「正直どうでもいい?」

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恋人と、家族と、友人と、幸せになろう。『清々と』2巻

清々と 2巻 (ヤングキングコミックス)清々と 2巻 (ヤングキングコミックス)
(2011/08/29)
谷川 史子

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   これは恋ですか? 発売から結構経ってますが、「清々と」の2巻がでています。 キャッチーで華やかな絵柄やらオトコ匂い立つ絵柄やらいろんな漫画が混在してるアワーズで、たまに掲載されては癒し成分をふりまいている作品です。青年漫画誌になぜか正統派少女漫画がある感じ。 雑誌としてはすてきな清涼剤として存在感がありますし、単行本でいっきよみするとほんわか幸せな気分にしっとりとひたれるような作品ですね。 読むとすっと笑顔にさせてくれます。


おてんばながら名門女子高の鈴蘭女学院に入学した清。 彼女やその家族、そして周囲の友人たちを描く作品で、基本的に1話完結。 友情、恋愛、家族愛など人と人のつながりを魅力的に描いています。 ●印象的だったのが第5話で、これは清の弟視点のお話。 家族としてみれば、姉の清は鈴蘭に通うようなおじょーさまとは思えないけれど ふと、普段のぐーたらな姿にすら、不思議な感情を持つようになります。 きっかけは鈴蘭に憧れるクラスメイトで、本当に自分のお姉ちゃんは誰かから憧れられるような人物なのだろうかと疑いを持ちながら観察してみたら・・・、なんかドキドキ。でも自分の知ってるお姉ちゃんとはどこかが違ってるみたいで、遠いとも感じる。 改めて家族との距離感を見なおした、ちょっとしたさびしさを秘めたエピソード。 自分が思うより、お姉ちゃんはちゃんと女の子なのかも。 さや1 いつかくるかもしれない姉の巣立ちの日を思ったりなんかして、いつもより少しだけやさしくできた夜。姉弟愛にほんわかくる大好きなお話です。 弟くんサイドのヒロインらしい女の子もかわいいですねえ。 ●第9話は清の友人・千香子を主人公にしたエピソード。 バレンタインに浮き立つお嬢様たちがオープニングに描かれるとおり、バレンタインをめぐっての恋愛色の強いお話です。 ジスイズお嬢様!な千香子。そのいいなずけの少年は、今風で活発な男の子。 ちょっと不思議な組み合わせな2人ですが、幼いころにした結婚の約束を今も大切に待つ千香子ちゃんの一途さがまず胸を打ちます。しかしさて、相手の男の子の心中はいかに。 ささいなすれ違いからクライマックスへ。オーソドックスなストーリーラインに沿い進行し、後半の盛り上がりは流石ですね。もふー。 さや2 今は一緒にはなれない。ただ、確かな約束をする。 最後のページの「あああもうどうしましょう~」な清がそのまま自分のようですw 意思や目標を強くもった男の子と女の子、メイン2人それぞれとても魅力的でした。


さらーりとと好きな2つのエピドードを紹介してみました。 ほかにも、ちょっと怖そうなクラスメイトとの交流を描き、その友人の凛々しさも眩しい第7話や、社交ダンスをやりたいのに反対する父と衝突する少女を描いた第8話もすてき。 1つ1つのエピソードのよさを言ってあげていってもキリがないような。今回も温かいエピソードがいくつも収録されていて、うれしい一冊になっています。 谷川先生の作品はシンプルかつ最大級の魅力に溢れていますなー! 1年に3回くらいのペースで雑誌にのるので、単行本化がやや遅いのが残念ですが、他誌でも作品かいてますし、今後ともまったりと続いて欲しい作品だと思います。 さや3 清が自身の恋をより深めてきているのも、これからどうなっていくのか気になるところですね。 清に関する環境にそれほど大きな変化は今回ありませんでした。しかし恋への憧れをさらに強めていったことが伺えます。 P73の「ふうん、そっか」としみじみ感じ入る場面も印象的でした。 まだまだ恋に恋する、といった段階かもしれませんが、自分のなかで大きくなっていく想いにも気づいたりも。自分の恋を叶えるために頑張って行ってほしいですね。 いちおう主人公は清ですが、ころころと話ごとにメインキャラが変わって清のストーリーがなかなか進まないことがもどかしくもあります。しかし、本八幡先生と清の関係をぎゅっと縮めるイベントもじきにやってくるでしょうね。待っています。 ほんわかやさしい、かわいらしいシリーズです。 『清々と』2巻 ・・・・・・・・・★★★☆ 読んでると心のそこから気持よくなれるような作品。タイトルどおりの味わい。