「正直どうでもいい?」

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淡く輝く季節をきみと。『14歳の恋』4巻

14歳の恋 414歳の恋 4
(2014/04/25)
水谷 フーカ

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   大人だって 可愛いんじゃん 14歳の恋、最新4巻の感想。 4巻。4巻ですよ。個人的には作品は3巻を超えると、連載としての単位が変わるような気持ちがします。好きな作品が長く続くことは嬉しいです。 この作品の表紙イラストはなんとも言えない、美しさや儚さを感じます。今回も好きだなぁ。 ハチマキして、ポンポン持って、空を背に教室で2人。こうやって女の子の髪にふれる瞬間にしたって、冷静に考えると、……すげぇな……(呆然) でも裏表紙も素晴らしいんですよ。こちらは夕焼けの屋上なんですが。本編を読むとさらに味わい深い場面、距離。「こっち見てよ」ってなんど願い、なんどこのシーンを繰り返したのだろうか。かわいいわぁ。 前巻→悩んで悔やんで喜んで、心震わせて。『14歳の恋』3巻


さて季節は秋。表紙も冬服になり、そして体育祭のシーズン。 それに合わさる内容となっており、今回も、胸あたたまる。 賑やかさよりただ流れていく風をゆっくり感じられる、落ち着いた雰囲気が素敵だよな。 和樹と彼方のペアは相変わらず、ちょっとすれ違ってはまた胸いっぱいに喜ぶ。14歳はけっこう激しく感情を揺り動かして、思い思いに突っ走ったりする。 第19話なんかがお気に入り。めそめそしちゃう彼方がかわいいのと、周囲が思う“大人っぽさ”に振り回されてこんなに苦しんでしまう事の、ある種の子供っぽさというか。爽やかな読後感も素晴らしい、14歳の恋エッセンスみなぎるエピソードでした。 それで、ですよ。大変なんですよ日野原先生が。 不良と評判の無愛想男子、長井くんとのただならぬ関係にある女教師なのですが 大人の色気を武器にするイタズラをしかけたら、やり返されてメッチャ赤面しちゃうとかいうヨダレが止まらないニヤニヤ展開! ラブストーリーとしての興奮度の高さは、長井&日野原先生ペアが作中最強だなと思う。 だって一番美味しいんだもの。 美人で実はドSな女教師が、10も年下の少年に、こんな醜態をさらされてしまう、なんて。ああなんて、可愛らしい、愛おしい……! 14歳の恋41 3巻で「本気?なんのことよ やめて 14歳なんかに」と言っていた彼女。 ああこのまま落ちていくしかないな、と確信するセリフを放ってしまったばかりに、14歳のガキンチョ相手に、みごとに感情ゆさぶられまくりである。見事なフラグ回収。どう見ても本気になっちゃってますよね。 このエピソードは長井くんのがんばりにも注目したいところで、本当にがんばったんだ。 それでも一番のご褒美たるこの光景を目にできないのは、ああ、もどかしい。 まぁ、ギリギリに踏ん張ってそういう可愛らしい部分を隠し通せるあたりが、大人の証かもしれない。 きっといつか、かわいいその表情を素直に彼の前で見せてくれたらいいな。


そしておなじみの葵ちゃんのエピソードや、日野原先生をみつめる男子と彼をみつめる女子。ふんわりと切ない匂いが心をくすぐるお話も添えられ、こちらも14歳たちの青い世界を彩る。 サプライズだったのは、「お前この学校の生徒だったのかよ!!」という、水谷フーカ先生の過去作品のキャラクターがゲスト出演した件。 これに関しては実際読んでいただきたい思いが強いので、あまり書きませんが……うれしいファンサービス、みたいなものですねw おもわずまたあの本を読み返しました。 そんな「14歳の恋」4巻でした。 登場人物がというか、注がれる視線が増えたな、と思います。 いろんな人間が、いろいろ考えて、いろんな人を見つめて、その届く視界が広がればそれだけこの作品の奥行きが生まれる。せっかく学校という舞台にいるわけで、こうしていろんなペアの物語をクローズアップしていく方向は大歓迎。 主軸となる和樹と彼方は、関係性としてみれば健全・安心の象徴のようなもので、だからこそほかのペアはちょっと禁忌的な関係性に足を踏み入れているのかもしれない。 それと、個人的には楽園コミックスから“5巻”が誕生するというのはかなり予想外。でも、ずっと、読んでいたいな。と贅沢なことを思ってしまう。 振り返ってみればあっっっと言う間に流れていった14歳のあの季節が、漫画ならば長く堪能できるというのは良いな。 なんの感慨もなく終わらせてしまった時間を懐かしめるは、こういう漫画に触れている時かも。 読み終えて、またこの裏表紙に行き着いて、なんだか眩しくなるのです。今日も14歳の世界を包み、空は美しい。 『14歳の恋』4巻 ・・・・・・・・・★★★★ 14歳はかわいい。大人だって、かわいい。みんな可愛くって胸が詰まる!