「正直どうでもいい?」

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「好き」が響くそれぞれのバレンタイン 『となりの怪物くん』6巻

モンハンやってます。久しぶりにゲームに熱くなってます。

となりの怪物くん(6) (デザートコミックス)となりの怪物くん(6) (デザートコミックス)
(2010/12/13)
ろびこ

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   でも 私も吉田くんにあげたいとなりの怪物くん」6巻です。 今回の表紙ではカバー裏でも本人が触れていますが、ようやくササヤン登場! 好きなキャラだけにテンションが上がるというものですが、それだけでなく 春が満面の笑顔で肩を組んでいるというのも、グッときますねぇ。 この身長差もなんとも微笑ましいのです。 前置きはおいときまして、さらりとあらすじを。 1泊2日のスキー旅行から帰ってきたいつものメンバー。 ちょっぴり成長したり関係こじれたりな彼らですが、この巻の本番はあの日です。 いよいよ近づく2月中旬!そう、全国の学生たちが浮かれ沸くあのイベントが! 夏目さん的キャラになるなら・・・さて、2月14日は何の日でしょうかっ!? 20101215022317.jpg 雫の誕生日でした。 バレンタインイベントと誕生日イベントを同時にこなしてしまう内容ギッシリ第6巻!


今回はなんと言っても大島さんですね。 春に恋する彼女の境遇は、読むたびチクリと胸が痛むものでしたが 今回は過去最大級かと思われる痛さ。彼女はしかもそれを選択したのです。 甘いだけがバレンタインではない・・・か。 雫と春の邪魔をしたくないと、春にチョコを渡そうとは考えない大島さん。 遠慮しなくていいと言われても、「遠慮じゃない」と返してしまう彼女は そもそも春が自分に振り向いてくれるなんてありえないと考えてしまってるんだなぁ。 勝てる見込みのない勝負をわざわざするなんて、虚しいだけだと。 これは彼女が弱気なわけではなく、春と雫の確然とした関係を信じているからこそだろう。 けれどそれで犠牲になるのは、行き場を失った自分の恋心。 大島さんは本当に優しい女の子なのですが(なんとなく雫より主人公っぽくも見える)、かなり切ないポジションにいるよなぁとしみじみ・・・。 でも大切にしているこの想いを、胸に閉じ込めておくだけなんて悲しいじゃないか。 自分の気持ちに正直に居なきゃ、満足はできない。 たとえそれで傷ついても。恋が報われなくても。ついに行動を起こす大島さんです。 誠実ですこし臆病で彼女が振り絞った勇気には、思わず熱くなってしまうというもの・・・! 大島さんが雫に「明日吉田くんにチョコを渡そうと思うの」と伝えるシーンはこの巻のハイライトかなと。見所の多い巻ではありましたが、個人的に。 けれどそのシーンでも、雫と争おうなんて考えは彼女に無いように思える。 ちょっとだけ期待をしているようにも感じるが、結果的に、彼女は選ぶ。 20101215022300.jpg (クリック拡大) 「頑張ってね」 雫へと向かう春を引きとめることはせず、励ましの言葉を口にする。 笑顔で、雫へと向かう春を送り出すのです。 大島さんのモノローグもまた切なさが炸裂してて困る・・・。 「やっぱりいいなあ たまに恐いけどすごく優しい所も  変だけど一生懸命な所も いつも水谷さんにまっすぐな所も」 大島さんが好きなのは、雫を好きな春なんですね。 あー・・・納得はできるけど、したいけど、やっぱり切ないです。 なんとか幸せになって欲しいなぁ、大島さん。ほんといい女の子ですよ。


しかし自分は雫大好き人間であります。(え 今回のバレンタインエピソードは、また雫が可愛いのなんの。 春にあげるチョコを「本命」にするために、ちょっとだけ特別にしたりするのです。赤面しながら。くおー!特別と言っても他のよりチョコ1個多いだけなのですが、そうすることで彼女の中の意識は間違いなく変わるもので。「自分は春に特別なチョコをあげるんだ」っていうね。むふー! そして大島さんの決意によって生み出された抜群の切なさに苦しめられるのと同時 雫のかわいさに悶えてしまったのもまた事実なのですよ・・・・・・!! 大島さんも春のことが好きだという事実を知った雫は、気が気でない様子。 大したきっかけもなく自分に好意を寄せてきた春のこと・・・ 誰かからまっすぐ好きだと伝えられたら、彼はどうするのだろうか・・・? 20101216213820.jpg 大島さんの告白に簡単に流される春を妄想し 「私にも言ったくせに!ウソつき!」と勝手に拗ねる雫にはなんかもうほっぺた落ちる。 しかしさて、ラブコメ展開続く雫パートも楽しいばかりではありません。 誕生日、ということで雫の家庭環境についてクローズアップされており 母親不在の寂しさや不安を必死に押し殺してきた彼女の過去も描かれます。 いつも何でもないような顔で何でもしてしまう雫ですが それはあのような過去があったからなわけで・・・彼女の強さには、ちゃんと訳があったと。 でもまだまだ高校生、強くなりきれない時もあります。 そんな時彼女の手を力強くも優しくひいてくれるのは、春なんですね。 6終盤の甘甘な展開で当然のごとく悶絶してしまった自分です。 お母さんに関しては、雫の初々しいリアクションが見れてそこも嬉しかったです。 あの表情こそが、本人も自覚していない彼女の「素」なんだなぁと思ったり。 春にペースを崩されて、それをまんざらでもなく受け入れられるようになった?雫でした。 雫のお母さんにはかなり不安があったのですが、予想を良い方向に裏切られました。 オマケの4コマ漫画の内容も、ギャグチックではありますがしっかりした家族の絆が見られてほっこりです。顔出しはいつになるかな。 それと今回、雫の弟も初お目見えしましたね(初だったはず・・・ 彼自身掴みどころのない良いキャラしてますし、雫の溺愛っぷりもまた面白いw


ではまとめ。 バレンタインと雫の誕生日、ダブルで美味しいイベントを収めた第六巻でした。 それぞれのキャラクターが違った思いを胸に迎えたバレンタインは 心から幸せになれる笑顔があり、溢れんばかりの切なさを湛えた笑顔もあり…。 そして微妙な人間関係の進展も見受けられた巻でもあります。 この巻でササヤンと春・夏目さんの関係もより良く、強くなったのではないかなと。 それぞれ お女性キャラもより深くなり、いい味出てきましたね。大島さんも。 しかしまさかの伏兵・ユウちゃんには驚きましたが・・・!まさかあんな事がw それと忘れてならない、みっちゃんさんとササヤンの緊張感あるやり取りにも痺れました。 答えはまだ出さないけど、夏目さんをちゃんと想ってあげてるのは確認できますし、みっちゃんさんの今後も気になるところ。大人な大人ですよね。底が見えない。卑怯ともとれるけれど、大人としてある意味正しい位置に居続けている人物。 けれどそんな彼も少しずつ動いていっているようにも見えますね。 細かなところで色々な話が進んでいますねぇ。じりじりと。 こうして上げてみたら、ますます青春群像劇としての色が強まったようにも思います。 どのキャラクターも魅力的で、みんなを応援したくなる作品です。 しかし最近春が平和すぎる感じもするので、そろそろ落としてくる予感も。 この平穏は彼の成長の証なのですが、展開的にやや恐くもあり。 そういう展開を求めているわけではないですが、なんとなく思ってしまいました。 彼はまだ不安定なままで、やはり安心はできないかなぁ。どうなる「怪物くん」。 まぁそんな暗い想像は置いといて、今回も面白かったですと。 シリアスとギャグのバランスも相変わらず絶妙!読みやすい作品ですねー。 次の7巻では今回ちょっと影の薄かったヤマケンが大活躍・・・するらしい? まだまだ目が離せない注目作です! 『となりの怪物くん』6巻 ・・・・・・・・・★★★★ 安定した面白さ。騒ぎ出す、動き出す、それぞれのバレンタイン。 ちなみに同日発売されたタアモさんの「たいようのいえ」2巻との合同フェアが行われています。