「正直どうでもいい?」

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素朴で不思議で怖くて愛おしい、花のような 『野ばら』1巻

そろそろ更新頻度上げたいなぁ・・・とは思ってます。

野ばら 1巻 (ビームコミックス)野ばら 1巻 (ビームコミックス)
(2010/08/11)
高田 築

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   しょむたん おはよう Fellows!連載中、高田築さんの「野ばら」1巻が発売されました。 分かりにくいかも知れませんが「野ばら」とは短編シリーズです。 巻数が打たれていますが2巻以降も短編集になると思いますので、そこは注意、かも。 第1巻は8作の短編を収録。今回はうち4作について。

しょむたん

今のところ代表作と言っていいのでは。 短編集中全3作がこのしょむたんシリーズで、そのどれもがとても微笑ましいw まずしょむたんがいい。 20100903203854.jpg なんだこれかわいい……。 作中では特別な説明はなされず、ただ非常に珍しい動物、としか知らされないしょむたん。 番組中によそ見をしたり、なんだかよく分からないイラストを紙に書いてみせてきたり ドアの隙間からむりやり体を押し込んで部屋に侵入してきたりw 人をおちょくってみせるシーンが多いのですが、それも可愛すぎるw なんだかよく分からないけど頑張ってるしょむたんにほんわかほんわか・・・。 しょむたんってキャラクターのインパクトが強烈なのですが もちろんそれだけではなく、物語それ自体もとても魅力あるものです。 そんなしょむたんと一緒に教育番組を担当することになった主人公。 本当は報道をやりたい・・・けれど、「踏み台」として任されたこの仕事。 大した人気もない、もうすぐ打ち切りの、しょーもない番組。 うまく言葉にできない、けれど確実に在る不思議な違和感は降り積もり、 やがて彼女はちょっとした行動に・・・。 しょむたんというキャラクターの濃さに流されがちかもしれませんが 結構シビアな社会を描いていて、ところどころ刺があるのも良かった。 夢も希望もない番組制作現場の様子。ちょっと冷めてる主人公の恋愛。 しょむたんが登場している間のコメディチックな雰囲気もいいですが ちょっとネガティブというか、ダウナーなムードが色濃く描写されます。 だからこそラストの流れにある、人間たちのちょっとしたの「反撃」に思わずニヤリとしてしまうのです。 本当に些細な、ステキな出来事。 道端に綺麗な花を見つけたような、ちょっと嬉しいあの感覚。 そういうのを味わえるのも、漫画の良いところかな。 20100903203849.jpg なんだかんだでいいコンビ。また続編を描いて欲しいシリーズです。 どうでもいいけど、しょむたんがプレイしてたゲーム・・・「キミプラス」。 明らかにキミキスの菜々ちゃんとゲーム画面でちゅっちゅしてるしょむたんにShit. そのゲームやらせてください。

こっちを見てる

しょむたんシリーズで散々和ませといて ここでまさかの急降下、ガチホラー作品。 雑誌で読んだ時もあまりの前号までとの違いにビビったものですが 単行本になるとより一層、色んな意味で目立ってる作品になってるなぁと。 高田築さんの描く作品の幅広さを象徴する意味でも、特別な作品。 生首。 どんな時間にも、どんな場所にもふいに現れる生首。 それと目が合うとその人は正気ではなくなり、すぐに自殺をしてしまう。 社会問題にもなったこの事件は、主人公の家庭も滅茶苦茶に・・・。 20100903203844.jpg もー酷い漫画ですよこれ。この流れで読んだらどんな人でもドン引きです。 なのにすっごい面白い。 人間がポンポン死んでいく。命の重さなんてもうかーるいかるい。 理由もなければ綺麗なオチもない、まさに不条理。 「生首」のデザインも最低です。なんてことない、本当に「生首」。 見開いた目が、ただじっとこちらを見つめてくる・・・。 シンプルかつ本能的な、「見られる」恐怖。揺さぶられるなぁ、心を。 けれどもそんな中で必死に運命に抗おうとする主人公がまた気持ちいいのです。 やはりこの作品は、ありふれてはいるけど「人間」を描いているなぁと。 あっさり人が死んでいって、嫌らしいほどドラマ性が無し。 この軽さと唐突さで恐怖も更に……狙いすましてるなぁ。 加えて死は軽いのに、死の痛みは脳がしびれるほど伝わってくるという・・・(母の絶叫)。 まぁとにかく、そういう漫画です。 そもそも俺はホラーが苦手で・・・しかしこれ面白いんだよな・・・・・・ああヤダヤダ。 オマケのボーナスショットも、なんだか後味悪くて意味深。

秘密のジュンジュン

お待たせしました紳士の皆様。お次はエロスがメインのSFモノ。 被疑者と直接接触して犯人特定を急ぐという潜入捜査。 主人公はやってきた被疑者(男)の部屋に、彼の友人がサプライズで来させたメイドサービスを偽って新入。なんか流れでお掃除だのなんだのすることに。 特定の条件は左手の傷、肩の刺青、背中の傷、そして特徴的な舌。 主人公は1つずつそれを確認していきますが、しかしどれもシロ。 最後に残ったのは「舌」の条件、さてどうする・・・? まぁ女の子が脱いだり脱がせられたりでキャッホイなお話なわけですが 最大のエロスはそこではなくてですね!「彼女の意思」にあるのですよ! 無理矢理に押し倒されてるうちに、彼が「舌」の条件にヒットすることが判明するのです。 が、ヒットしてから逮捕までには僅かなラグがあります。 主人公に逮捕権力は無いので、外部組織を呼んで彼らが到着次第その場で逮捕、となるためです。 そう、彼女の捜査はもう終了したのです。あとはもう自由なのです。 自分にのしかかってくる男に暴れて抵抗もよし、逃げるもよし・・・。 しかし彼女は―――― 20100903203826.jpg 自分から行ったあああああ!!(ガッツポーズ 見ての通り、キスをしたのは明らかに主人公から。 つまり彼女は、捜査関係なしに、男との時間を愉しもうとした、と・・・!! 純情そうな女の子がこんなことになるなんて・・・・・・人間本能には抗えぬのかッッ そして最後のページの赤面まで、色々ホットな作品でした(笑顔

くるくるとGPS

直球・青春モノ。 「くるくる」と呼ばれるサイコキネシスを使える少女、ももと もものいる場所を常に知れるストーカー超能力「GPS」を持つ主人公・阿部。 とても仲がよく、憎まれ口をたたき合う2人でしたが・・・ しかし彼らの超能力は、とある出来事をきっかけに失われてしまいます。 起承転結しっかりした読みやすい作りで、非常に気持ちのいい短編。 男の子ががんばるお話は、それだけで自分は好きなのです。 己を責めるあまり、ももと上手く接せなくなり、ももを避けるようになった阿部。 彼をひたすら待ち続けるも、それももう叶わないかもと諦めかけるもも・・・。 そんな虚しく冷えた関係が、ふっと溶けていく瞬間の爽快感! 最後は後味良くないとねってことで、本書のラストはそんなお話。 見開きの使い方も突飛だけどなんだか上手い!いい表情だなぁw 好きな女の子を守る、というのは、全男子共通の夢なのか。 だいぶ恥ずかしいですけどね。 以上そんな短編集。 今風ではないにしろ、読みやすく魅力的な絵の雰囲気。 そして独特の物語。王道を描いても、どこか捻くれた部分があるのが良いですね。 作品のジャンルも偏りがなく、短編集としても秀逸かと。 いい買い物したと思います。 平常運転のFellows!連載と合わせて、2巻を楽しみに待つとしますか。 『野ばら』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆ 高田築さんの初単行本。不思議と何度も読みたくなる、魅力的な作品が詰まってます。