「正直どうでもいい?」

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大サーカスをめざすスペース・オペラ・ラブコメ 『星の大サーカス』1巻

星の大サーカス 1 (BLADE COMICS)星の大サーカス 1 (BLADE COMICS)
(2011/11/10)
桜野 みねね

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   今度こそ一緒に 夢を叶えようね! 待ったしましたの桜野みねね先生の新作「星の大サーカス」1巻が発売です。 「フェアリアル・ガーデン」完結からしばらく待ちましたが、わりと早く新連載が始まってくれて嬉しかったです。今回は舞台は宇宙です。ヒーリング系スペース・オペラ(?)、ラブコメ風味。 表紙のクラウンの格好をした主人公がかわいいですね。女の子のピエロいいな。 「フェアリアル」が常にヘビーなシリアスな要素があったのを思うと、1巻での印象としては元気度3割増しくらい。とは言え、うまく言葉にできないもどかしさや切なさがストーリーのそこかしこに散見され、そこはみねね先生らしさがばっちり。 第1巻には6話までと、巻末に描きおろしページを収録。


サーカスのクラウンを務めた父を持つ少女・メロディ。 しかし練習中の事故で父はなくなり、サーカス団は解散。今はひっそりと暮らしています。 そんなメロディを長年探していたのは、その国の王子・ランスロット。 幼いころに偶然出会った思い出から、想いを温め続けていた一途な王子様です。 彼は王子としての任務に、メロディも一緒に来て欲しいとお願いをしました。 そしてランスロットと召使・バディ、メロディの3人は、星外視察という名目のもと、星をめぐる旅へと出るのでした。目指すはサーカスの復活! まず、登場するキャラクターがみんな個性的でかわいらしいですね。 目新しさは無くとも、今のところのメイン3人がうまくかみ合ってる感じ。 特にメロディに憧れ続けた王子、ランスロットがいい味出していますよ。 王子ということで浮世離れした世間知らずっぷりをいたるところで見せつけるのですが、それがメロディのラブコメ展開の中にあっては本当に面白いことになってる。 彼のぎこちなさと言ったら、見てるこっちが気恥ずかしくなってくるレベル・・・! どうすれば仲よくなれるのか、もっと近づけるのか、素直に気持ちを言えるのか。 少年らしい悩みではありますが、やっぱり致命的にズレているのでおかしな間違え方をするw メロディも恋愛沙汰にはどう見てみたってニブそうですし、ふたり揃ってかわいいですが、どう関係が進展するのやら・・・。 サーカス2 まぁイベントは事欠かないので、なんとかなる、か・・・? ウブな2人がおっかなびっくり心を通わせていく様子がなんとも愛おしいですね! そんな2人を見守るポジションのバディさんもミステリアスな魅力あり。心優しい人物であることは間違いさそうですが、まだ底が見えてきませんね。しかし、貴重な大人キャラ。 スマートに女性をリードする余裕も見せつけ、ランスロットをより焦らせたりします。 そして改めてヒロイン・メロディに関して。 表紙にも彼女の目の下の星のマークが見えますが、これは生まれついてのものです。 その時の感情に合わせて、このマークは様々変わるようです。物語の始まったときには、悲しみにくれたままだったために涙のマークが目の下に浮かんでいました。 大きく感情が揺らいだ時には、その感情に応じたマークがさらに2重になるなどの変化があるようです。 サーカス3 父親の話を聞いていたシーンにも、星マークが2重になっていました。(画像見づらいかも・・・) 星マークというのは基本的に気分がいいときになっているようですね。 彼女自身、微妙な感情の変化をこまかく表情に表すキャラクターではないので、このマークの変化ってとても彼女のその時の状態をわかりやすくしてくれています。 これの発想はピエロのメイクから来ているのだと思いますが、表紙のメロディちゃんやっぱりかわいいですねえ。まだ本編ではクラウンにはなっていない彼女ですが、いずれ・・・? また脳天気な様子が多いですが、彼女は根本的にネガティブ思考の持ち主かも知れません。たびたび彼女のモノローグには影を感じさせます。 それは自分への自信の無さの表れ。はやく完全に前を向けるようになるといいのですが。


そして大変です!アンヌちゃんがかわいいです!! サーカス1 犬です。わんこです。わん娘です。「ポチ」という人間と犬の間のような生物。 人間形態になれる時間は限られているようですが、言葉だってしゃべれます。 旅に出てはじめにやってきた惑星「ティアドロップ」で急に現れたアンヌ。 1巻の後半から登場し、なんだかメインメンバーの仲間入りをしそう・・・? 言葉数少ない女の子かと思いきや、いたずらな表情を見せたり眠るランスロット王子の布団にもぐりこむ夜這いまがいな行動を起こしたり!アンヌちゃんに心惑わされまくりですよ! サーカス4 百合っこ属性もお持ちで・・・? わんこらしく人懐っこい面ものぞかせつつ、小悪魔なムードを漂わせる女の子。 一方、アンヌは自分とメロディが似ていると語ります。 それは遠くにいる大切な人へ想いはせていること。メロディはすでに他界した父ですが、アンヌが思い描く人物とは一体だれなのか。気になる所です。そしてメインメンバー入りを・・・!


宇宙を舞台としていますが、基本的には地球の街並みに似ています。 主人公は最初花を売ったりしてます。物語の始まりである中心星ホワイトハーツでは、なので今後どんな星が登場するかはわかりませんが。異世界感は薄いですが、雰囲気はうまく作られています。 現時点でも様々オリジナルのファンタジー動物やマシンが描かれており、今後もどんどんとスケースが大きくなっていけばさらに彩りある世界観になるかもしれません。こういう作品は舞台設定が増えれば増えるほど賑やかになっていきそうで、楽しみです。 そしてストーリーに関しては、今のところはかなり明るいと思います。 とは言え、メロディは自分がしたことで父を亡くしたと思っており、未だに父へ申し訳なさを引きずっています。そういう切ない部分はやはりあるんですよね。 立ち向かうべきは自分の中の弱さや過去のしがらみということで、自身の心の深くへ深くへと潜っていくような感じ。 と同時、本人が意識しないところでだれかを幸せにしていたりする様子が描かれており、ナチュラルな癒し要素を感じます。絵のやさしさと合わせて、心あたたまる作品になっています。 メロディが紡いでゆく「歌」はどんなものなのか。2巻以降も楽しみです。 『星の大サーカス』1巻 ・・・・・・・・・★★★★ キャラクターがとても魅力的な1作。男の子も女の子もみんなかわいいですなあ。癒し。