「正直どうでもいい?」

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出会う前には 『東京マーブルチョコレート』

東京マーブルチョコレート ハロー、グッバイ、ハロー。 (ワイドKC)東京マーブルチョコレート ハロー、グッバイ、ハロー。 (ワイドKC)
(2008/02/12)
谷川 史子

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   会えるといいな 谷川史子さんがキャラデザを務めたIGのアニメ作品「東京マーブルチョコレート」。 本作はそのアニメへ至るまでの、時系列的には出会う前の二人を描いた作品です。 そーいえばブログで谷川さんの作品について書くのは初めてですね。 恥ずかしながら画報社で単行本を出すまでは全く知らない作家さんでしたが これがまたガツンと一発かませられたり心の襞をくすぐられたりと 非常にグッとくる作家さんであります。 ふんわりやわらかな絵柄は見ているだけで癒されますねぇ…。 「くらしのいずみ」には存分にニヤニヤさせていただきましたw しかし本作は、原作アニメへ至るまでのお話というわけで 納められた2作両方ともが失恋で終わる、ちょっと切ない一冊となっております。 sideCは、幼馴染の和臣に想いを寄せる高校3年生チヅルが主人公。 受験のためやってきた東京で、ひと騒動起こります。 sideYは、剣道部の男女3人をめぐる三角関係モノ。 踏み出せなかったことで失ったものの大きさを思い知るお話です。 「遅いよ」と泣くシーンは心臓が痛くなりました(実話)。 そして、読めば分かると思いますが、2編は共通するラストがあります。 20100429204628.jpg 20100429204849.jpg 「ありがとう」 そう、感謝です。 想い叶わずとも、2人に贈られたのはその言葉と、笑顔。 伝えてくれてありがとう。好きになってくれてありがとう。 恋愛じゃない、けれど別の、強固なつながりを感じさせてくれる。 なんとも温かな言葉です。 見方を変えるとかなーり嫌味なもんですが、絶対にそう見せない方向へ持っていく ピュアな物語作りが、流石谷川さんといったところでしょうか。 そして2編とも最愛の人の幸せを望んで終わるってのも、また王道ながら好きですね。 好きなシーンはsideCの「今日くらいあたしのものになってよ」と吐露するところ。 感情を伝えられずくすぶっていた少女が、ついに言ってしまったワンシーンですね。 主人公チヅルが初めて解放されたと言ってもいいと思います。 すぐ取り繕ってごまかそうとするのも、切ないけどかわいかった! あとsideYでの、男同士のやりとりも大好きです。 というかsideYは全体通してノスタルジーがすごいです。85Pとか最高。 でも最終的にかっさらっていったのは全くの別人ってあたり 現実の苦々しさというか、愉快さもありますねww 巻末にはオマケでアニメ資料がアニメ監督との対談などが収録されています。 まぁアニメ版見てないのでよく分かりません(おい ツタヤにあったら今度借りてきますよw というわけで以上。谷川さんファンなら問題なく読める一冊。 描写もさらりとして読み心地もいいので男性にも十分すすめられる一冊です。 谷川さんの描くやさしい表情は、読んでるこっちも笑顔にさせられますね。 大判でページ数も少ないので、気になった方は一度お手に取ってみては。 『東京マーブルチョコレート』 ………★★★☆ 大判のためややページ数が少ないです。けど内容は文句なし。 幅広くお勧めできる切ない恋愛漫画です。