「正直どうでもいい?」

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たっぷり、じんわり、甘いひととき。『あまあま』

あまあま (書籍扱い楽園コミックス)あまあま (書籍扱い楽園コミックス)
(2012/03/30)
志摩 時緒

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   祐司のことはもうなんでも知ってると思ってたのにね フッフー!志摩時緒先生の「あまあま」がついに単行本化ですよ! ついにというか、連載ペースにしては早く出てくれたなと。表題作に加え、WEB楽園でやっている番外編「好きなひとができました」シリーズも同時に収録。早くに出てくれるのは嬉しい限り! さてどんな作品かといえば、もう表紙とこのタイトルを見てもらえばそれで。 つまり学生カップルがイチャつきまくる話だよ!やったね!大好物!


2人が織り成すこっ恥ずかしい、そして心底甘い恋人同士の時間。 それをとことん味わえてしまえるのがこの作品。 志摩先生といえばもう1つの連載作「7時間目の音符」でも自分は散々に悶えたわけですが、こちらも素晴らしいのです。 ただ、初々しさを押し出した「7時間目」とはちょっと違った味わいでもある。 あま 彼女さん、Hにノリノリですしね。 周囲には秘密で愛を深めるカップル、祐司と美咲が主人公。 もうセックスだって日常と化しています。高校生ですが恋人としては成熟していることが伺えるんですね。押し倒したって、押し倒されたって顔色を変えない。そのまま愛を囁いて、体を絡め合って。 つーか、ほぼ毎回が事後からスタートってどういうことだよ!生殺しか! でも性行為の後と言うにはだいぶサバサバしてて、2人の、というか美咲という女の子のクールさがクセになります。・・・描かれていない場面ですっごく甘えてるのかもしれない?というかこんな描かれ方したら、2人がどんなふうにヤッてるかも気になってしまうじゃないですかーもう。祐司攻められまくりかな、普段の様子じゃ。 クールな美咲。けれどクールなだけじゃなくて、恋人を強く思っていることは至る所で伝わってきますし、ドライになりきれない甘さがあったり、かなり恋に溺れているんですな。 恋に夢中になってダメになってしまうことは無い真面目な女の子ですが、それでも抑えきれない時だってある。好きな人と一緒にいると嬉しいんだ。 器用な女の子です。しっかりしている。でも祐司を頼っていることも分かる。好きな男の子に、こっそりと甘える。 すっごく「女の子」してるなぁって、彼女の赤く火照った表情を見ては俺も火照る。うん、この情報はいらなかった。でも本当に、この2人の空気感は素晴らしい。安定感MAX。 心臓を高鳴らせてドキドキするというより、穏やかに体を寄り添わせる感じ。 けれどそんな熟練カップルのような2人でも、時折ふっと戸惑う時も。 どんなに愛を深めていたって、彼らはまだ高校生で、大人ではない。 第5話からの一連のエピソードでも現れていましたが、「こういう時どうすればいいんだろう?」と悩むときだってたくさんある。ヤキモチを焼いたり、ちょっとだけ八つ当たりしてしまったり、子供っぽい一面をのぞかせる場面だってある。 安定感のあるカップルなんだけど、いつ何時も揺らぐことはない、なんて言えない。 けれどそんな時は改めて相手の存在を確認して元通り。この手探り感が素敵だなぁ。知り尽くしたように見えて、まだまだなんだ。でも焦る必要だってないんだ。 手探りを繰り返して、日毎に絆を深めていく。 最初から恋人として高いレベル(関係の進行度的な度合い?)で描かれだした2人。初々しいラブコメとはまた違った安心感がすばらしいのですが、でも成長しきっていない。まだまだ途上段階にあるということもしっかりと描かれているのです。 そうそう、周囲には秘密の恋人関係、という設定もポイント。 これのお陰で2人の関係性もより色っぽいものになっています。誰にも知られてないけれど、実はこの2人、もうすごいことし合ってるんだぜ、なんて。秘密の恋というのはそれだけでドキドキするじゃないですか。緊張感もありますし。 でもこいつら2人はあんまり緊張してない。というか「わくわくするね」とか笑い合っちゃって、むしろ緊張感を楽しむ余裕すらあるw とびきり甘く、そしてしたたかな2人。信じあえる相手がいるというのは素敵ですな。


表題作「あまあま」はそんな感じの、安定感ある熟練カップルのイチャコラが展開されていますが、番外編の「好きなひとができました」はまたひと味ちがう。 こちらは「7時間目」と同じ路線の、初々しさみなぎる赤面ラブコメシリーズ! 美咲と祐司の2人を見てると、「ドキドキ」と鼓動が高鳴ってるシーンはほとんど無い。 それはつまり相当に慣れ親しんだ恋人同士ということで。それもニヤニヤします、が! あま2 「好きなひとができました」の一幕。ドキドキしまくりじゃないですかー! 顔を真っ赤にしながら、体をこわばらせながら、言葉を震わせながら、はじめて気持ちを近づけていく2人。これだこれだこれだー!!初々しい赤面ラブコメだー!!!! もっとたっぷりページ使ってもらってもいいのよ!と思わなくもないですがしかしこの破壊力たるや。ヒロインも美咲とはまた違ったタイプの女の子です。 表題作とは微妙に違った温度やときめきを持った番外編となっており、単行本としてトータルで2パターンの恋物語を楽しめてしまうんですな。 というわけでひたすらにゴロンゴロン身悶えしながら読みました。 漫画の構成としては4コマパートと通常パートが入り乱れており、ちょっと珍しいテンポとなっています。かなり自由な構成という印象。キメのシーンをキチッと印象的にしてあります。 キメといえば所々で効果的にカラーページも入っていて、これがすごくいい。 個人的に好きなのは23P。光の散り方がとても綺麗ですねー。 あとカバーをとった所にもニヤリとさせられます。表紙は高校Ver、下が中学Ver.中学時代の2人の微妙な表情・・・ひゃほー初い!初い!(高ぶる) 巻数表記がなくて一瞬ドキッとしましたが、どうやらまだまだ楽園誌上でもWEBでも連載は続いていくそうです。次の単行本までまたしばらくかかりそうですが、楽しみですね。 じっとりと甘い空間に浸れてしまう恋愛漫画です。 『あまあま』 ・・・・・・・・・★★★★ 脳内があまいものでいっぱいです。安らぎとドキドキとでお腹いっぱいニヤニヤ。