「正直どうでもいい?」

漫画 音楽 娯楽

寝ながら聞く・聞きながら寝る音楽アルバム

ASMR機材にお金は使いたくないが、とはいえ最近の興味はけっこうそっちに寄り始めている。

以前までは就眠のときの音楽など特になんにも用意せず、無音のなかで眠っていたものだが、ある晩にちっとも眠れず朝を迎えたとき、かろうじてスキマスイッチの「空創クリップ」を流している間は眠れたのだった。もう20年近く聴き続けている自分のなかのポップスど真ん中の1枚だ。

それから寝ながら聞く音楽をあれこれを試すようになったおよそ2年。なんとなく自分のなかでコレだというアルバムがなんとなく定まってきた。聞き方としてはアルバム単位でずっとリピート。

紹介がてら2024年のマイベスト睡眠音楽をまとめてみる。

(毎年のベストとかと違って、入れ替わることがそれほど頻繁じゃなさそうだな…)

 

 

 

 

  • MAP/Tatsuya Maruyama

open.spotify.com

ギタリスト・まるやまたつや氏が2022年にリリースしたアルバム。音色がちょうどよく眠りを誘うおしゃれギターインストゥルメンタル。1曲目はリード曲っぽい明るい曲だが、2曲目以降のローファイ・アンビエントな質感に沈みこんでいく感じがたまらない。健康状態でこのアルバムを流して最後の曲まで意識を保っていられたことは少ない。

まるやまたつやさんはseventy sevenの試奏動画で知って以降追いかけている。ギター試奏動画はどれも一流のギタリストが演奏することもあるが、購入の決めてにするためなのかとにかくギターの音色がいい動画が多く、いっとき漁ることにハマっていた。

今回取り上げた「MAP」というアルバムは、アコースティックギターではなくエレキギターをメインで使用している。アコギのややアタックの強さが音に出る感じではなく、エレキならではのボワンと丸っこい音色が眠るには非常にいい塩梅。

アコースティックのソロギターアルバムもいくつか眠る時に流してみたが、曲の展開によっては鋭い音がなり意識を覚醒させられてしまうケースも多かった。

 

  • 逃避の国/effe

open.spotify.com

今年もっともお世話になった睡眠音楽はこのアルバムに違いない。コンポーザー・effeによる2021年リリースの作品。もともとは今年リリースのセカイ系コンセプトアルバム「永遠」を聞いてハマり、そこから遡って行き着いた作品。

この「永遠」も素晴らしい世界観を見せてくれる一枚だが、この「逃避の国」はどちらかというと民族音楽的な要素が色濃い作品。ほかのアルバムも聞いてお気に入りのものはあるが、こと睡眠音楽としての効能はこのアルバムが最強と思う。

ストーリー仕立ての壮大な音色で、ボーカル曲もあるが、全体の作りとしてはノベルゲームのBGMのような感触。KEYあたりの。

とくにお気に入りなのは「春の祝祭」「螺旋の塔」からラストまでの流れ。ドラマチックなのに感情を荒立てることなく眠りの世界に落ちていける。

このアルバムでノベルゲー1本分(ほぼ1本道で3000円くらいのイメージ)くらいの感情が得られる。睡眠のときに雑にかけるもよし、じっくり傾聴して物語をふくらませるように味わうもよし。

 

open.spotify.com

ジャパン・エレクトロニカのもしかして王道なのか。レイ・ハラカミサカナクションとのタッグから知った口。叙情的な浮遊感、なのに土着的で平熱。

個人的にはトラック5「owari no kisetsu」~トラック6「come here go there」の2曲がずば抜けて好きで、これだけをリピートしてもいい。が、アルバムを通したときのスムーズな流れも気持ちいい。

とらえどころのない曲も多いけど、寝ぼけながら聞くとふいに「あれ、この曲ってこんなビートだったんだ」と前まで聞こえてなかった新しい音が聞こえてくる。あっさり奥深い、塩ラーメン。

アルバムとしては「red curb 」も大好きだけど、睡眠のときに聞くのはちょっとテンションが合わないことが多い。すこし元気だからかな。「lust」の斜陽感がやはり落ち着きたい時には合っているのかもしれない。

でもレイ・ハラカミ作品はどれも人生のなかでピタッとくる瞬間がこの先も待っているんじゃないかなと思う。いろんなシーンで試したい。

 

open.spotify.com

オーガニックで爽快。おしゃれでオタク。ポタロビはやっぱりいいんだ。

最新アルバムもいい感じだけど睡眠に聞くとしたらやっぱりこのアルバムかも。ジャケット通りの清涼感あるサウンドが続く。かなりポップで聞きやすく、メロディが立っているという意味では意識をそっちに持っていかれるのだけれど、このアルバムは不思議と意識を覚醒させずに浸ることができる。シンプルに聞き馴染みのいい旋律と音色なんだろう。

www.youtube.com

代表曲「Something Comforting」も、クラブミュージック然とした音の向きはしているけれど、どちらかというと自分の魂を開放するかのようで心が軽くなる。

個人的にはすぐに寝る場面というより、いつもより30分早く布団に入ってまったりと聞いてるうちに寝ている・・・みたいな聞き方をしている。

 

余談だがポタロビ、むかしよくFMでかかっていたアウル・シティを現代版にアップデートしたような質感もある。アウル・シティもいま聞いたってめちゃくちゃいいんだけど……というかこのアルバムだってめちゃくちゃ気持ちよく寝られそうだ。よく聞いていたアルバムだし耳馴染みも良すぎる。

open.spotify.com

 

 

open.spotify.com

シンプルに、もう高校の時から聞きすぎてどんな音がどう鳴るかも脳内再生できてしまうくらいになっているアルバム。知ってる音楽が知っているように鳴ることの安らぎ。ここまで来ると音楽を聞いてるようで聞いてないかもしれない。

もちろんいい音楽なのだ。何と言っても耳にやさしく、ひとりぼっちの、ブレイク前のサカナクションのもじもじとした様子が感じ取れる。バンド・ミュージックとエレクトロニカの融合というのが初期のテーマであり、メジャーデビュー以降はアンダーグラウンドな要素をいかにオーバーグラウンドで鳴らすかに苦心していく。その戦いの前夜、まだ自分との対話だけの日々の、くずれかけた青春の残照。なんとも甘酸っぱい感触が残る音像が特徴的だと思う。

なんといっても1曲目「三日月サンセット」が自分にとって本バンドとの出会いの曲だが、クライマックスの「白波トップウォーター」「夜の東側」が白眉。不安に立ちすくんだ悲しい夜。否が応でも朝がきたときの焦りと、ある種の恍惚。収録曲は今聞くとどれもミニマルで、要はとても地味なんだけれど……かわいいんだよな。なんだかかわいいんだ。

 

  • 雨の音

open.spotify.com

 

音楽じゃなくなっちゃった。。まぁ寝る時の王道はこれだよ。雨の日は子どものときから眠りが深かった。なぜもっと早く、寝る時にも雨の音を流せばいいと気づかなかったのだろう。

前職のとき、ターミナル駅での乗り換えで通勤ラッシュでも85%くらいの確率で席に座ることができた。会社の最寄り駅までは27分。この雨音を流すことでがっつり20分は眠ることができて大変助かったのです。やっぱごちゃごちゃ言わず雨音が最強かもしれん。

※波音とかもよくヒーリング効果があると聞くが、海なし県に育ったサガなのか雨音とか川の音とかのほうがより眠れるのだった。

 

 

 

・・・

今のところメインのラインナップはこんな感じ。あとシロップの「HELL-SEE」なんかもよく流すけれど、サブスクにあるのがたぶんリマスター版?だからか、なんかクリアになった気がしないでもない。それでもよく眠れる。

もともと寝付きはそんなに悪くはないほうだと思うのだが、30を過ぎたあたりからなぜか心臓がバクバク動き、さっぱり寝られない夜が発生するようになった。そういうときにもアルバム1枚聞くか15分くらい夜散歩するかシコるかで対処できるようになってきた。人生かもしれん。

DLsiteアプリでキス音声だけ流して寝ることもたまにやっているが、トラック冒頭に「今日はずっとキスしちゃおうね・・・」みたいな導入ゼリフがあることも多い。あれないトラックも付属してもらえませんか。マジであれで起きる。みもりあいの様の音声作品でキス音だけのトラックがあるやつ情報随時お待ちしています。