「正直どうでもいい?」

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青春は甘く切なく、ドキドキが鳴り止まない 『むすんでひらいて』5巻

むすんでひらいて 5 (BLADE COMICS EDEN)むすんでひらいて 5 (BLADE COMICS EDEN)
(2012/01/14)
水瀬 マユ

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   オレの初恋はまだ続いてる オムニバス形式で送る学園青春ラブストーリー「むすんでひらいて」5巻です。 上質なストーリーを毎回楽しませてくれて大好きな作品。性別問わず楽しめるであろう漫画だと思います。こっ恥ずかしくもあり、胸熱くさせられもある、輝かしい青春たち。 今回の表紙は雨宮ありす。2巻でのメインエピソード以来久々の主役です。 いろんなキャラクターが登場する作品だけにしばらく出番がありませんでしたが・・・ありすは大好きなヒロインなので今回はテンション上がりましたよ! まぁ好きなヒロインばかりで困ってしまう作品でもあるのですが! 前巻→初恋は近くて遠く、甘くてにがい。『むすんでひらいて』4巻


20話から22話まで3話使って描かれるのが今回のメイン、雨宮ありすと村田雄成のエピソード。 8、9話以来なので実に1年ぶりくらいですか。 幼い頃のつながりで再び接近することができた2人。 しかし思い出話ばかりじゃ満足できなくなってるのがありすと村田。もっともっと相手のことを知りたい。近づいてみたい。でも二人揃ってシャイなもんで、全然上手くいかない。 そんなもじもじした空気が見てる方としては心地よく、とてもニヤニヤできるのです。 きっかけが無ければ話しかけることもできない、なんのアクションもかけられない村田のチキンっぷりはなかなかリアルで情けない・・・。しかし一方、ありすちゃんは攻めの姿勢。 「作ったお弁当を彼に食べてもらいたい」、その一心で彼を目で追います!・・・でも結局話しかけることもできず断念・・・。がんばれ恋する女の子!ありすちゃんはつい応援したくなりますね。 しかしひょんなことからありすは村田家を訪れることに。 ドキドキが止まらない中、2人の関係は一気に縮まっていきます。 ありすのヘコみやすいメンタルと、村田がちょこっとだけカッコいいところを見せてくれたのが印象的な第20話から、2人のギクシャクしたやりとりがなんとも微笑ましい21,22話へ。 むす1 緊張からかしてしまった失敗のため、ありすはお風呂に入ることになりますが・・・ 村田は自分の家で女の子がシャワーを浴びてるってことに思春期男子らしく意識しまくり!ベタなシチュではありますが、イレギュラーな事態において「自分の家なのに気づかなかった。シャワーの音ってこんなに響くんだな」と改まって発見をしたり、彼の緊張がじんわりと伝わってくるような雰囲気がとてもよかったです。 この作品は「青春」を感じさせてくれるものをこれでもかと投入されてるような気が。 あと女の子の背中ってなかなかいいですよね。脱ぎかけの上のシーンは見ててドキドキしました。完全に自分の趣味ですけども。 そんな風に村田がドキドキしてる一方で、ありすはありすで1人反省会。 むす2 胸の大きなを気にするありす! んーかわいい!身体的なコンプレックスを抱いてる女の子って王道ながらやはり良い! 村田の家にいるからって色々と慌てたりミスをしたり、いろんな表情を見せてくれるありすが可愛くてしょうがない! しかしまぁ2人して慌てちゃって失敗もたくさんして全然上手くいかない。なんて格好悪い、自分。2人の申し訳なさそうな曖昧な空気にもギュッと胸を締め付けられる甘酸っぱさがアリ。 でもそこからちゃんとクライマックスにかけての盛り上がりがやはり良い! 別段難しいことはありません。非常にベタなストーリーでした。 しかし効果的に過去回想を挟み、メイン2人の不器用っぷりとこの異常事態のドキドキをたっぷり描いたあとにやってくる爽快な展開は、期待通りのはずが期待以上のものを感じさせてくれる出来栄え。それは2人のキャラクターの魅了をじっくりと引き出した上で進行しているからでしょうか。心理描写も丁寧で。 そんなワケで、ありすたち物語はスッキリとした一区切りを迎えました。 日摩裏先輩、夏らの他ヒロインを中心としたエピソード群が未だはっきりとした決着をしていない中、村田たちは先に一歩抜けた形になりましたね。 こっからまた揉めることがあるかもしれませんが、個人的にはかわいい2人の不器用なりのイチャつきがもっと読みたいなと!


続く第24、25話は番外編的なお話。作中アイドルMIUをめぐるお話。 普段の主人公たちとは年代が上のキャラクターが主役となっており、就職を目前にひかえた大学生と、すでに現役トップアイドルMIU。今自分が現実的にすべきことと、本当にしたいこと。はかるにはかれない天秤に頭を悩ませる主人公は、どんな結論を出すのか。 同じ「青春」と言ってもややタイプの違ったものを楽しませてくれるエピソードでした。 高校生たちの青春は、今目の前の壁を超えていくのに精一杯。 一方もう子供ではない大学生。今から何かに飛び込んでいくには、リスクもある。 だから目の前だけでなく、もっと未来を見据えて誓う約束の言葉。リアリティあるプレッシャーと、それを背負うことで前に進んでいく決意の力強さ! 終盤、熱のこもったドラマティックな展開に魅せられました。これも好きなお話です。 恋愛色がそれほど強くなく、主人公とヒロインの関係性もまたカッコいい。 しかしこのエピソード内で面白いことが起きましたね。「○年後―――」とやったのです。これまで作品を通じて 描いてきた時間軸を突破して未来に進んだエピソードだったのです。 そして完全に決着を見たエンディング。番外編だからこそ、な仕掛けでしたね。


以上、5巻の感想でした。今回も楽しませてもらいました。面白いなーやっぱ。 オムニバス形式というのがこの作品の特徴ですが、色んなキャラたちの物語が贅沢に味わえますねぇ。今回はありす・MIU両ヒロインともにやや独立したヒロインでしたが、こういうのを一緒の作品内でやれてしまう自由さが素晴らしいです。オムニバス設定がハマっています。 女の子のかわいらしさが際立つ作品ではありますが、男の子だってがんばりますし、とても輝いている作品です。そういえばMIU編の主人公なんかカッコいいですねえ。いやいや、みんなカッコいいです。イケメンばかりではないにしろ、みんな青春燃やしてます。 やってることはすごく王道の青春恋愛ものなんですけども、何作読んでもこういう作品が大好きですねえ自分は。青春のみずみずしい輝きを、色んな方面から楽しませてくれる作品です! 6巻では日摩裏先輩関連に動きがあるようで、引き続き期待ですね。 次の表紙は誰でしょうねえ。あと残ってる娘というと、柚になるのかな。 『むすんでひらいて』5巻 ・・・・・・・・・★★★★ あまずっぱーい。心躍る青春オムニバス群像劇。ありすちゃんはかわいいなあ!ラブ!