「正直どうでもいい?」

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シャニマスサマーアイドル2021反省会(1年ぶり2度目)

 

ということで2021年の夏が終わりました。お疲れ様でした。

昨年に引き続き、反省会を執り行います。

 

(昨年)

 

まず前年から大きくレギュレーションが変わりました。(同じルールで開催されるわけないが?

まず昨年は飲料、日焼け止め、花火大会など夏らしい広告の仕事にアイドルを推薦していくという名目があったが今回は廃止。

「フレッシュサマー部門」「魅惑の夏部門」「輝け!シャイニー部門」という3つのオーディションに応募するというかたちとなったことで、前年のような広告コピー的な見せ方というより、推しアイドルの推薦文のようなスタイルがおそらく重視されるような形式となっている。

当方、それをガン無視して前年同様にポエムをしたためた。よろしくどうぞ。

また今回は優勝作という概念もなくなり、シンプルに投票企画となった。

 

昨年は商品だったりシチュエーションが明確に用意されていたのでかなりコピーも作りやすかったが、今年はしばりが緩んだことで逆にやりづらくなってしまった印象ではある。そもそも「フレッシュサマー部門」「輝け!シャイニー部門」って何がちがうかよくわからん・・・!

 

また今回扱いに困ったもうひとつの要素がパラメータだ。

前年のようにアイドルを選び、イラストを選び、文章を入力すると現れる。

 

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これはランダムで4つ項目が選ばれるほか、自由記入欄がひとつあり「切なさ」でもふざけた内容でも入れられるという作りだった。

この「パラメータ」がとにかく活かしづらい!

活かしづらいってことはもう運営的に前年のようなポエムはお呼びではなかったのだろうと思う。

キャッチコピーに関連した項目を苦し紛れに入力したりするばかりで、この自由記入パラメータをつかってなにか遊べないかとかなり悩んだが、うまく浮かばなかった・・・・・・。

どころか、意図せず「クール」とか「お姉さん感」みたいなパラメータが浮上し、「いやそういうことじゃあ、ねんだよな・・・」と0とか1とかにしてなぜかションボリするような感じになっていた。

パラメータ回りに関しては活かし方が難しかった。もしかしたらキャッチコピー1本勝負ではなくすことで参加を敷居を下げる狙いがあったのかもしれないけれど、どうだろうか・・・。

 

閑話休題

 

それでは募集期間をおわったので自分が投稿したものを貼って振り返っていこうかなと思います。来年に生かすために・・・!
(普通に考えて自分のポエムを改めてブログに貼りながら振り返るという痛々しさよ)

 

前回2020はしばらくしたらツイッター上での画像リンクが切れた?のか、投稿作品があとから振り返ることができなくなった。見返したいものがある人はローカル保存をおすすめします。

 

 

 

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リリースされたばかりの「拝啓タイムカプセル」を聞きながら作ったやつ。青春、放課後を背負っているユニットだからこそ過去にも時限を思わせる曲はあったけど、「拝啓タイムカプセル」はそれが顕著だなと思う。放クラは永遠を想っていてほしい。

 

 

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短歌の下の句のような言い回しを目指したやつ。ただ抽象的に切り取りすぎて作ってる自分もぴんとこない描写になってしまった。祭りで人が行き交う音とか、浴衣がゆれてかすかに鳴る擦れたような音とか、そういうのを目を閉じて感じているようなシーンにしたかったのだが、「ふるえるまぶた」に飛んだことで視点がブレてしまったように感じて反省。「ふるえるまぶた」ってフレーズがふと浮かんで使ってみたくなってしまったせい。七字でかたまりのある文章ってそれだけでリズミカルでよい。

 

 

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Grapevineの「ナツノヒカリ」を聞きながら。ワードも拝借。

イラストが真昼間ではなくて、午後4時くらいの日が傾いていくさなかのような空色に見えたので、夕方にすこし空気がまろやかになる夏後半の気配を表現して見たかった。あとは夏の光に接続できそうな前振りを考えたら、なんか歌詞っぽいコピーになってしまったなと思う。無意識につなげてしまったけどたぶん何らかの曲のフレーズをうっすらパクってる気がする、こわい。

 

 

 

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いちおう、いちおう、生身の三峰結華を応援しているものとして、アイドル三峰結華に挑もうかと挑戦したもの。

注意深く、思慮深く。けれど「もしも」を想うときだけすこしだけ心のガードをゆるめてくれはしませんか?

三峰の中には明確にお姉さんモードがきっと存在していて、そういう時はこれくらいの浮かれ方はしてほしい。

 

 

 

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透のネタを考えるときは余計に言葉をそぎ落とす意識が働く。最小限で膨らむ言葉をなんとか探した結果のこれ。昨年コピーを考えたときにもあったけど自分の中の浅倉透像として、じつはなにかを強く願っているような、密かな求道者的なイメージがあり、そういうシンパシーを周囲に振りまく存在として、「叶う」というある種スピリチュアルなワードを握ってもらいたくなったというか・・・

あとこのイラストがもう好きすぎるため今年も使用しました。

 

 

 

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たまゆら」を使いたかったのと、彼女に名前にかけて「火に近づく」というのをおり込みたかったやつ。結果たまゆらは欄外に。炎上的なニュアンスではなく、純粋なるものとして火と彼女を重ねたかった。七草にちかは火だと思うので。

 

 

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花に染む」という漫画のタイトルがめちゃくちゃかっこよくてシンプルにそこからパクってしまった。引用元である西行の「花に染む 心のいかで 残りけん 捨て果ててきと 思ふわが身に」の意味も踏まえつつも少女漫画チックな解釈もしつつ。

 

 

 

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イラストを見ながら「穴をあける」 って予定を守れないときにも使うよなーという所から発展させて考えたもの。
特にpSSRのカードイラストはすごくP側を信頼してくれているようなシチューエションが多くて、ちょっと気後れしてしまう個人的な感覚があり、その反逆として裏切ってしまってもなおそれを赦してくれるような甘えを入れ込みたかった。

もはやアイドルを輝かせようという目的を完全に見失い、自己嫌悪と酌量のみで突っ走ったので個人的には好き。(企画としてはダメだろ)

 

 

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こねくりまわした結果、抽象表現に逃げてしまった感ある。イラストが、狭い隙間からのぞき見るような構図だったので、罪の意識として「檻」を持ち込んで、その意識を両者共有してしまったような相互性も表現出来たら・・・と失敗作を説明するのダサすぎ。やめだやめ!しゃべればしゃべるほど樋口の目が細くなっている!

 

 

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アイドルになってきっとこれまで以上に離れている機会も増えたんだろうなぁと思いながら作った。アンカーボルトソングのシナリオもイメージしつつ。これはもう絵が良すぎるからなんとでもなる気がする。

 

 

 

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締切近くになって、最後のために作ったもの。夏の終わり感を出したかった。こういうコピーっていかに日常のなかの「かけがえなさ」を切り取れるかという部分のセンスが問われる。結果的にはうーん・・・。

 

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また今年も恥ずかしいことを書いてしまったな。次作を振り返ってぐだぐだと・・・。

でもシャニマスに触れているときってポエジーが高まってる一時でもあるので、これからもこういうアホをやっていきたい。来年も頼むな。

 

シャニマスサマーアイドル2022 

 

 

 

 

関ジャムでやってたJ-POP20年ベスト30をいまやる回

いまさら?って感じで・・・

 

 

2000~2020年の範囲で、J-POPベスト30曲を選んでみようという、
今年の3月ごろ音楽クラスタのひとたちが結構話題にしていたこの企画。

ぼんやりと「自分ならなにを選んだだろう」を考える程度でしたが・・・・今更ながら友人からの呼びかけもあって、自分でも考えてみたのでちらほら書いてみるとします。

 

それにしても20年分のベスト30を決めるのなんて無謀で
おそらく一週間後、一か月後にでもなれば順位変動は間違いなく起こるだろうとは思うけれど・・・まぁ現時点での暫定版ということで。

とりあえず好きな曲30曲について軽く書いていきます。

 

 

↓↓↓

 

 

「そもそもJ-POPとは何ぞや」というのを改めて考えることにもなってきた。
例えばBUMPはもうJ-POPと言って差し支えない・・・それなら例えば凛として時雨とかゆら帝なんかどうだろう。とか考えだしたらもう迷子である。同じような問題で「アルバム曲を選べるか」という点も悩ましい。

あまりにも問題がデカすぎるため今回は自分なりに避難方法・・・というか基準を考えたうえで選びました。

 

・シングル曲であること
・もしくはMVが制作されていること(アルバム曲であってもOK)

 

上記は「セールスを意識して世に出た楽曲だから」という解釈によるものです。ポップスかどうかという基準は本当に難しいので、商業用のラッピングがされているかどうかで今回は選びました。
ポピュラー音楽という考える以上はその条件はいるのかなと思いつつ、「商業用」という響きはイヤだなぁとも思いつつ・・・まぁ個人的なしばりです。

さくさくと各曲ふれながら行きたいと思います。

 

 

 

 

30.キラキラ/aiko

前までaikoの曲は触れ難かったというか、男が入り込んでいい世界なのか抵抗があった(今思えばなんのこだわりかわからない)が、この曲のサビがあまりにも好きになってしまい全部吹っ飛んだ。

羽が生えたことも 深爪した事も
シルバーリングが黒くなった事
帰ってきたら話すね
その前にこの世がなくなっちゃってたら
風になってでもあなたを待ってる
そうやって悲しい日を越えてきた

羽と深爪と指輪の事件を同列に語る、日常と非日常のあいまいな感覚と、それを「帰ってきたら話すね」とフランクにでも大切に胸にしまう風景、きれいだよな。

 

29.ストラトキャスターシーサイド/Suspended 4th

必殺技の連発みたいなアホ曲。それがまた惚れ惚れしてしまう。タフネスあふれる音像、ノージャンルなメンバーの風貌、なにより「カッコいい」を詰め込んだキメッキメの曲展開。初聴きから好き。

 

 

28.Sexy sexy/竹内電気

いまが夏だからメチャクチャこの曲の気分になってる。

今でもONIGAWARAで最高のPOPSを紡いでくれているが、竹内電気時代のこの曲のイントロは自分史上最高の夏メロだと思う。イントロのサティフォのギターだけで涙腺が開かれる。

 

 

27.銀河/フジファブリック

フジファブリックはここから知ったというロキノンキッズは多いと思うがご多分に漏れず。不気味でフェチっぽくてくぐもった世界観。それまで聞いてきた音楽にはない空気感が好きで、邦ロックを掘り進めるスタート地点になった気がする。
夜きくフジファブは銀河か夜明けのBEAT。アルバムならCHRONICLEよ。

 

26.underworld/メレンゲ

メレンゲのなにが好きかというとあえて言ってしまえば「スゴそうじゃなさそうな所」。実際はスゴいんだけど。ヘナチョコな文学少年が世に出てきてしまったようなか細い存在感。それがたまらなく愛おしかった。春のようなやわらかなポップスが数多くあるけど、冷たく壊れそうな世界が広がるやや異質なこの曲がとても好き。

 

25.アイネクライネ/米津玄師

ハチ時代もちらほらとは聞いていたけど、ゴーゴー幽霊船も聞いていたけど、アイネクライネを聞いた時は「もう絶対うれるじゃん」と思った。爆売れした。よく聞く米津曲は別だけど、いまでもいちばんいい曲だなと思う。

 

 

24.染まるよ/チャットモンチー

世代的にガールズバンドの勢いが増していくのを肌で感じていたが中でもチャットモンチーの存在感は格別だったな。ふだんバンドとか聞かないクラスメイトもシャングリラのMVをみて「ボーカルめっちゃかわいい」と騒いでいたとかそういう記憶もあるが、やはりド直球にカッコよさでぶん殴ってこられる感覚が素晴らしかった。
女子っぽい憂いを歌った曲も良い曲が多くて「染まるよ」は中でも1番好きです。

 

23.桜のあと (all quartets lead to the?)/UNISON SQUARE GARDEN

ニゾンのクサくてイイとこ全部入り。コテコテだけど「愛が世界救うだなんて僕は信じてないけどね」のオタクくささが吹き上がる強烈なフレーズが大好物。

 

22.眩暈/鬼束ちひろ

「私とワルツを」か「ROLLIN'」か・・・と悩んだけれど1番よく聞いた1stアルバムの中でもこの曲。歌詞も歌唱も、すごく女性らしいしなやかさや脆さ、強さを感じられる。お気に入りのヒロインを思いながら聞くだけでマジで万能イメソンとして効力を発揮する。


21.サクラあっぱれーしょん/でんぱ組.inc

アイドルっぽくて、オバカっぽくて、オタクっぽくて、お祭りっぽくて・・・・それら全部を1曲に違和感なく落とし込んでいるのがすごすぎる。アイドルのパーティソングの決定版という感じで自分のど真ん中にある曲。個性とクオリティの両立という観点でも歴史的な1曲だと思う。

 

20.アカツキの詩/スキマスイッチ

メロディメーカー・スキマスイッチの中でもトップクラスの甘酸っぱい歌メロだと思うし、いちばんど真ん中のスキマだなと思う(日本語よ)。3rdアルバムのころのスキマスイッチは脂がのりにのっていて全部いい。この曲はならにMVもかなりよく出来ていて、童話的な世界観がこの曲をさらに愛おしいものにしているなぁ。

 

 

19.月曜日/無菌室/People In The Box

大学時代にめちゃめちゃよく聞いたバンドだったし今でも発作のように聞きたくなるバンド。活動やスタンスもすごくコンセプチュアルでカッコいいミュージシャンだと思う。歌詞もメロディも複雑怪奇なものが多いんだけれど「聴き所」をちゃんと用意していて周到にこちらに突き刺してくるポップセンスの悪用がSっぽくてたまらないんですよね。

 

18.さくら/syrup16g

解散直前のラストアルアムのリードナンバー。春らしい別れの歌として聞きやすいと思うし、バンドにケリをつけるという側面もあって自分の中ではsyrup16gはこの曲をもって完結をしたという印象が大きい。生き急いで押し潰されて空中分解したバンドの生きざまを「これはこれで青春映画だったよ 俺たちの」と歌うカタルシス。しかしこのアルバムの制作自体、もはやバンドとしての体をなしていなかった。破滅のふちにたち、不格好に笑っている男が浮かぶ一曲。

 

17.HANABI/ill hiss clover

ギターロック×ダンスミュージックでとことんスタイリッシュに仕上げた曲。これほどの曲を作っておいてほぼ売れずに去ってしまったのが信じられない。夜ひとりであるきながらこの曲を聞くと最高の陶酔感。

 

16.憂、燦々/クリープハイプ

「イト」と悩んだ。曲自体は具体的な描写の少ない、空白のおおい曲なんだけれどMVで一気に情報量が増える(MVの物語が解釈のすべてではないが)。

うだるような夏に思考がやられて、すごくピュアな依存心だけがむき出しになってるような歌。こういうのをやったらクリープハイプは本当にうまいな。

 

15.だから僕は音楽を辞めた/ヨルシカ

いま聞いても致命傷。もう10年はやくヨルシカが現れていたら10代の俺はもう死んでたと思うと恐怖しかない。ミュージシャンが音楽について歌う曲は「東京」と並んで名曲が多いテーマだと思う。強烈な挫折が、絶望の深さが、逆にそこに込められた信念や情念を感じさせてくれる。

 

14.youthful days/Mr.Children 


小学生ながらに「なんて天才的に爽やかなメロなんだ」とビビりおののいた曲。憧れの青春像をここで確立させたという可能性もある。ちゃんとミスチルと意識して曲を聞き出すのはそこから少し後の「sign」とか「未来」とかのころなんだけど、2000年代のミスチル曲で1番好きかも。

 

13.記念撮影/BUMP OF CHICKEN


いま自分が好きな音楽の多くがBUMPの影響化にある音楽という感覚がある。1番よく聞いたアルバムは「ユグドラシル」なんだけど、最新作の「aurora arc」がとてもよかった。変わったことはたくさんあるけれど昔のままのBUMPが最高の進化をして、まだ俺の隣にいてくれたんだなという感覚(ある時期、遠くにいってしまった感じがあった)。アルバム通して素晴らしいが1番好きな曲を今回は選びました。


12.きらきら武士/レキシ


すごくJ-POPな曲なんだけどJ-POPすぎない感じ、あえてダサいのがオシャレな感じ、一歩間違えるとめちゃくちゃムカつく感じ、でも全部黙らされる、甘いメロと気持ちいいディスコビート、椎名林檎の使い方として最高な感じ。

 

11.正夢/スピッツ


この時期、スピッツはなにやら亀田アレンジでこってりとした曲が増えていた時期。それの賛否はあるけれど、この曲はスピッツらしからぬコッテリ感が抜群に効いている。スピッツを愛しているのでいうけれどこの曲は名曲然としているようだが実はそれには失敗していて、でもその間の抜けた感じもすべて計算のもと、「愛は必ず最後に勝つだろう」なんて使い古しのペラペラなメッセージを照れ隠しで入れちゃう、そういうセンスが大好き。


10.夏陰/スガシカオ


スガシカオのアコースティックなバラードはどれも最高。中でもこの曲が描く、終わりかけの夏に後ろ髪ひかれているような感傷や風景はもう大好物。繊細でかつちょっと投げやりな歌声も世界観にとてもあっている。


9.金星/女王蜂


女王蜂ってこの曲が出るまで「デスコ」のイメージで固定されていたのだが、この曲で完全にヤラレてしまった。ファンクでディスコでちょっと懐かしいムード。一夜をめぐる刹那的な感情の交差が、アヴちゃんらしい女声と男声の切り替わりでドラマティック。ひとクセある女王蜂楽曲でもかなり普遍的な一曲だと思う。


8.世界を変えさせておくれよ/サンボマスター


サンボマスターの良いとこ全部盛りか?むちゃくちゃな大言壮語を信じさせてくれるこの熱量。願っているのは「君とキスがしたい」ってことなんだけど、それを叶えるために世界ごと変えるしかないという思いつめ方が正しくロックンロールだな。3分に満たないのに緩急鋭く狂騒から感傷まで一気に駆け抜ける。

 

7.有心論/RADWIMPS


今となっては結構まえの曲だが、自分の世代でRADといえばこの曲な感じではあった。まぁ曲もMVもティーンネイジャーのやわやわな感受性をぶっ刺す凶器のようなエモ曲なので仕方ないね。達観ではなくむしろ至近距離から覗き込んで感受性を揺さぶってくるRADの世界観はあの時たしかに同年代の空気を変えたように思う。

 

6.君はロックを聴かない/あいみょん

シングル曲は基本的に脱臭された商品をリリースしてくれているあいみょんだがこの曲はすごく「我」を感じられる。

好きな音楽を明かしてそれを君に聞いてもらうってシチュはもう最後の審判で、好きと言ってもらえたら人生全肯定だしイマイチな反応だったらもう再起不能なんですよ。それくらいに自分そのものな「1曲」があるということ。その感覚を切り取った時点で名曲。

 

5.Everyman,everywhere/GRAPEVINE

中古で買ったLifetimeでワッとなって急いでCDショップで新譜を探して、当時比較的でたばかりだったこのミニアルバムを買った思い出。全体的に内省的で今よりもっと皮肉ばかり吐いていたころのバンドの空気感がよく表れている。間奏のストリングスのメロディから大サビへの接続でいつも大空に吹き飛ばされるような感動。

 

4.或る街の群青/ASIAN KUNG-FU GENERATION

アジカンは思春期のサウンドトラックだったからどうしたって上位に来る。アルバムの流れで聞きたいけど単発としても映画主題歌としても抜群の爽快感。あとこの曲に「或る街の群青」とつけるセンス。或る街の群青。こんなかっこいい字面ある?

 

3.水星/DAOKO

クラブカルチャーへの恐れが憧れに逆転し、ラップミュージックで初めて夢中になったし、DAOKOというアイコニックなキャラクターが一機に自分の趣味趣向を広げてくれたなと感じる。この曲とMVはセット。人生で1番見たMVはこれ。

 

2.羽根 ~lay down my arms~/Cocco

諦めと哀しみがあって、すべてが壮大で美しい。結晶のような一曲。Coccoの母親のようにも幼い女の子のようにも聞こえる歌声が大好きなのだけど、この曲の歌詞のサビの包容力はトップクラスだと思う。

この次のシングル「焼け野が原」でCoccoは活動を休止するがそれも見越されている、ひどくやさしい滅びのうた。

シングルに収録されているCW曲「箱舟」も見過ごされがちだがとんでもない名曲。


1.ミュージック/サカナクション

「三日月サンセット」か「エンドレス」か「ユリイカ」か「NFIG」か・・・と悩んだけど代表曲になった。この曲がサカナの最高到達点とさえ思う。この曲みたいなひねった曲構成をそれまでなんどか試していて、満を持してそれを代表曲に押し上げたその執念。サカナクションが歩んだ歴史がこの名曲につながった、そのストーリーも含めてどうしようもなく特別な一曲。

 

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そんなこんなで30曲でした。

あえて順位をつける、というところが酷でありこの企画のミソという感じなんですね。うーん、ぜったい来週には変わってる・・・。

 

振り替えれるようにプレイリスト化。

30位→1位の順です。

 

 

 

 

君と海について、あるいはその隔たりに『夜と海』3巻

 

夜と海 3巻 (ラバココミックス)

夜と海 3巻 (ラバココミックス)

  • 作者:郷本
  • 発売日: 2021/04/15
  • メディア: Kindle
 

 

「夜と海」完結となる第3巻が出ています。

遅くなりましたが、非常にいい作品でしたので感想でもつらつらと。

 

 

久しぶりに「素晴らしい漫画と遭遇できた」と思えた。

漫画感想をおもに前世ブログでやっていたころから漫画の読書量は半分くらいに低下してしまっている。漫画をかってもすぐに読むのではなくてしばらく置いてから読むようなスタイルになった(電子書籍にかなり切り替えてセール待ちしていることもある)。

そんな中でも、新作で、紙の本で、全3巻とコンパクトにまとまった佳作を読んだことで、ちょっと久しぶりに嬉しくなったんだよな。そりゃきっと俺の知らない、けれど俺にドストライクな作品はまだまだいくらでもあるんだろうが。

 

あまりに関係のない書き出しになってしまったが、とにかくこの漫画が素晴らしく、そしてたまらなく美しい作品であることをまず伝えていきたい。

 

 

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まずこの作品は本当に絵が素晴らしくて。

たっぷりと情感が含まれててもう滴りそうなくらいタッチのしずる感が美しさよ。
その質感が物語そのものとリンクしていて、とくに心象風景として海洋生物がおおく登場するのだが、すべてがきちんと登場人物とつながっている。言葉ではなく感覚や空気感として、表現がリリカルにこちらへ向かってくる。すごく立体感のある作品になっていると思う。

距離感になやむとき。すこし寂しいとき。自分の道をみつけられないとき。日々を惜しくおもうとき。

それら感情は、言葉にすれば「そういう感情」と断定されてしまうけれど、この作品は基本的にそこを明らかにすることはない。あえて暴きたてることはしない。

言葉とことばの行間や、視線や表情。そして心象風景を反映した海中や、美しくて変わらしくてときおりグロテスクな海洋生物たち。

 

 

 

主人公は2人の女子高生。
なにか不思議なことが起こることもない、静かな箱庭的物語だ。
けれどこの作品は強い引力を持っている。ページの隅々にまで張り巡らされた巧妙な演出、情念のようなもやの漂う空間、そして読書体験と物語がぴったりと重なる不思議な感覚によって、強烈に惹かれてしまうのだ。

「なにを考えているのだろう」「なにを欲しがっているんだろう」「私をどうおもっているんだろう」

そんな疑問にすべて答えがでるわけがなくて、でも知りたいから相手をよく観察するし、言葉をかみしめるし、あらゆる機微を読み取ろうと苦心する。そんな作中のキャラクターの姿勢と、この作品に挑むときの我々読者の感覚は自然とシンクロする。

思考がしずかに、物語のなかへ、そして2人のまとう空気感へ浸透していく感覚。埋没できるし、したくなる。そういううれしい世界観が広がっている気がする。(2人の間に挟まりたいとかではなく)

 

最終巻となる第3巻では2巻から引き続きサブキャラクターについても深堀りされていく。先生のエピソードなんかはとくに、若者がゆく未来と、元若者としての視点が交差するビターな風景が感じられた。相乗的に、主人公たちのこの限られた時間がすこしずつ消費されていきやがて無くしてしまうことを意識させられる。

しかしながら憂いとざわめきに苛まれながらも、結局のところこの作品の独特のテンポ感は憂鬱に染まりきらず、止まらず、ゆらめくように描かれていく。

ある種の空元気のような、ドライな感覚も多分に含まれているように感じる。

  

 

 

  ようやく心を開けた、ように見えてまた距離をとられて。

そんなふうにつかず離れずの高校最後の1年。夏がきて、冬がきて、そして春が来るころにも・・・・・・彼女たちは彼女たちのまま。そこにはもどかしさも、恋しさも寂しさも、「そういう関係だったでしょ」というある種の諦観と。

作中でも、本当にあっけないほどに時が流れていく。もっと読みたい、もっと浸っていたいというこちらの感傷もあっけなく霧散していく。

そのうえで、実験的なコマ割りや演出がつねに張り巡らされている。そういうちょっとアバンギャルドな風味もかっこいいんだよな。

 

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このエピソードは「見上げる」 という動作がひとつのキーとなっているのだが、ところどころに挿入されるカット(画像でいう一番したのコマ)などで物理的に現実世界を見上げる構図になっている。心象風景と現実がつながっている表現としてとてもおもしろくて、しかも見開きとして非常に美しく組み上げられている。

このページだけではなく、もうどのエピソードにも「おっ!」となるような仕掛けや演出が施されている。そういうのをひとつひとつ眺めているだけで嬉しくなるし、その環状が見事に物語と地続きとなっていることもたまらなく嬉しいのだ。

 

将来を決めることなんて高校生には当然難しくて、でもそれを決める理由のひとつが「君」とかであった場合。

なんかもうそれって、永遠の友情が存在するのかとかどうとかよりよっぽど深い楔が人生に打ち込まれているようでメチャクチャ眩しい。

踏み込まなくても、大事な言葉を交わさなくても、約束なんてしなくても、それほどまでの深い影響を他者に与えているということの重みと尊さよ。

 

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徹頭徹尾、言葉の足らないふたりの漫画だ。だからこそ愛おしい。
足らない言葉をかけらがそこらじゅうに漂っていて、それがあまりにも切なくて可笑しくてが読んでて顔面がグチャァとなる。

「なにかを伝えたい」という意思の断片だけがそこにあり、きっとそれはお互いにそれとなく知っているんだけど・・・そんな遠さが、そんな隔たりが、言葉を交わすことのない美しい時間をより結晶のようにここに留めている。

 

私たちは多分

そこに全部

置いてきたんだと 

なんとなくそう思う

 最終話で語られている言葉。すべてが過去となり、その結晶を眺め続ける。

 

余談だが 

1巻2巻3巻と表紙だけ見てみると、2人の関係性の変化が表れているし、うしろにある満月モチーフのような丸模様がどんどん青⇒橙へと変色していっている。
時間によって表情をかえる海を表しているのだろうか。まぁなによりこの色合いというかデザインとしてあまりにも美しくて、そのために俺は本作を紙で購入している所はある。

 

作者の郷本さんはかなりの実力派だと思う。この作品と同時に描かれていた猫漫画がまだしっかりと読めてはいないが、こんなに見せつけられたら他の作品も追いかけざるを得ないよな。新作が楽しみです。

 

 

 

 

スピッツ全アルバムざっとレビュー(30周年に寄せて②)

 

前記事


 

自分史上1,2を争うほどに好きなバンドなのに、ちゃんとブログ内で言及したことがなかった。

スピッツディスコグラフィーについてちょこっとずつ書いていこう。

あとシングル曲以外でのフェイバリットソングを1曲選んで貼っていくので、ちょっとマニアックなスピッツ曲を発掘してみたい人はぜひ聞いてみてほしいです。

 

 

 

 

 

1st スピッツ

スピッツ

スピッツ

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2002/10/16
  • メディア: CD
 

 

 

堂々たる1st。紛れもなく名盤だが、やや癖は強いのである程度スピッツに慣れてきてから臨むべき一枚とも思う。混迷極める草野マサムネの歌詞世界がもっともカオスに表現された、手加減知らずのイチ枚。

パンクバンドとしてスタートした名残がサウンドとして息づいているが、歪んだギターにアコースティックなリズムギターが絡んだり、複雑怪奇な歌詞も相まってすでにスピッツの原型が完成していると思う。

とくに「死とセックス」という側面からフィーチャーされることも多いアルバムでもある。パンクなテイストの中で、「月に帰る」「夏の魔物」など情緒的でメロディアスな曲もとても良いアクセントになっている。
むちゃくちゃな世界観で突然ぽいっとキラーフレーズも飛び出してくる、無骨なおもちゃ箱みたいな印象のアルバム。

 

お気に入りの1曲:テレビ

open.spotify.com

初期のスピッツの歌詞センスがとくにひかっている曲だと思う。終始なにを言っているのかわからない、でもなんとなく死の匂いを漂わせながらサビへ向かい、マントの怪人が叫びだす。

有名な説だが、市松模様=葬式柄、不思議な名前=戒名、最後のテレビ=死者が棺の窓から現世を眺めている、といった解釈は中学生時代につよい衝撃を受けたのを思い出す。なんて恐ろしくて魅力的な歌詞を書くのだろうと感動した、自分にとっての「怖いスピッツ」の原体験だ。

 

2nd 名前を付けてやる

名前をつけてやる

名前をつけてやる

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2002/10/16
  • メディア: CD
 

 世の中の名盤ランキング的なものに上がってきやすい初期の大傑作たる2nd。

今聞いてもスピッツらしさと、濃厚なエッセンスと、若かりし勢いが感じられる。1stよりさらにバリエーションに富んだ楽曲が並び、なによりもポップ!曲順も見事ですっきりと聞ける。最後の「魔女旅に出る」に至るまでのハンドルさばきが絶妙で、そしてその最終場面であまりにも壮大に旅立ちと離別、「いつでもここにいるからね」という甘やかなスタンスが提示される。あまりにも完璧。

全11曲でどれもコンパクトな曲なのでアルバム通しでマイフェイバリットになりがち。

幻想的な「鈴虫を飼う」とか、以降発揮される天才的なサビメロの発明センスがはじける「胸に咲いた黄色い花」なんかもとびきり好きだ。タイトルトラック「名前をつけてやる」もインパクトが強い。ほがらかに無垢になんて危うい世界を見せつけてくるだろう。

でも1番は「プール」かな。まぶしい夏の夢のようで、でも閉ざされた世界の中の窒息感とか、直球だがセックスにふける陶酔感とか・・・奇妙でかわいらしくて世界からすこしはみだしている感覚。落ちぶれたとしても、ひと時幸せならばそれで良いじゃないかという堕落、刹那的な感覚。ポップでありながらアーティストとしての姿勢も垣間見えてくる。

お気に入りの1曲:プール

 

 

ミニアルバム オーロラになれなかった人のために 

オーロラになれなかった人のために

オーロラになれなかった人のために

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2002/10/16
  • メディア: CD
 

 

ちょっと影が薄い初期のオケーストラ中心のミニアルバム。1st2ndととにかく売れなかった中でいろんなサウンドを模索していたように思われる。とはいえ売れ線意識の曲はなく、かなり好きにやってる感じ。

実はスピッツでミニアルバムとカウントされる作品はこれだけ。たった5曲しかないしバンド感も薄いが、それゆえに今なおディスコグラフィー全体見渡しても特異な1枚だと思う。初期マサムネの破滅的で暴力的で美しい歌詞に浮遊感たっぷりのサウンドは、はてしない透明感だ。当時でしか成し得なかった雰囲気だと思う。

ファンからの人気の高い、あまりにも物騒な「ナイフ」、壮大さのカケラもない変化球「田舎の生活」(のちのLOST IN TIMEのカバーも大好きだし、スピッツの貴重な岐阜ソングでもある)も際立っているが、個人的に最後の「涙」が好き。

オーケストラが盛り上げてくるディズニー映画みたいな感覚になるんだけど、ファンタジーですこし悲しげな音色でたまらない。マサムネの声と不思議な調和をしているように思う。マサムネの歌声も伸びやかすぎないかすれが残っていて、美しいだけじゃないイビツな魅力がある。

お気に入りの一曲:涙

 

3rd 惑星のかけら

惑星のかけら

惑星のかけら

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2002/10/16
  • メディア: CD
 

 1曲目のタイトルトラックから明らかに空気が違っている、渾身のロックアルバム。「ロックバンド」として姿勢を改めて表明したい気負も漂う。といっても重苦しい内容でもなくて、ガツンとくるアタックのつよい曲が意識的に収録されている。全2作と比べてサウンド的にも凝ってる感じで、意図的な遊びも多いような気がする。一方で切ない王道名曲「アパート」や広がりのあるポップソング「日なたの窓にあこがれて」なども際立っていて素晴らしい。

これまでの作品をいわゆる「初期スピッツ」と呼ぶことが多い。自作4thからは大きく方針を転換させ、「ロビンソン」の大ヒットへと向かう。大きく羽ばたこうとするこの時期のスピッツならではのエネルギーの充実感がはっきりと現れている過度期のアルバムだ。

1曲選ぼうとなるとこれまた難しいが「アパート」「ハニーハニー」を押しのけて「僕の天使マリ」だろうか。とにもかくにも、歌詞が良い。良すぎる。草野マサムネのラブソングって奇妙な部分をめでるファニーな視線が特徴的だと思っているんだが、「僕の天使マリ」はそれに加えてマリというヒロインの造形も想像力を掻き立てられてたまらなく愛おしくなる。ロカビリー調でたのしく駆け抜けていくのもまた好きだ。

お気に入りの1曲:僕の天使マリ

 

 

4th Crispy!

Crispy!

Crispy!

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 1993/09/26
  • メディア: CD
 

 大きな方針転換となった4th。これまでにない極彩色の煌びやかさ。

のちに黄金時代を築く笹路正徳さんとのコンビネーションもまだイマイチはまっていない感触。めちゃくちゃポップで聞きやすいんだが、明るく振舞おうとしてるけど目が笑ってない、みたいなぎこちなさが垣間見える。ハッピーでポップな前半から6曲目「夢じゃない」からえらく暗い流れに入っていくのも不思議だ。

とはいえ個々の曲は粒ぞろいで、あの草野マサムネがポップソングを作ろうとしているんだからそれは最高のポップスが出来上がってきている。

シングルリリースされた「裸のままで」は当時としては異色作だったはずだが、いま聞き直すとむしろ「スーベニア」「さざなみCD」期に歌われていてもおかしくないこなれ感があるし、サビメロは本当に美しくて泣きそうになる。

ただ正直なところ、スピッツの中でもトータルで聞いた回数が少ないアルバムだと思う。

 

お気に入りの1曲:夏が終わる

わたせせいぞうのイラストが似合いそうな、センチメンタルでほんのりとバブリーな香りが漂うナンバー。タイトル通りの季節の寂寥感が味わい深い。歌詞もとにかく美しい。

全体的にオーバープロデュース傾向のこのアルバムの中で「スピッツらしくないサウンドだけどスピッツにハマってる」という素晴らしい着地を見せた曲。

 


 

5th 空の飛び方 

空の飛び方

空の飛び方

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2008/12/17
  • メディア: CD
 

収録シングルは「青い車」「スパイダー」「空も飛べるはず」・・・ブレイク前夜というまさに一番おいしい時期のアルバム。パブリックイメージとしてのスピッツとおそらくそれほど乖離がない、かつ個性的な姿勢も欠かさない高バランスの一枚。 いつ売れてもおかしくないエネルギーを感じるし、事実この次作で大ブレイクを果たす。

シングル曲の強さが際立っている一方でエロティックなポップソング「ラズベリー」、ライブ映え抜群の「不死身のビーナス」など中盤を固めるアルバム曲も強い。ラストの「サンシャイン」なんか歌詞が澄み渡っていてめちゃくちゃ感動的(サビのバックで流れてるシンセのメロディもたまらん)

ザ・名盤!という風格はそれほどないけれど、スピッツが地に足着いたポップスを発見した記念碑的な作品じゃないだろうか。

「空の飛び方」というタイトルも、清らかににも受け止められるし、アンダーグラウンドな含みを持たせた性と死的な味わいもできる、見事なアルバム名だと思う。

お気に入りの1曲:サンシャイン

 

アルバム最終曲。なんだかんだでアルバム自体はかなり雑多なんだが、この曲のアウトイロがすこしずつフェイドアウトしているさなかに「いいアルバムだったなぁ」と染み染みと思えてしまう。 

 

6th ハチミツ

ハチミツ

ハチミツ

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 1995/09/20
  • メディア: CD
 

 

 超名盤。

シングルの「ロビンソン」「涙がキラリ☆」が大ヒットを飛ばした流れにのり、めちゃくちゃ売れた。おそらくかなり多忙だったと思うが、そんな中で期待に120%応えこんな大名盤を送り出した当時のスピッツの勢いが見事にパッケージされていると思う。いい曲が多すぎてこのアルバムだけでトリビュートが発売されている。

神秘的なバラード「Y」やハードロック色を垣間見せる「グラスホッパー」などもあるが全体的には春が似合いそうな、かわいらしくノスタルジックなポップスが勢ぞろい。曲順も見事で、最後の「君と暮らせたら」で風景がセピア色になっていくようなストーリー展開まで感じられる。言い過ぎかもしれないが「日本語で歌われる音楽」の最上級にあると個人的には思っている、邦楽界に名を刻む傑作だと思う。

スピッツを有名曲しか知らないという人も聞きやすく、しかしスピッツの不可思議な”性癖”もオミットされずに表現されている。これ以上ない入門向けの1枚ではないだろうか。

お気に入りの1曲を決めることがメチャクチャ難しいアルバムだが、ファン人気もたかい「愛のことば」の完成度は正直突き抜けすぎている。大名曲。「ハチミツ」「歩き出せ、クローバー」なども素晴らしい曲だが、1曲だけとなるとやはりここに落ち着く。

お気に入りの1曲:愛のことば

 

 

もう何も言うことないくらいに全部好き。 

 

 

7th インディゴ地平線

インディゴ地平線

インディゴ地平線

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2002/10/16
  • メディア: CD
 

「チェリー」「渚」と、これまた大ヒットシングルを収録した7th。「渚」はじつはアルバムアレンジバージョンとなっており、こちらのほうが好き。

「ハチミツ」と比べるとややマイナー調の印象が漂う、マニアックなテイストのアルバムでもある。音質も少しだけこもったようなローファイさが際立っている。

個人的には1stはやや大人びた印象だが3rdあたりからスピッツは「少年」だったように思う。それがこの7thで成長してまた「青年」に帰ってきたような感覚でいる。

表題曲「インディゴ地平線」はどっしりとした低音が響くミドルテンポ曲で、特に「ハチミツ」と比べると雰囲気がまるで違っている。アルバム後半はさらに「ほうき星」「マフラーマン」と重たい曲がくるので、「チェリー」のようなテイストを期待した人は面食らったと思う。

でも「バニーガール」とか「初恋クレイジー」などスピッツらしいサウンドで乗れる曲もたくさんあって緩急が心地よい。国民的大名曲「チェリー」をオマケのように(いやデザートのように)最後においているのも、あまのじゃくなスピッツらしい。

 

 

お気に入りの1曲:夕陽が笑う、君も笑う

アルバムのクライマックス。全体的に渋めのサウンドが特徴のアルバムだけどこの曲のイントロが聞こえてきたときのパッと風景が輝きだすような感覚は何度きいても薄れることがない。

 

 

8th フェイクファー  

フェイクファー

フェイクファー

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2002/10/16
  • メディア: CD
 

 

ジャケット人気ナンバーワンのアルバム(かはわからないが自分含めてこのジャケットを好きという人は多い)。

この眩しく爽やかなジャケットを裏切らない、パステルカラーの水彩模様のような風景を感じられるアルバム。収録されているシングル曲もあの「楓」を含め有名曲ばかり。

「エトランゼ」で夢をたゆたうようなスタートから一気に「センチメンタル」でどっしりとしたロックで覚醒。「冷たい頬」「運命の人」「仲良し」「楓」と名曲が次々繰り出される圧巻の前半。後半はなんといってもタイトルトラック「フェイクファー」。スピッツ全曲とおしたなかでもTOP5に入るくらい、好きな曲だ。

フェイクファー。偽りのぬくもり。にせものでも心あたたまるもの。これまで歌われてきたエッセンスをこれでもかと凝縮したような曲。けれどそれだけでは終わらなくて

今から 箱の外へ 二人は箱の外へ 

未来と別の世界 見つけた そんな気がした

 曲のクライマックスのフレーズ。「偽りでもよい」と慰めて続けてきたこれまでのスピッツワールドからの脱却を決意したかのような、ある意味ではメタのような、けれどスピッツ風の読み方をするなら「死」のような、いずれにせよ一歩を明確に踏み出していくメッセージがここに突き付けられている。(そのあと冒頭のフレーズに巻き戻っていくのが、また……)

 

お気に入りの1曲:仲良し

 

 

「いやフェイクファーじゃないんかい」といった具合だが甲乙つけがたいほどの名曲のこちらも紹介したい。フェイクファーはアルバムの核であり切り離せないが、この曲は普遍的な魅力があるかわいらしいポップソング。歌詞もメロディも甘酸っぱい、少女漫画のような”すれ違い感”に震える。

余談だがスピッツ目的でいったフェスで、sumikaがリハ中にこの曲を歌った。おそらくなんの映像にも残っていないと思うがその場にいたスピッツファンが立ち上がって拍手したのが懐かしい。

そしてその後のドラマも語られている。めちゃくちゃいい話。

 

 

B面集1 花鳥風月

花鳥風月

花鳥風月

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 1999/03/25
  • メディア: CD
 

 オリジナルアルバムではなく、未収録曲やセルフカバー曲を中心としたB面集的アルバム。だが語られるポイントの多い一枚とも思う。

まず1曲目の「流れ星」からして超名曲。パフィーへ提供した「愛のしるし」も名曲、「スピカ」も言わずもがな・・・「旅人」「俺の全て」・・・ウソだろってくらい名曲が連発される。なるほど「裏ベスト」と企画されたのも頷ける。スピッツの「陽」の部分だけではなくて捻くれたり歪んだりしている部分、はみ出してしまったファニーな要素もふんだんに感じられるCDだと思う。ただファン人気の高い楽曲も多い一方で、後半特にマニアックだと思うのでビギナーには勧めづらいかもしれない。スピッツファンであるハライチ岩井の話だが、相方の澤部がスピッツのCDで唯一「花鳥風月」を持っているというところを「通だな」とニヤニヤしてるエピソードがあるが、そういうポジションだと思う。

 

お気に入りの1曲:猫になりたい

スピッツらしからぬ堂々とした口調のロックナンバーである「俺のすべて」ととても悩んだ。どちらも本当に素晴らしい。が、

猫になりたい 君の腕の中

寂しい夜が終わるまでここにいたいよ 

猫になりたい 言葉ははかない

消えないように傷つけてあげるよ

 陶酔感とエロティックなフレーズが見事に融合した、スピッツ屈指の突破力を持つサビのフレーズを加点しこちらを選んだ。
 AメロBメロで語られる風景はどれも寂しくて退廃の香りを放っていて、そんな現実からの逃避として「猫になりたい 君の腕の中」と続いていく。もう滅茶苦茶ロマンティックで頭がおかしくなりそうなくらい歌詞全体が好きな一曲。

 


ベストアルバム RECYCLE Greatest Hits of SPITZ

RECYCLE Greatest Hits of SPITZ

RECYCLE Greatest Hits of SPITZ

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 1999/12/15
  • メディア: CD
 

 レコード会社が無断で発売を決め、バンドメンバーが謝罪をするという経緯を持った曰く付きのベストアルバム。

 スピッツの公式ディスコグラフィにこのベスト盤は存在しない。

だがスピッツで最も売れたCDであることは確かだし、事実として自分自身はじめて購入したスピッツのCDというのもコレだ。地元のゲオの中古売場で1,480円くらいで購入した。今でも思い出せる。スピッツはこのCDだけ持っているという人も相当数いるはずだ。
メンバーの想いを知っている以上この作品をうまく評価することはできないが、「君が思い出になる前に」から「スカーレット」に至るまで捨て曲一切ナシ、スピッツ黄金期の代表曲をこの1枚で網羅できるのだから、ビギナーからすれば最高のベストアルバムだとも思う。

”使いまわし”という愛の無さを裏付けるような「リサイクル」というネーミングも皮肉めいていてスピッツらしい。本人たちがせめてもの仁義としてそう名付けたという。

 

9th ハヤブサ

ハヤブサ

ハヤブサ

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2000/07/26
  • メディア: CD
 

 

 中期以降、最もアグレッシブにロックサウンドと向き合った前衛的なアルバム。本位ではないベストアルバムがリリースされ大ヒットを飛ばしてしまった反動でもあると思う。改めて自分たちの原点であるロックサウンドにただ回帰するだけでは無く、新しいフェイズへと歩みを進める挑戦も感じる。

従来の雰囲気を踏襲したポップソング「HOLIDAY」や先行シングル「ホタル」で完全には置いてきぼりにはならないが、まず1曲目「今」から「8823」に至るまでこれまでのどのスピッツにもなかった攻撃的で実験的なサウンド。これまでと同じ感覚で再生ボタンを押したが最後、「マジ?」ってくらいの暴風に吹き飛ばされそうになる。しかし荒々しいだけではなく、バリエーションも豊か。サイケデリックな「甘い手」や浮遊感のあるインスト曲「宇宙虫」などなど印象的な曲が盛りだくさん。

さらっときけるポップなスピッツ像とはまるで違う、スピッツの反骨精神がむき出しになっているアルバム。音楽的にもスピリット的も、新しい時代が始まった高揚感に満ちた1枚。

 

  お気に入りの1曲:8823

 

アルバムを象徴するタイトルトラック。ファンからすれば面白みのないチョイスだとは思うが、2000年以降「ロックバンド・スピッツ」の再生を強く象徴している大名曲。聞いたことが無いならとりあえず聞いてみてくれ、というやつだ。

「君を自由にできるには宇宙でただ一人だけ」

「君を不幸にできるのは宇宙でただ一人だけ」

切り札のようなフレーズ。爆発のような轟音。今もセットリストの超定番。

 

10th 三日月サンセット

三日月ロック

三日月ロック

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2002/09/11
  • メディア: CD
 

 

ロックバンドとしてポップソングを鳴らす、その絶妙なバランスを見事に完成させた名盤。個人的にはTOP5に入るレベルで好きなオリジナルアルバム。

今なお続く亀田誠二プロデュース第1弾。もう19年前のアルバムではあるが、いわゆる「最近のスピッツ」として認識されるサウンドはこのアルバムからの延長線上にある感じ。

収録シングルもどれも刺さりまくる時期だし、アルバム曲も本当に粒ぞろいだ。1曲目「夜を駆ける」は特にファンからの支持も厚い。神秘的かつスリリングなサウンドに、マサムネの甘く刹那的な世界観が見事に融合している。

アルバム曲順も最高。「夜を駆ける」から「水色の街」「ハネモノ」という流れは本当に美しい。ハードかつ軽快な「エスカルゴ」、あまりにも儚いムードを漂わせる名バラード「ガーベラ」、アルバム最後にはバンドの一体感が気持ち良すぎるロックチューン「けもの道」。スキがなさすぎる。

シングル「夢追い虫」は収録を見送られたが、入っていたらどんなことになっていたのだろう。そんなIFも楽しい。

お気に入りの1曲:ババロア

 

 

きれいな曲だ。本当にうつくしいことを、うつくしい景色をうたっている気がする。打ち込みサウンドのちょっとしたダンスナンバーでもあってスピッツ的にはかなり浮いている曲(今のスピッツだったらそうでもないか。当時としては・・・)。

中学生のころ、この曲でいくつもの物語を妄想したり、恥ずかしいぐらいに浸りながら夜自転車を走らせたり、そういう時のにおいや感覚がこびりついていて、正常な評価が出来ない曲でもある。好きを超越したところに行った。

 

 

B面集2 色色衣

色色衣

色色衣

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2004/03/17
  • メディア: CD
 

 オリジナルアルバム未収録だったシングル「スターゲイザー」「夢追い虫」、元日リリースのep盤「99ep」のほか、シングルのカップリング曲を集めたアルバム。

性質上どうしても寄せ集め感が出てしまいかねないところだが、個性の強い楽曲が並んでいていい意味で無秩序、ワクワクする一枚になっていると思う。「花鳥風月」後から「隼」「三日月ロック」・・・と特に音楽性が変貌していった時期が反映されている。

「稲穂」「魚」「大宮サンセット」あたりはかなり普遍的なスピッツ的ポップソングという感じで受け止められるし、「船乗り」「孫悟空」あたりの勇ましいながらもひねっている感じもまた裏のスピッツらしさ。とはいえ1曲目「スターゲイザー」聞きたさにこのアルバムを手に取ったビギナーがまぁまぁ戸惑ったであろうことも想像がつく。マニアックな曲も多い。

 

お気に入りの1曲:魚

 

Aメロからスムーズにサビへ移行する、コンパクトながら浮遊感と広がりを感じさせる名曲。ザ・スピッツという具合のサウンドとサビの伸びやかさが本当に気持ちいい・・・!

魚というタイトルどおりの漂うギターフレーズがクセになるが、歌詞から感じるのは夕暮れどきの橙色に染まった水中。

 

言葉じゃなくリズムは続く 二人がまだ 出会う前からの

  

言葉じゃ「な」「く」リズムは続く の、歌詞通りに言葉が引き延ばされて意味を感じられなくなって、ただ心地よいリズムとして歌が響いてくる、このメタっぽい感触が大好き。こういう遊びってのちの「これ以上はもう歌詞にできない」あたりにも通ずる。

 

11th スーベニア

 

スーベニア

スーベニア

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2005/01/12
  • メディア: CD
 

 

爽快すぎる名曲「春の歌」で幕を開ける11th。リアルタイムでスピッツの「最新作」として聞いた最初のアルバムがスーベニアということもあり、個人的には思い入れの深い一枚。

音圧も上がった「三日月ロック」をさらに上回るバキバキサウンド、音色のハデハデ。ちょっと聴き疲れをしてしまうという声もあるがこの作品を特徴づける点でもある。先行シングル「正夢」もそうだがストリングスもかなりコッテリとした濃いめの味付けという感じだ。ゆるめのサウンドなはずの「恋のはじまり」「自転車」も、かなりどっしりとしたアレンジに感じる。一方でかなりの異色作である沖縄民謡テイスト「ナンプラー日和」など一度聴いたら忘れられないインパクトを残してくれる曲もある。(沖縄なのにナンプラーというのがスピッツらしいと思う)

個人的に「甘ったれクリーチャー」「ほのほ」「ワタリ」「みそか」といったヘヴィなロック曲がどれも当たりで、ロックアルバム的な聞き方していることが多い。特に「ほのほ」「ワタシ」の2連発はかなりテンションがあがる曲順。

 

 

お気に入りの1曲:ほのほ

しずかな冬の夜に走っているような、青い炎の印象のクールな曲。一転してサビでは情熱的なフレーズを歌い上げてくる。シングルになっていてもおかしくないインパクトとポップさが備わっている曲。

 

12th さざなみCD

さざなみCD

さざなみCD

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2007/10/10
  • メディア: CD
 

 

1曲目「僕のギター」による高らかな宣言のあと、黄金期を思わせるポップセンスが炸裂する「桃」に続いていく。それがとても象徴的なアルバムではないだろうか。個人的には「ハチミツ」期のようなキラキラ感がまた戻ってきたような感覚があった。サウンド的にも歌詞的にも、どことなく「少年感」が蘇ってきている。

テンポ感最高な「点と点」、ダンサブルな「不思議」なんて過去あまりなかったフレッシュ感だし、奇妙なタイトルの「Na・de・Na・de ボーイ」は若手邦ロックバンドっぽいというかズバリ言えばRADチックな曲作りになっていたり。

それはオジサンバンドが無理して若返ろうとしているような空気感ではなく、むしろ照れというか「僕たちもこういうの作ってみたくなっちゃったんだよね」とでも言わんばかりのお茶目さを感じてしまうのだ。

これまでの歩みを振り返るような「ルキンフォー」、壮大かつ疾走感ある表題曲「漣」もアルバムのまとめ上げている。
近作で見られた実験的な挑戦は少しずつ落ち着いて、グッドメロディを素直に響かせようというシンプルな意図を感じる。スバぬけた曲は無いかなという感想ではあるがアルバムトータルとしてはとても、とても好きな1枚。

 

お気に入りの1曲:桃

 


13th とげまる

とげまる

とげまる

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2010/10/27
  • メディア: CD
 

 

シングル曲はしばらくギラギラした時期が続いていたが、このアルバム収録の「つぐみ」「君は太陽」「シロクマ」あたりからグッと力みがぬけたような・・・気がする。前作「さざなみCD」と比べるとさらに伸びやかな楽曲が展開されている印象だ。

近作では1曲くらい「なんじゃこりゃ」な曲がいくつか投入されていたがこの作品はすっきりとまとまっている。聞きやすい音だと思う。個々の曲では好きな曲はたくさんあるが、アルバムとしての印象はやや弱くもある、正直なところ。


けれど特に好きなフレーズがある。

同じこと叫ぶ 理想家の覚悟 つまづいた後のすり傷の痛み
懲りずに憧れ 練り上げた嘘が いつかは形を持つと信じている

アルバム最初の「ビギナー」の一節。スピッツらしい言い回しだが、強い意志をはっきりと提示してくる。近年のスピッツはストレートなメッセージが増えてきていると思うのは、このアルバムから強固に方向が決まったようにも思う。
13枚もオリジナルアルバムを作り、当時20周年を迎えていたベテランバンドのスピッツ。「同じこと叫ぶ理想家の覚悟」、それを持ち続ける「ビギナー」、それを歌にするスピッツがかっこよくてたまらない。

 

お気に入りの1曲:恋する凡人

「バニーガール」「不死身のビーナス」系。妄想家でロマンチストなポップロック。熱に浮かされて駆け出す高揚感が見事に詰まっている。そして度々言及しているが「これ以上は歌詞にできない」と歌って本当に歌が終わるの、好きすぎるんだよな・・・。

 


 

 

B面集3 おるたな

おるたな

おるたな

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2012/02/01
  • メディア: CD
 

 

ファン人気も非常に高い「三日月ロック その3」が目玉・・・だけに終わらない企画盤。個人的には「テクテク」がほかのスピッツにないテイストのAの面曲でとても好きだ。

これまでのB面曲集と違う点は、カバー曲の割合が多いというところ。出川の充電旅番組のテーマソングとして大量に流れている「さすらい」カバーが一番有名だろうか。

ほかにも原田真二の 「タイムトラベル」、ユーミンの「14番目の月」、はっぴいえんどの「12月の雨の日」、初恋の嵐の「初恋に捧ぐ」、花*花の「さよなら大好きな人」・・・スピッツの親和性も高い名曲がズラリ。親和性が高すぎてそうと知らなければスピッツのオリジナルと思ってしまう人も出てきている。

とくに「初恋に捧ぐ」の少年感・キラキラ感はまるで「ハチミツ」に入っていてもおかしくない。自分はこのスピッツ版から先バンドのことを知った。でも、原曲も素晴らしい。初恋の嵐というバンドを知れば、尚の事。

お気に入りの1曲:初恋に捧ぐ

 

 


14th 小さな生き物

小さな生き物(通常盤)

小さな生き物(通常盤)

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2013/09/11
  • メディア: CD
 

ファンには通説となっている、スピッツのアルバム3年周期説。

その3年の間に日本は3.11を経験した。日本にはもちろんのことスピッツにも変化をもたらした。一見/一聴すると気づきにくいかもしれないが、このアルバムには明らかに喪失の悲しみや無力感のようなシリアスな響きが紛れている。

「さらさら」は往年のスピッツサウンドが目立つポップスだが、近年のシングル曲には珍しいほどに、死の匂いを放っている。表題曲「小さな生き物」はイントロもなくアタマの歌詞で力強くこう歌い上げていく。

負けないよ 僕は生き物で
守りたい生き物を 抱きしめて
ぬくもりを分けた 小さな星の隅っこ

決して暗いアルバムではない。けれどミュージシャンとして、どこまでスピッツの歌として、それらテーマを落とし込むか苦心をした痕跡が見え隠れする。たまにまったく隠そうともしてなかったする。

でも初期スピッツのようなビートを感じる「野生のポルカ」、ダンスチューン「エンドロールには早すぎる」から、ゆったりと心地よく暖かな「ランプ」のような佳曲も楽しい。最後の「僕はきっと旅に出る」は名曲。2ndは魔女の旅を見送る側だった。

きちんと大衆的なポップソングを鳴らしていく。「伝えたい」というモードに入ったスピッツの新しい一歩。

 

 

お気に入りの1曲:潮騒ちゃん

おふざけみたいなタイトルのおふざけみたいな曲。でも「夢なら醒めないでもう少し」で一気に広がっていく感覚がとても気持ちよくて泣きたくなる。近年のなかではスピッツの妄想癖のかわいい部分が強く出ている曲で大好き。

 

ちなみに特別版だけに収録された「エスペランサ」という楽曲があるが、こういう収録の仕方は格差を生むので本当にやめてほしい。アルバムが良いだけに余計にかなしい。

 

15th 醒めない

醒めない(通常盤)

醒めない(通常盤)

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2016/07/27
  • メディア: CD
 

 個人的に2010年代のスピッツのアルバムで一番お気に入り。

音がマイルドというか、丸っこい気がする。大好きなスピッツの音だ!アルバム全体通して1曲みたいに聞ける繋がりの美しさも良い。キラーチューン然とした突き抜けたシングル曲なんかもなくて、本当にまとまりが良いのだ。ギターのクリーンな響きが特徴的で、春に聞きたいグッドメロディの宝庫。けれどちょっと切ない世界感。

タイトル発表のときみんなが「どうした?」と言ったことでおなじみの「子グマ!子グマ!」とかビビるくらい良い曲。ハネるリズムがクセになる。CMソングにもなっている「ヒビスクス」はスピッツらしい捻くれたフレーズを織り交ぜつつも壮大な冒険に出ているような感覚が味わえる良曲。

なにやらカタカナの曲が多いので最初どの曲がなんなのか混乱したが、今も正直混乱しているところはある(5年経ってるのにな)。アジカンのワールド×3とかと同じ感覚。

 

お気に入りの1曲:コメット

1番を選びにくいアルバムではあるけれど、ある意味では、この曲が1番スピッツの本質かなと思う。スピッツっぽい妄想ストーリーのような展開を見せつつもそこはかとない死の匂い、叶えられない願い、そんなイメージが胸に迫る名曲。

 

16th 見っけ

見っけ(通常盤)

見っけ(通常盤)

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2019/10/09
  • メディア: CD
 

 2019年リリースの最新作。

前作までの流れを継ぎつつも、「新しい音を鳴らしてみよう」という意図が強く感じられるアルバムになっていると思う。1曲目の表題曲、再生ボタンを押すやいなやピコピコのシンセイサイザーが聞こえてきて「!?」っとなる。マサムネが歌い出すとスピッツになって安心するけどバックでずっとリフレインで鳴っている。明らかに新しいアプローチだ。

NHK朝ドラ第100作目という大型タイアップ「優しいあの子」はこれからのスピッツのスタンダードになるくらいの素直かつ計算しつくされた1曲。ストーリー仕立てのエモ曲「ラジオデイズ」もみずみずしい魅力が溢れている。美メロが連発する神秘的な名バラード「ブービー」も新鮮。

30年たって16枚もオリジナルアルバムを出しながらもまだまだ新しい。スピッツというバンドが未だ進化を止めない生き物だということを再認識させてくれた1枚。(でもまた通常版未収録「ブランケット」やめてくれ問題は言っていく )

 

 

お気に入りの1曲:まがった僕のしっぽ

これはスピッツを多く聞いている人ほど「やられた!」と思う曲だと思う。「あれ、シームレスに次の曲いったか?」と最初トラックナンバーを確認してしまったレベル。ノスタルジックな響きにふわふわさせられた前半から一転、いきなりオスのスピッツ感(暗喩)を見せつけてこられたような最高の1曲。新しい!けどスピッツらしい!

「まがった僕のしっぽ」というファニーな部分に愛着を持っていく感覚はスピッツイズムだなぁ。初期スピッツ的に性的なメタファーとして使われそうだが。

 

優秀で清潔な地図に 禁じ手の絵を描ききって 楽しげに果てたい

 

スピッツの精神性は変わることなく、いつまでも死を見つめている。ニヤニヤしちゃうんだ、そういうところに。大好きだから。

 

 

---

 

 

以上です。およそ1万3全字になりました。

1アルバム3ツイート分くらいでまとめようと思ってましたが、普通にめっちゃ長くなってしまった。

シングルベスト盤は割愛。どうせみんな聞いてるでしょ?ということで。

 

GWの時間を使って、改めてスピッツのアルバムをざっと聞き直すなんてことをしています。一部のアルバムは冗談抜きで100回とか200回はフルで聞いているので、もう耳にも脳にも身体にも染み込んでしまっている。

染み込みすぎて、たまたまその曲を聞きながら見た景色だったりトラブルだったりを思い出すスイッチにもなったりして、たまに蹲ったりする。

それくらい自分の人生に結びついてしまったスピッツなので、
「あ、スピッツの新曲でたんだ、それじゃ聞いてみよ」くらいの空気感で、
「まえスピッツのライブ見てから3年くらいだしまた見たくなってきたな」
とかそんな距離感で、たぶん一生付き合っていけるんだと思う。

人生の半分以上の時期で聞いてるんだからもう逃げられそうにないんだよな。

 

 

 

以上、2記事まるごとスピッツ話でした。

 

 

ぼくとスピッツ、というような話(30周年に寄せて①)

 

スピッツが今年でデビュー30周年です。

 


それを記念した新曲。どこをどう聞いてもスピッツだ。スピッツはいつだって100点なのだ。いつでも聞けて、いつでも染み込んでくるのがスピッツだと思う。


今年2021はデビューから30周年。
ベスト盤とかが出たのが2017年、結成30周年のときで、個人的に語るタイミングを逃してしまった。
せっかくなので今年は「ぼくとスピッツ的な記事でも書いて、自分なりにスピッツの30年のことを振り返ってみようと思う。

といっても自分は1992年生まれの29歳なのでデビュー時まだ生まれてなかったわけだが。30年音楽をやってるってメチャクチャすごいな。

30周年ということで、いろんな媒体でもスピッツを改めて語られているのを見かける。そういうのを摂取することで、自分語りへと向かう勇気を持つことができた。

 

 

 

 

 

原初の記憶をたどれば、ロビンソンとか空も飛べるはずとかチェリーは当時幼稚園児とかだった自分の脳みそにもメロディが残っていた。しかしスピッツというミュージシャンとして認識はしてなかったので、出会いはもっと先になる。

たぶん最初は「遥か」だったと思う。

 

 

サビの部分だけ聞いて「なんていい声なんだ」「スピッツっていう人が歌ってるのか?」と興味を持ったのをなんとなく覚えている。

当時、アニメのデュエルマスターズを見る為に登校前は「おはスタ」を見ていた。たしかその音楽紹介コーナーで流れたんだと思う。記憶がおぼろげだが、当時の自分のあらゆる情報源は「おはスタ」だったからたぶん間違いない。「週刊プレイボーイ」におじさんが欲しいすべての情報が詰まっているように、「おはスタ」にはキッズが欲しい情報全部ある。(そうか?)

 

ともかくこの「遥か」のサビですよ。この果てしない遠くまで連れて行ってくれそうな神秘的な響き。今聞いてもめちゃくちゃ気持ちいいんだが、当時こんな音楽は聴いたことないぞと、びっくりした。ただCDを買うという発想はなかった。

 

中学に上がると学校の授業もPCに触れたし、家では父親が使うPCを夕方つかうことができた。そのころスピッツは「スターゲイザー」でまた注目を集めたころだったかと思う。やっぱ当時の「あいのり」はすごかったよ。見てなかったけど・・・。

 

PCに触りだした中学生は「おもしろフラッシュ倉庫」に入り浸ることになる。後から聞いても同年代共通のムーブメントだった。俺はフラッシュ倉庫で見た「はげの歌」を覚えて友人と休み時間に歌ったりした。ニコニコ動画はまだなかった。

フラッシュ倉庫には歌に映像を付けたオリジナルMVのような作品もたくさん見ることができた。そこで「空も飛べるはず」のフラッシュを見てめちゃくちゃ感動したのだ。いま探しても権利問題的に動画サイトからは削除されてるし、作者さんの元サイトも見つからないのでここで紹介は出来ないが・・・

ちょうどこの「風になる」のフラッシュと同じ作者さんだった。このテイストの絵を見て思い出す人はいるんじゃないだろうか。

 

 

このフラッシュで「聞いたことのあるあの曲はスピッツの曲だったのか!」と発見があり、スピッツのベスト盤「リサイクル」を中古で買った。

フラッシュという二次創作から曲を聴いて、中古でCDを買う、しかも例のいわくつきのベスト盤。とことんスピッツに顔向けできないムーブをかましている中学生だな。

この歌ものフラッシュからBUMP OF CHIKENの「K」を知ってCDを買いに行った。自分の音楽的趣味にめちゃくちゃ強い影響をあたえているなフラッシュ倉庫・・・。

 

ベスト盤「リサイクル」はめちゃくちゃいいCDだった。多分だけどこれまでの人生で1番CDプレイヤーでかけたCDだと思う。今となっては、心情的にそんなに再生することはないけれど。

ここで一気にスピッツにはまって、もっといろんな曲を聴くためにアルバムをゆっくりと集めだした。1st「スピッツ」から当時の最新アルバム「スーベニア」までをコンプリートしたくらいのときにニューアルバム「さざなみCD」の発売が告知される。

本当にたんなるシャレに過ぎないが、自分のハンドルネーム「漣」をスピッツとがつながったことでメチャクチャテンションが上がったんだよな。普通にアルバムとしても良盤だと思う。

 

それ以降はリアルタイムでスピッツを追いかけていくことになる。

勉強しながらでも、通学中にでも、とにかくBGMはスピッツのことが多かった。ラノベでも漫画でもなんにでもイメージソングを考えるいっぱしのイメソン厨となっていた俺はひたすらスピッツを聞きながら別の物語の味わい方をあれこれ探していたりした。

切ない夏の物語には「夏の魔物」を、えっちな物語には「プール」を十八番としてイメソン展開をしていった。悲恋の幼馴染には「仲良し」を、スペーシーなSFには「ババロア」を、堕落した日々には「猫になりたい」を、刹那的な一夜には「夜を駆ける」を、遠く離れたきみには「流れ星」を、ノスタルジーにたっぷりをひたした「愛のことば」を、正夢とおもいたいような美しい場面に「正夢」を、感動のエンディングに「夕陽が笑う、君も笑う」を。

自転車をこぎながら爆音で聞く「バニーガール」「スパイダー」は最高だし、憂鬱な日曜夜に聴く「あわ」「大宮サンセット」は心をやわらげてくれたし、嫌なことがあったら「みそか」「ワタリ」を聞いた。好きなキャラクターの顔や後ろ姿を思い浮かべながら聞く「ロビンソン」や「運命の人」や「フェイクファー」は自然と泣けた。

そんなことになったのはアニメ版の「ハチミツとクローバー」の影響が大きいと思う。このアニメからスガシカオを聞くようになったし、スピッツの曲も贅沢に使用されていた。特に印象的だったのは「魚」「夜を駆ける」「スピカ」といった第一期での使われ方だろうか。あのアニメのせいでなんにでもBGMを付けて遊ぶくせがついてしまったな・・・。「魔法のコトバ」が映画に使われたのもうれしかった。

 

 

閑話休題

正直なところ、すこし距離を置いた時期もある。

アルバム「とげまる」が当時あんまりピンときていなかった。「シロクマ」「恋する凡人」など大好きな曲も多いが、アルバムとしてはいまだにあまり聞き返さない。

でもその後に発売された「おるたな」でスピッツ最高論者に戻り、「小さな生き物」以降、すこし違うモードに入ったスピッツを2021年に至るまで好きでい続けている。

少し違うモードというのはやはり3.11の大震災の影響だと思う。それとは直接言及することはないが、明らかに「とげまる」と「小さな生き物」のはざまで空気が変わってきていると感じる。その後の「醒めない」なんかはキャリア全体を見渡しても相当上位に食い込むほどに好きだ。

 最新作「見っけ」も細部に新しいスピッツが感じられて、まだまだ進化を止めない姿勢が感じられて本当に嬉しい。

 

スピッツの魅力を改めて考えてみると、こんなにひねくれたマイノリティの世界を映すアーティスティックな活動をしながらも普遍性、大衆性を獲得した稀有なバランス感覚というところが大きいと感じる。

「なんかよくわかんない歌詞だけど、たぶんいい感じのことを言ってる~」と脳みそが錯覚を起こす、草野マサムネの天才的な作曲と歌声。気持ち良い一体感のバンドサウンド

 

スピッツファンは往々にして「パブリックイメージとしてのスピッツ」と「ロックバンドあるいはパンクバンドとしてのスピッツ」のギャップを語りたがってしまうんだが、チェリーを楽しくうたってる人に横から「スピッツのテーマは死のセックスなんですよ、ご存知ですか?」などとのたまってたらそれはもう危ない人なので我々も大人として堪えている。

その時代ごとにエヴァーグリーンな名曲を生み出してきた「国民的なミュージシャン」であることも、しれーっと優しいサウンドのヒット曲に恐ろしいフレーズを忍ばせてくることも、きっと多くの人が知っているところだと思う。

大御所バンドであるにも関わらず、不思議と親近感を抱くような立ち位置にいる不思議なバンドだ。妄想癖に少年の戯言のような歌詞を歌い続けているからなのかもしれないな。お硬いことを言わず、メッセージを力強く表明するようなこともなく、イデオロギーを感じさせるような振る舞いもない。それがイコール「だから素晴らしい」という話じゃない。極個人的だったりミニマルな箱庭的な世界観の中で綴られる歓び、孤独、別離、君とのおぼろげな距離や妄想じみた言葉遊び。スケールなんか全然デカくない。そういう控えめにけれど楽しげに音楽を奏で続ける姿勢が、スピッツらしさだと思う。

こんなに長期間第一線にいるバンドなのに偉大な大物バンドって感じじゃなくて「俺だけのスピッツ」みたいなのをずっと大事に抱きしめてしまうんだよな。すっげぇ話が合う中学時代の友人みたいな感じ。スピッツを聞くときおれは中学生。

 

自分語りと絡めたスピッツ語り、いくらでもできそうなんだがひとまず気持ちは落ち着いたのでここらへんで終わります。

 

この記事を書くついでにスピッツのこれまでのアルバムぜんぶ聞き直したので、全作レビュー記事も書きました。それは②で。