「正直どうでもいい?」

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宇宙×青春=浪漫 「恋愛遊星」感想

恋愛遊星 (MFコミックス アライブシリーズ)恋愛遊星 (MFコミックス アライブシリーズ)
(2009/12/22)
倉橋 ユウス

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12月末、ふらりと寄った地元の本屋の新刊コーナー。 何を買うかをそこで考えることも多いのですが、一番に目に飛び込んで来たのがこの表紙。 夕闇に染まる街をバックに、まっすぐこちらを見つめてくる女の子。そしてオビが秀逸!  銀 河 を 超 え て 、 デ ー ト し よ う 。 とろけそうなほど美しいキャッチコピー・・・一発で胸を打ち抜かれました。 異星人との生活があたりまえとなった地球を舞台に展開する、全5編のSF恋愛短編集。 今回は、もちろん内容も素晴らしかった、倉橋ユウスさんの「恋愛遊星」について。

キルキリリ人

一発目にして、最もセンチなお話。 20100118161924.jpg ・・・こんな子ですが、健気でかわいい女の子です。椎名さん。 外見的には我々と変わらない彼らですが、そこからささやかな出来事と過去回想で地球人との違いを浮かび上がらせていく様子は、コンセプト重視の短編集の一本目として非常にいい働きをしていると思います。 キスシーンに至るまでのやりとりが切なさ全開で素晴らしい・・・! 多少、もやもやする部分が残されてしまいましたが・・・ この後別の短編でフォローがされていくので、最終的には納得できましたw この本の基本的な要素が凝縮された良作です。 「前」の椎名さんの想いは、きちんと繋がれていってくれたのかな。

トステ人

宇宙へのロマンと同時に、共存の難しさも描かれているお話ですね。 トステ人は生涯病気をわずらうことのない完璧な体と、定められた寿命を持つ種族。 地球時間にして29年5ヶ月8日13時間42分55秒・・・彼らはその短い一生を元気に生き抜く。 なんとなくだけど、一番好きなのはこのお話かもしれません。 1人の女の子の成長が微笑ましかったし、素直に青春してるなぁお前ら!という雰囲気はもちろん、トステ人そのものにも凄く心惹かれてしまいました。 こういう結婚を決断できるお兄さんも、格好いいよなぁ・・・。 20100118161818.jpg 一体どれほどの人が、その道を迷いなく歩いていけるだろう。

ナジュラ人

美少女だと思ってたら、相手はオネェ系ダンディだった! なんて勝手に予想していたオチはもちろんなかった(そりゃそうだ)コメディ作品。 ここまでやや切ない流れできましたので、いい空気の入れ替えになってます。 ロマンチックだなぁ、愛する人にのみ届くテレパシーかぁ。 これなら美少女を妄想してしまうのも仕方がないというものw というか実際にかわいいんだから結果オーライですよ! 20100118162008.jpg でも、僕らは人間なのだから、人間なりの方法で愛を伝えようじゃないか。 恥ずかしくても、原始的でも、まっすぐにさ。 とか恥ずかしいことを思いつつ、ラストのやりとりでニヤニヤしすぎて顔面崩壊ww こんなエロ可愛い先生に教えてもらいたかった・・・ッ!

イヴァン人

ここで一気にスケールアップ。 この本で一番「宇宙」を感じられるエピソードではないでしょうか。 20100118162019.jpg 恋愛を通して、人の成長を描いているのが本作でありますが・・・いやはやこれはorz 失った母親との、最後の絆を失ってしまうラスト。 大変切ないですが、でもいつまでもそれにしがみついてはいられないのですから。 母が遺したいくつもの言葉を胸に、きっと生きていけるはず。 「どんな下手な偶然でも 奇跡に変えるのは恋でしかない」 母ちゃん(;ω;) 常盤さんのキャラも面白く、それでいて可愛かったです。 この作品、女の子キャラは結構ベタなんだけど、記号化されてないのがいいですね。

トリアス

これまでとやや異なり男の子の異星人がメインとなるお話。主人公は地球人の女の子です。 読んでいて驚いたのはこれが一番だったかもw 最後の最後まで、「ナジュラ人」で登場したクールビューティとは気付きませんで… 「あれ?もしかして?」となったころにはテンション上がりまくりましたww いやー、これもラストが素晴らしい! あんな格好よくて気丈そうな女性が、あの泣き顔ですよ!こっちも泣きそうw 彼女にとって、彼は大切な存在のままでありつづけたんだなぁ。 20100118162044.jpg このシーンは切なさMAXでした・・・! すっきりしたハッピーエンドということで、短編集のしめくくりとしては なかなかいいチョイスだったのではないでしょうか。 中盤での心揺れ動く様子も可愛いし、脳内子作りリフレイン状態はちょっとエロいw こういう女の子がもじもじ照れてたりするのをもっと見たいんですよー! …なんかちょっと話ズレてきたな。 まとめ。 それぞれのエピソードは独立していますが、様々な部分でリンクしており そこらへんも、連作オムニバスとして上手い構成だなぁと思いました。 SF短編集ですが、かなり現代的な雰囲気があるので、世界観にスッと浸れます。 同じ人類でも、地球人とは違った特徴、生き方、人生観があり、非常に楽しめました。 いつか遠くない未来、こんな世の中になるんだろうか。 色々難しいことも多いだろうけれど、同時にロマンもあるよなぁ。 買った方はぜひカバー裏も読んでみてください。きっと爽やかな感動を味わえます。 ニヤニヤできて未来への夢も与えてくれる、素敵な一冊だったと思います。 『恋愛遊星』 ・・・・・・・・・★★★★ 良質短編集。ラブコメ好きからSF好きまでどんとこい。