが見事。浮遊した途端にセカイの書き割りが少しずつ明かされるようなイメージ。
瞳の中のシリウス/如月 千早, 桜守 歌織, 東京フィルハーモニー交響楽団
24年曲じゃないだろ!というか公演も22年だろ!CD発売は23年だろ!というツッコミはあるが・・・いいものはいいんだよ!(24年末に音源配信開始)
いかなかった公演ではあるものの、およそアイマスの通常公演では味わえないリッチなストリングスの圧をビシバシを感じられる。
個人的にミリオンライブの中でもトップクラスに好きな楽曲ということもあるが、見逃されがちな青の歌姫アイドルである歌織さんの包容力ある歌唱が際立つのも好き。千早と歌織さんのからみもっと見せてくれ~(大の字に寝転ぶ)
Cosmetic/十王星南(初星学園)
年末に完全にひっくり返った。ダークホース。学マスの追加実装キャラである星南がそうそうに誕生日を迎え投下されたこの曲で「あ、そういう感じもやるの!?」と完全に脳みそブン殴られる衝撃があった。
全編フル英語詞かつ、本当にコスメブランドのCMに採用されてそうな甘酸っぱくも光沢を帯びた楽曲。アイマス世界と現実の境界線がとけていくような質感。恍惚。
会長の楽曲として出てきているのがどれもまるで方向性の異なるものであり、そのすべてを歌いこなすという無敵のプリスマステラ像がきちんと表現できるのも素晴らしい。
ただこの曲はどこかステージの上や飾られた広告の世界だけじゃなく、彼女自身の生身の部分がいくらかあるような、背伸び感というのも徐々に利いてくる。
どうせ/日高零奈(電音部)
年末のダークホース第2弾。南こうせつ(かぐや姫)の「神田川」から引用されたフレーズだったり、フォークソングのようなメロディラインが特徴的。そして駆け足にBメロを通過し、性急なサビで「どうせどうせ」と繰り返す。この病的なほどの自省と諦観とダンサブルな必殺サビの融合が心地良い。クラブじゃなく部屋で踊るナンバー。
それにして電音部のいちおうセンターキャラクターなのに、ソロ曲がいよいよ本当にしみったれてきた。本当に好きなんですけど流石にそろそろkzさんに凱旋してもらってリセットするべきなのかもしれないな。4thライブ楽しみにしてます。
ビビデバ/星街すいせい
なんのひねりも無くメチャメチャ聞いた!いい曲だ。
Vtuberという存在のメタみたいなMV、歯切れいいサウンド、見栄えするダンス、とにかく話題性を狙いすましてそれで見事にマスを直撃させたのが凄まじい。そういう裏側の仕事への称賛を曲に加味するのは少し違うかもしれないが・・・。
紅白にだって出られそうなポテンシャルはあったと思うんだけどまぁ今年もいい曲どんどん出してくれるでしょうという信頼。
仮装狂騒曲/倉本千奈, 篠澤 広, 月村手毬(初星学園)
学マス曲入り過ぎかも。でもこの曲も、いったいいつから仕込んでたんだろうかというコンポーザーのチョイスだったり話題性だったり、仕事へのリスペクトがデカい。
ゲーム的にいうとこういったシーズン曲の中でもアイドルごとのクセが大いに発揮される楽曲であり、いろんなアイドルの妖しげな歌声を楽しめるのが素晴らしい。そこも計算されている。
ハロウィン曲という限られたフィールドでここまでインパクトを残せたというの事も含め、アソビノートの制作陣がんばってるなぁという気持ち(気持ち)。
Learn To Swim/星宮とと
ひたすらに心地いい音が連続して惚れ惚れする。美メロしか存在しないのかよ。ポップスの大正解を出してしまっている。リミックス音源も多数存在するある種のオムニバス楽曲でもあり、シンプルにいいからこそこういった拡張性があるという面白さ。
TEMPLIMEとのタッグが印象的だけれど、こんなふうにいろんな人と組んでインターネット・ポップスを築き上げていってほしい。
片依存 - ESME MORI Remix/とた, Daoko
DAOKOが参加したリミックス版。
原曲も好きなのだけれど、2人の声が混じり合うことで1人の女性のなかにある2つの声が具現化したような仕上がり。ラスサビの「ねえねえ愛して」の粘着質な絡みが素晴らしい。Daokoラップのテンションがやや原曲と違っていそうだけど、そこも新しい主人公像の解釈が広がる感じ。
Will you marry me ?/清 竜人25
復活うれしすぎ!!!!!!!!!!!!!!
復活した途端に奥さん全員巨乳なのもめちゃくちゃ面白い。
スケベでシャイでスパダリな竜人のカリスマが光る新MVも美しさとおふざけが両立。令和ナイズされ大人っぽいムーディさも兼ね揃えた清竜人25。
それにしても「ファーストキッスは竜人くん♡ feat. 清 竜人」が好きだったので根本凪さんの加入はマジで嬉しかった。
完全に主役交代して踊り散らかすアイドル竜人で血流を良くしてからねもぺろの乳のデカさに集中しよう。
ふれてゆれて/宮野弦士
カワイイ×カッティグコンピレーションアルバム 『cut(e) vol.2』収録曲。小林ファンキ小林というギタリストが好きでで活動を追っていて発見した曲。しかもフィロのスなどの楽曲を手掛ける個人的ゲキアツクリエイター宮野弦士氏による楽曲。
ゆるく踊れるなかにコンセプトどおりにカッティングの小気味いいギターが絡み合う、中毒性あるダンスチューン。ウィスパーでややロウに入るボーカルがまた浮遊感を出してくれていて好きなんだよな。
さみしい惑星/mekakushe, 長瀬有花
アニメOPみたいなドラマ性と疾走感。mekakusheさんはミリオンから知った口ではあるけれどシンガーソングライターとして好きになった。
この曲はコラボで全3部作でストーリーを紡いでいく。すでに公開されているが、他2曲も合わせて聴いてみてほしい。
歌声の親和性が高くどちらが歌ってるのかわからなく瞬間もかなりある、でもその融けた感覚もまたコラボの味わいだと思う。
ナイトシンク/FINLANDS
フィンランズの王道ナンバー。好きだったら全部好きになる。特徴的なのは冬湖さんがアイドルみたいに踊りだすMV。何事だと慌てるがまぁこのMVも最後まで見ると素晴らしい出来栄え。
「嘘はつかず 嘘をつかすそれで続くファンタジー」というフレーズが見事。
2月のアルバム楽しみだなー!前作がめちゃくちゃ良かったのとすでに出てるシングル曲もマジで全部いいんだから可笑しいだろ。
イエロー/Cody・Lee(李)
コーディリーの春曲にハズレなし。しかし尾崎リノ脱退後、ファンはまた違った感覚でこの曲を聞いただろうと思う。いつもみたいな公園で聴く曲。いつもと同じようで少し違う、新しい春。
ボーカルがSNSで彼女彼女いってたのを貫いて結婚したのも2024年嬉しいニュースでしたね。
透明/Laura day romance
この優しさ、木漏れ日感。心地いいサウンドで曲の展開でゆるやかに気分を上げてくれる。Bメロ~サビでドラムパターンが変わってちょっと浮足だったようなテンポになるのも楽しい。
オシャバンドというだけの枠に収まらない、バンドの地力と表現力の高さを印象付ける。
「透明なままで二人いられたらなら わざわざこんな歌なんて」という歌詞が好き。恋する凡人とか藍二乗みたいなメタ歌詞、いいですよね。
ルララルララ/桜乃美々兎(電音部)
よかった~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~初めて聞いたときリアルに拍手しちゃった。電音部で美々兎(およびハラジュクの不和)をめぐるストーリーでかなり多くの楽曲を作られたが、そのクライマックスにあたるであろう楽曲。
ネコハカ自身によるDo you even DJ?からの本歌取りというのもオツ。
1:45くらいからの多幸感ある展開、歌詞、ポエトリーでひたすらに感情を揺さぶられる。この1曲だけの魅力ではなく、たくさんの楽曲で物語を紡いできたこのコンテンツだからこそ得られた極地、IPとしてのひとつの結晶だろう。
こぼれてしまうよ/YUKI
最初聞いたときからベスト入り確定だと思っていた。
YUKIのバラード曲ってピンとくるやつとそうでもないやつがあるんだけど、この曲はドンピシャ。
MVで歌詞も流れてくるのでぜひ見てほしい。
まるで飾らないYUKIが長尺で出演しており、笑顔も無表情も、家での自分みたいな死んだ顔だってしてる。そのむき出し感が、あまりにもプリミティな祈りを乗せた歌詞と相乗効果を生む。映像としても楽曲としても強度が凄まじく、目が離せない。
【泣きたいくらい嬉しいこと楽しいこと沢山していこう】
大きな愛情を、人生の歩み方を、言葉だけじゃなく歌として心に灯してくれる。
魂の1曲とはこういうものなのかもしれない。
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以上30曲!まぁ長ったらしく書いてしまったけど知らない曲あったら1曲でも聞いてみてほしいです。いい曲です。
絶望だっさ!『ウィーアーリトルゾンビーズ(小説版)』
いまは2024年の年末です。これは「ウィーアーリトルゾンビーズ」という小説。
監督の新作が公開されたわけでもなく、今年でた本というわけでもなく。けれど今年読んだので正月休みのうちに軽く感想を残しておこうと思う。
2019年に劇場公開された同名の映画の小説版。
先にさっくりと映画そのものについて書くとすれば、一見するとサブカル臭でむせ返りそうな作りなのにとてつもなくピュアで、生命への絶望と希望が表裏一体で表現されており、かつそんなまっすぐなメッセージをわざわざ映画に込めてしまったことの"照れ"のような仕草までは愛らしい一本。
こんな書き方したらバレバレだけどこの映画が、実はとてもとても好き。いや、好きになっていったというのが正しい。遅効性の善性がじわじわと染みていき、いつの間にか映画の人生ベスト10には入ってくるんじゃないだろうかという始末。
オタクっぽい小ネタを散りばめているのとか、瞬間的な映像快楽を追求しているような、いわゆるMV的なスピーディさも良い。古いRPGゲームをモチーフにしてかなりわかりやすくレトロ風味でバズ狙ってるような下品さも、めちゃめちゃ懐古主義的で私小説風な語り口担っていることも、人によってはマイナスになりそうな要素がぜんぶ好きになっている。SNSの光と闇!みたいな切り口も、2019年当時で言えばちょうどいい頃合いだったと思う。
(2つ不満をいうのであれば音楽映画みたいなツラして広告してたけどそれはかなり誤りだということ。もうひとつはCHAIをはじめとして実在アーティストを名前そのままに登場させないで欲しかったこと)
「はたして自分は愛されていたのか?」「祝福されながら生まれてきたのか?」その部分を直視する映画って結構恥ずかしくなってしまうのだが、この作品は小ネタや映像演出の味付けがかなり濃い目のため、逆にメッセージ性がストレートに突き刺さってくる。
メイン4人の思春期感も素晴らしいのだ。クソガキで生意気で不感症。けれど子どもじみた冒険を演じ、その中で取り戻していく。人として、子どもとして、大人としての、様々な日々を。
ラストシーンの目配せもまたシャラクセ~~~~~んだけどまぁ大好きです。こういうの。
劇場で見終えたあとのpostを見返すとめちゃくちゃテンション高くて完全にこの映画に食らっていることがわかる。
ウィーアーリトルゾンビーズ初日で見たら激ヤバエモ太郎になってしまった。は?エモいって古。今!いまいま今!!
— 漣 (@sazanami233) 2019年6月14日
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・・・という映画の、小説版のはなし(本題)
いや正直、小説として単独で面白いか?映画じゃなくこっちを読んだほうがいいんじゃないか?といったクエスチョンには普通に「NO」と返さざるを得ないのだけど・・・。映画もう5回も見ちゃったしなにか補完できることがあればいいなと期待して購入したのだった。そして追加要素は、99%なかった。(どんどんテンションを下げる)
作者は長久監督なので、ノベライズというかまぁもはやセリフ台本に近い。順当に映画本編の流れを組んで書かれている。映画とは違った角度から・・・みたいな要素はあまりない。
ただ活字で読むことで鋭さをますセリフも数多かったのでその味わいを得られたことは個人的に良かった点。
加飾された映像に翻弄される映画本編も好きだが、セリフは非常に素直なものが多いのだと発見することができた。
ぼく「このへその緒、生まれるときにさ、僕の首に巻きついて、僕を殺しそうだったらしくて」
郁子「生まれてこれてよかったね」
ぼく「そうかなーその顛末が、いまのこれだよ?」
郁子「あはは。じゃあさ、生まれてこなきゃよかったね」
両親の死によってあらゆる感覚がバグってるらしい雰囲気がよく出ていると思う。とても好きなシーン。映画にもあるやり取りだったけど何気なく流してしまった。テキストで発見できてよかった一例。
たしか自分の中学のころにも「なんで生まれてきたのだろう」と悩んだことがあった。死というものが恐ろしく、とにかく知っている人を日替わりで脳内で死んだことにして、その時どのような現象が起こるのだろうかと想像し、ワクワクしながら絶望した。クラスメイトや、家族や、一番殺した回数が多いのは勿論自分だった。
だれが葬式に来るんだろう。
誰が泣くんだろう。
みんながを僕を(あのひとを)忘れるのは、死後なんにち経ったころだろう。
直接的にそんな場面があるわけではないが、死への怖れや周囲との距離感にジクジクと苛まれる空気がこの作品にはあって、浮きぼりになっている。
なんだかあの頃の自分の感覚が、映画のなかで幽霊のように漂っているみたいだ。
おふざけ映像をテキスト化しているような場面では、面白みに乏しい説明シーンにならざるを得ない箇所もあり、いっこの文芸作品として完成しているとは言い難い。ただ映画を気に入ったのなら読んでみる価値はある作品なのでは。
この映画のメッセージは実は思春期まっただなかより、情けない現実を生きるしかない、青春のその先を歩んでいるころに、ふと輝きを放つ瞬間を待っているんじゃないか。あまりに純粋すぎるがあまりすぐには受け止めらないとしても、ひそかに未来に打たれたマーカー。
映画とはまた違った風に、言葉だけを切り取って眺めることで、とりとめなかったセリフがふいに刺さることもある。
あと小さい点で言えば映画のスタッフロール後の妄想オチみたいな照れ(と自分は思っている)が小説版では無かったのも良かった。
あれって映像で見るから「ズコーッ」みたいな面白さになると思うし、変に本編に忠実にしすぎない取捨選択がされていたのも好印象。

ブルーレイとセットで保管。ゲームボーイカラーのクリアみたいなデザインかわいいよね。
長久監督は「DEATH DAYS」でも生命讃歌を撮っていた。つぎの監督作も準備中らしいのできっと見に行きます。
寝ながら聞く・聞きながら寝る音楽アルバム
ASMR機材にお金は使いたくないが、とはいえ最近の興味はけっこうそっちに寄り始めている。
以前までは就眠のときの音楽など特になんにも用意せず、無音のなかで眠っていたものだが、ある晩にちっとも眠れず朝を迎えたとき、かろうじてスキマスイッチの「空創クリップ」を流している間は眠れたのだった。もう20年近く聴き続けている自分のなかのポップスど真ん中の1枚だ。
それから寝ながら聞く音楽をあれこれを試すようになったおよそ2年。なんとなく自分のなかでコレだというアルバムがなんとなく定まってきた。聞き方としてはアルバム単位でずっとリピート。
紹介がてら2024年のマイベスト睡眠音楽をまとめてみる。
(毎年のベストとかと違って、入れ替わることがそれほど頻繁じゃなさそうだな…)
- MAP/Tatsuya Maruyama
ギタリスト・まるやまたつや氏が2022年にリリースしたアルバム。音色がちょうどよく眠りを誘うおしゃれギターインストゥルメンタル。1曲目はリード曲っぽい明るい曲だが、2曲目以降のローファイ・アンビエントな質感に沈みこんでいく感じがたまらない。健康状態でこのアルバムを流して最後の曲まで意識を保っていられたことは少ない。
まるやまたつやさんはseventy sevenの試奏動画で知って以降追いかけている。ギター試奏動画はどれも一流のギタリストが演奏することもあるが、購入の決めてにするためなのかとにかくギターの音色がいい動画が多く、いっとき漁ることにハマっていた。
今回取り上げた「MAP」というアルバムは、アコースティックギターではなくエレキギターをメインで使用している。アコギのややアタックの強さが音に出る感じではなく、エレキならではのボワンと丸っこい音色が眠るには非常にいい塩梅。
アコースティックのソロギターアルバムもいくつか眠る時に流してみたが、曲の展開によっては鋭い音がなり意識を覚醒させられてしまうケースも多かった。
- 逃避の国/effe
今年もっともお世話になった睡眠音楽はこのアルバムに違いない。コンポーザー・effeによる2021年リリースの作品。もともとは今年リリースのセカイ系コンセプトアルバム「永遠」を聞いてハマり、そこから遡って行き着いた作品。
effe - 永遠/eternal (SIREN : 0011)
— 𝘚𝘪𝘳𝘦𝘯 𝘧𝘰𝘳 𝘊𝘩𝘢𝘳𝘭𝘰𝘵𝘵𝘦 (@eneiongaku) 2024年6月22日
effeのEP『永遠/eternal』を6/29にリリースします。
一瞬と永遠、思春と祈りを縫う新しい遠泳音楽。柔らかく響く感傷は、紛れもなく2000年代エレクトロニカ、セカイ系の系譜である。
effeによる高い達成をお聴き下さい。https://t.co/4CsHmKTNMp pic.twitter.com/kakTKZ6TNY
この「永遠」も素晴らしい世界観を見せてくれる一枚だが、この「逃避の国」はどちらかというと民族音楽的な要素が色濃い作品。ほかのアルバムも聞いてお気に入りのものはあるが、こと睡眠音楽としての効能はこのアルバムが最強と思う。
ストーリー仕立ての壮大な音色で、ボーカル曲もあるが、全体の作りとしてはノベルゲームのBGMのような感触。KEYあたりの。
とくにお気に入りなのは「春の祝祭」「螺旋の塔」からラストまでの流れ。ドラマチックなのに感情を荒立てることなく眠りの世界に落ちていける。
このアルバムでノベルゲー1本分(ほぼ1本道で3000円くらいのイメージ)くらいの感情が得られる。睡眠のときに雑にかけるもよし、じっくり傾聴して物語をふくらませるように味わうもよし。
- lust/rei harakami
ジャパン・エレクトロニカのもしかして王道なのか。レイ・ハラカミはサカナクションとのタッグから知った口。叙情的な浮遊感、なのに土着的で平熱。
個人的にはトラック5「owari no kisetsu」~トラック6「come here go there」の2曲がずば抜けて好きで、これだけをリピートしてもいい。が、アルバムを通したときのスムーズな流れも気持ちいい。
とらえどころのない曲も多いけど、寝ぼけながら聞くとふいに「あれ、この曲ってこんなビートだったんだ」と前まで聞こえてなかった新しい音が聞こえてくる。あっさり奥深い、塩ラーメン。
アルバムとしては「red curb 」も大好きだけど、睡眠のときに聞くのはちょっとテンションが合わないことが多い。すこし元気だからかな。「lust」の斜陽感がやはり落ち着きたい時には合っているのかもしれない。
でもレイ・ハラカミ作品はどれも人生のなかでピタッとくる瞬間がこの先も待っているんじゃないかなと思う。いろんなシーンで試したい。
- Nurture/Porter Robinson
オーガニックで爽快。おしゃれでオタク。ポタロビはやっぱりいいんだ。
最新アルバムもいい感じだけど睡眠に聞くとしたらやっぱりこのアルバムかも。ジャケット通りの清涼感あるサウンドが続く。かなりポップで聞きやすく、メロディが立っているという意味では意識をそっちに持っていかれるのだけれど、このアルバムは不思議と意識を覚醒させずに浸ることができる。シンプルに聞き馴染みのいい旋律と音色なんだろう。
代表曲「Something Comforting」も、クラブミュージック然とした音の向きはしているけれど、どちらかというと自分の魂を開放するかのようで心が軽くなる。
個人的にはすぐに寝る場面というより、いつもより30分早く布団に入ってまったりと聞いてるうちに寝ている・・・みたいな聞き方をしている。
余談だがポタロビ、むかしよくFMでかかっていたアウル・シティを現代版にアップデートしたような質感もある。アウル・シティもいま聞いたってめちゃくちゃいいんだけど……というかこのアルバムだってめちゃくちゃ気持ちよく寝られそうだ。よく聞いていたアルバムだし耳馴染みも良すぎる。
- GO TO THE FUTURE/サカナクション
シンプルに、もう高校の時から聞きすぎてどんな音がどう鳴るかも脳内再生できてしまうくらいになっているアルバム。知ってる音楽が知っているように鳴ることの安らぎ。ここまで来ると音楽を聞いてるようで聞いてないかもしれない。
もちろんいい音楽なのだ。何と言っても耳にやさしく、ひとりぼっちの、ブレイク前のサカナクションのもじもじとした様子が感じ取れる。バンド・ミュージックとエレクトロニカの融合というのが初期のテーマであり、メジャーデビュー以降はアンダーグラウンドな要素をいかにオーバーグラウンドで鳴らすかに苦心していく。その戦いの前夜、まだ自分との対話だけの日々の、くずれかけた青春の残照。なんとも甘酸っぱい感触が残る音像が特徴的だと思う。
なんといっても1曲目「三日月サンセット」が自分にとって本バンドとの出会いの曲だが、クライマックスの「白波トップウォーター」「夜の東側」が白眉。不安に立ちすくんだ悲しい夜。否が応でも朝がきたときの焦りと、ある種の恍惚。収録曲は今聞くとどれもミニマルで、要はとても地味なんだけれど……かわいいんだよな。なんだかかわいいんだ。
- 雨の音
音楽じゃなくなっちゃった。。まぁ寝る時の王道はこれだよ。雨の日は子どものときから眠りが深かった。なぜもっと早く、寝る時にも雨の音を流せばいいと気づかなかったのだろう。
前職のとき、ターミナル駅での乗り換えで通勤ラッシュでも85%くらいの確率で席に座ることができた。会社の最寄り駅までは27分。この雨音を流すことでがっつり20分は眠ることができて大変助かったのです。やっぱごちゃごちゃ言わず雨音が最強かもしれん。
※波音とかもよくヒーリング効果があると聞くが、海なし県に育ったサガなのか雨音とか川の音とかのほうがより眠れるのだった。
・・・
今のところメインのラインナップはこんな感じ。あとシロップの「HELL-SEE」なんかもよく流すけれど、サブスクにあるのがたぶんリマスター版?だからか、なんかクリアになった気がしないでもない。それでもよく眠れる。
もともと寝付きはそんなに悪くはないほうだと思うのだが、30を過ぎたあたりからなぜか心臓がバクバク動き、さっぱり寝られない夜が発生するようになった。そういうときにもアルバム1枚聞くか15分くらい夜散歩するかシコるかで対処できるようになってきた。人生かもしれん。
DLsiteアプリでキス音声だけ流して寝ることもたまにやっているが、トラック冒頭に「今日はずっとキスしちゃおうね・・・」みたいな導入ゼリフがあることも多い。あれないトラックも付属してもらえませんか。マジであれで起きる。みもりあいの様の音声作品でキス音だけのトラックがあるやつ情報随時お待ちしています。
喪失について、営みについて。 『雪沼とその周辺』
「雪沼とその周辺」の感想。
テキストの気持ちよさ、喜びを感じられるような一冊だった。
「雪沼とその周辺」は連作短編のみじかい本ではあるが、本人の声でそのまま届けられるような感覚と、テキストの流体的のテンポ感で、ページぎっちりなテキストなのにスルスル読むことができた。
作者の堀江敏幸氏は多治見市出身で同郷。多治見市出身者のwikiページで見た。手に取ったきっかけとしてはそれもあったが、短歌界で拝見するお名前だということもあり初めて読んだ著作。
読む前にこのインタビュー動画を見ていたのだが、感性というと広すぎるがなんとなく捉え方などがとても理知的なようで好感を持った。
架空の町、雪沼の周辺に住む人々の暮らしを描く7篇。
例えるなら蚤の市でふと、ちょこんとした佇まいのお椀を眺め、どれにしようかと選んでいるような感覚になる作品ばかり。それぞれに歴史が感じられる。前の持ち主との日々。残照感。
どれもまるでエッセイのようなリアリティがあり、過去と現在を行き来する軽妙な語り口。生活があり、過去があり、そして喪失を抱えている。ただ喪失といっても、悲しみに暮れるような悲劇的な様子は少ない。悲しみを超えた先、そしてこれから喪失を迎えようという人々が淡々と生活を営む。登場人物は基本的に中年以降、みんなおじちゃんおばちゃん。華やかなエピソードは少ないけれど、日々は平穏だ。この平熱感が逆に、暮れなずむ哀愁がしんみりと漂う雰囲気になっていた。
とにかく文章も構成も、ひとつひとつがとても滑らか。
連作らしく、登場人物や地名や施設が相互に少しずつリンクする。親族でもご近所でもないがゆるやかなつながりがある。
物腰やわらかな向こう側に息づく生活感。年齢が名言される語り手は少ないがどれも高齢者も多い。たしかな年輪を感じるような、職人も多く登場する。
平熱であることとノン・ドラマであることはイコールで結ばれない。
滑らかに行き来する。時を。人を。視点を。
文庫本としては200頁ほどのコンパクトな一冊だが、読み終えるころにはいい文章を読んだなぁという満足感が広がっていた。
なにより、各話の話の切り方がとても洒落ている。明確な答えもいいセリフもなく、一見すると「ここで終わるんだ」みたいな感覚に襲われた章もある。けれど「あの場面で終わらせた」という作者の選択を考えた時に、味わいがグッと深まる妙技。
かすかな予感。動き出す肉体。仕掛けがカチリとハマった瞬間。切り口が鮮やかすぎて、物語も切られたことに気づかずそのままその先を描き出してしまいそうな、クリアな読後感は素晴らしいの一言。
作中なんどか「透明」というワードが繰り出されるが、個人的に感じるのはそれだった。まるで透明のガラスの器。何度も使い込まれて、こまかな擦り痕が無数に刻まれているような。透明で、滑らかな、暮らしの中にある、ありふれた器。
おれの周囲からは、そういう単純さ、透明さが、この十年のあいだにどんどん消えていった。(『河岸段丘』より)
透明さが失われていく話をいくつも重ねていきながら、そのさまがまるで透明に感じられる、不思議な感覚。
「送り火」「ピラニア」「河岸段丘」が特にすきな短編だった。この作品に出てくるオッサンはみな、かわいいのだ。少し頑固なようで、物静かで、しかし人並みの傷があり、けれど当たり前に生きることをやめない人々。
生きづらさはある。悲しみは暮らしに積もる。でも新しいことも待っている。
おそらくはゆっくりと歴史を閉ざしていくであろう仮想の町「雪沼」、そこに住まう人々にいつしか親しみを感じる一冊だった。
文章のキレがよく、次は著者のエッセイなども読みたくなった。
革命よりも離婚を狙え『転んでもいい主義のあゆみ 日本のプラグマティズム入門』
失敗学についての論や書籍を読んでるうち、哲学関連の分野に接近することがあった。そこから関連して手を出してみたその界隈の入門書。購入の決め手はパラパラめくった限りでは読み心地がひじょうに軽妙だったこと。(後述するがそれは悪い意味でも引っ掛かりのあるこの本の個性とも思う)
歴史的に議論されてきたポイントがある程度把握できたのでまさしく入門書という感じ。
プラグマティズムというのは
人生、理想ばかりでは何ともならん事もある、客観的に、結果を見ながら、現実的なラインでうまいことやってこうよ
みたいなやつのようだ。
一晩で世界が一変するような性急な革命を求めるのではなく、微妙な変化と暮らしとともに見ていくという構えだ。また完璧な理想を求めないように、完璧な人間もまたいないという主義。
プラグマティズムがどのように発達し用いられてきたか、教育・政治・スポーツなど様々な分野での具体例を出しながらざっくり流れを解説してくれる。
理想論的なもの(ある種、閉じこもって思想を深めていくような)では無く、実践ベースでいろいろ試行錯誤してこうという学問でもあるので、堅苦しい思想の話はヌキでどんどん社会とのかかわりの話が出てくるのでイメージがしやすい。個人的にはスポーツ分野での話はピンとこなかったがそれ以外興味深く楽しめた。
テキストのテンポもよく、入門書としては適当な距離感で学問のあゆみを知れたも良かったと思う。
一方でその時その時おもいついた小ネタをしつこく挟んでくる性質で、脱線したあげくオチもよくわからない箇所もいくつか目立った。(俺の理解力が足りてないだけの説はある)
かなり砕けた口調も一長一短。オタクのブログをそのまま書籍にしてしまったようなちょっとした気恥ずかしさがあった。
ザ・哲学!のような堅苦しい風ではなく、わりとグラデーション的なゆるさがあるテキストであり、思想だった。
面白かったのはポイントをいくつか列記。
・「革命よりも離婚を狙え」の章。
人生における大体の困難は、主義だ理想だのまえにもっと個人的な身の上話に帰結する。そこをすくい取ろうと言える向きがあるというのが新鮮だったし、とても親身に感じる要素だった。この章のタイトルも秀逸だ。
・「共同研究を組織する」の章。
そもそも同人サークル的な感じで1大学から発展したという話。この章では学問が持つ機能として、孤独な個々の読者が、作品を媒介として見えないコミュニティを形成するという指摘への言及がされる。
・測量の話
そもそも「正確に測る」というニーズ自体がアメリカの開拓史に深く結びついているという話。大陸があまりにもデカすぎるからとにかく測ることがビジネスになった。プラグマティズムもアメリカ生まれの思想であり、現実の事象を測る目を養おうという姿勢が出ているのかも。
・第8章「哲学×プラグラマティズム」全般
「純粋芸術」「大衆芸術」「限界芸術」の分類。
突出したひとりの天才によって世界が変わる、ことは無い。
プラグマ(行為)が思想の先にある。そういう意味で、生活なしに哲学は成り得ない、という話。けれど行為につきまとう失敗や絶望や、もっと簡単に言えば恥という感情が、学問からは度々抜け落ちる。
この章ではプラグマティズムをどう用いて日々を生き抜ぬくかというちょっとした自己啓発的な流れに着地する。なんだかんだでその言葉にきちんと厚みを覚えるのは、1冊まるまる1学問の歴史を紐解いてくれるからだろうかな。
あんまり興味惹かれない章もさくさく読めるテキストのおかげで完読できた。もっとティープに触れたい人は違う本が良いかもしれないが、個人的にはよむとちょっとポジティブになれる、いい感触の本だった。


