「正直どうでもいい?」

漫画 音楽 娯楽

いけないコト、たくさんしようよ。『禁忌アンソロジー feroce』

禁忌アンソロジー feroce (マジキューコミックス)禁忌アンソロジー feroce (マジキューコミックス)
(2012/10/25)
不明

商品詳細を見る

   禁じられるからこそ、狂おしい いけないこーとーかーい?傷ついーてーもー・・・以下略。 エンタブレインのアンソロジーシリーズ、今回のテーマは「禁忌」です。 このシリーズ、amaroから始まり、前回は百合アンソロジーdolceが発売されましたね。 →女の子の世界はやわく可愛く切なく危うい。『百合アンソロジー dolce』 今回は禁忌がテーマといことで、危ない関係のいくつもいくつも楽しめる一冊。 兄と妹、姉と弟、教師と生徒、同性同士、ほかにも色々。 ドキドキする背徳的なシチュエーションの恋愛モノが好きな方にはおすすめしたいですね。 あとテーマがテーマなので、雰囲気も描写そのものも、結構エロいよ! 参加してる作家さん一覧を眺めても・・・うん、これは成年漫画のゾーンだ。そっち方面で活躍してる作家さんも大勢いらっしゃいます。 試し読みページも用意されているのでこちらもチェックしてみては。 「禁忌的な恋」テーマだと暗いものが多いというイメージになりそうですが 1冊の中でいろんな方向性の作品が集められていて、うまくバランス取られています。 がっつりシリアスもあればコメディ全開もあり、エロもあり。 表紙と裏表紙からして素敵です。 表紙は、教師と生徒がこっそり隠れて・・・なワンシーンかな。ノリノリな生徒さん可愛い。 そして裏表紙はきんくさんによるエ年の差モノか。わぁい!きっと事後!くそっエロすぎる! きんくさんのイラストの破壊力はやはりすごいな。少女の細く白い指が、色黒くて大きな男の指と絡まっている。それだけでなんかもう!いけないことしちゃってる感MAXですよ!きんくさんのイラストはもともと好きだけど、これ大好きです。 では特に気に入った作品の個別感想ー。


ディプラデニア/大塚小虎

しょっぱなから心打ち抜かれた・・・!大塚先生による姉弟モノ。

ページ数はそう多くないのでうねりのあるストーリーはありませんが 自分の本当の気持ちに気づいて、超接近して、触れ合って・・・な、ストレートなストーリーラインをそのまま突っ走って、とても気持ちがいい!そして、要のおねえちゃんが超かわいい・・・! ふぇろ2 ほげェー!くっそかわいいぞー! 姉弟で恋をするという後ろめたさは間違いなく存在し、そこも描かれています。でもその後ろめたさから逃げず、立ち向かっていく力強さがある。 読後感もよく、キャラの魅力にも溢れた、王道だからこその美味しさでした。 このままエロ漫画突入オナシャス!と土下座も辞さない。 で、タイトルを花の名前にするってことは・・・きっと花言葉とかに仕掛けがあるんだろうな。と思って調べたら、ディプラデニアの花言葉は「情熱」「危険な恋」ですって。いいね。

甘いとき/Hisasi

Hisasiさん一般向けでも自重してねえな。ド直球でエロいじゃないですかー! というかここまで性行為の存在を明らかにしたお話はほかになかったので、1番過激。 ふぇろ1 これだよこれ。(満面の笑み もう普通にエロ漫画じゃないですか!大好きです! しかし明るくお気楽なものではなく、しっかりと「禁忌」のテーマを取り込んだ仕掛けもあります。最後のページでは興奮のあまり本を投げだしそうにw エロいだけではなく、しっかりとほの暗い雰囲気で魅せてくれる作品。お気に入り。 ヒロインの屈託のない笑顔や迷いのない接触がさらにやらしいですわ・・・!軽々と、飄々と、いけないことを楽しんでいる。すげぇ・・・。 こういうゾクゾクが体験できるのが「禁忌」を味わう醍醐味だとも思います。

やさしい毒/水瀬るるう

このアンソロジーシリーズではもう「お馴染みの」の枕詞を当てることができそうな水瀬るるう先生。今回も、たっぷりニヤニヤできる作品でした。 女好きの美少年が、人妻の女教師にイタズラをするというお話です。 ふぇろ3 もうねえ、この男の子のキレイで黒い笑顔がステキですよ。 年相応にゲスいゲスい。性欲の塊。それでいい。こんな生徒にまんまと手のひらで転がされて遊ばれてしまっている純朴な先生がとの組み合わせが・・・たまらんのです! 髪さわるついでに耳にまで触れて「楽し~~」「触らせる先生が悪いよね」とか言ってる。 で、結局まんざらじゃない先生も先生だ。態度としては先生と生徒の関係をつきつけるけれど、心の底では、生徒から言い寄られてうれしはずかしな感じ。女として見られてソワソワしてる。 押せばなんとかなっちゃいそうなフラフラの人妻って、エロいわな・・・。

愛さえあれば大丈夫?/竜太

ギャグ系の作品で1番面白かったな、これw 禁忌といえば禁忌だけど、この作品のテーマは動物愛。主人公は犬を溺愛する少年です。 せっかくかわいいヒロインも出ているのにそっちには微塵も興味を向けず、「お腹の毛がチクチクするよ!!(恍惚」とか言いながら犬を抱いてスーハースハーしている、男らしさとはなんたるかを教えてくれる変態である。この犬のためなら飼い主である女(いちおうヒロイン?)との偽装結婚だってしてやるとのたまう。なんという気合。 短い話ですがテンション吹っ切れたバカ話でとても面白かったです。 ちなみにかにゃぴいさんによる「いぬこい」も同じく犬を溺愛する主人公が描かれており、「その属性かぶっちゃうのかよ」と笑ってしまいましたw(アオハルで単眼ヒロインが複数作品にわたり出てきたときと同じ感想)

泪は弧を描いて/渡まかな

シリアス路線のお話では、この本で1番好きかな。 ストーリーにも広がりがあって、エンディングも美しくて、切なくて。 輪廻転生、前世の因縁を現代にひきずった双子の男女のお話。 前世で駆け落ちし、心中した男と女。その記憶をいまも残している2人です。双子として生まれた今も恋は続く。けれど、超えては行けない。 禁忌というのに相応しいヘビーな題材と、それを魅力的に描いた力作! 離れがたい関係に生まれた甘い喜びと、けれど決してこれ以上は結ばれない悲恋。 「禁じられるからこそ、狂おしい」というのはこの本の中で1番印象に残った言葉。


ほかにも色々面白かった作品はあるんですが、個別感想書くのはここまでで。 禁忌と言っても暗いだけではなく、コメディ調の作品の存在もあって明るい雰囲気はあります。 でもやはり「いけないことをしているんだ」という感覚が1番の醍醐味。 背徳感がにじり寄ってくるようなゾクゾク感を味あわせてくれる作品が多い、禁忌アンソロジーとしての旨味を満喫できました。面白かった。 コメディにしても「禁忌的なはずなのに悪気ゼロ!」ってところでもう一段階笑えたりします。 個人的にはもーっとシリアスに、罪悪感で押しつぶされそうで苦しいばかりの恋をする話も見てみたかったけれど。でもいろんなシチュエーションからドキドキさせてもらえたという事で、満足度は高いですよ。 次のアンソロジーのテーマがどうなるかはまだわかりませんが、ここまでいいクオリティをキープしているので、次も期待したいところ。