「正直どうでもいい?」

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知りたい触れたい確かめたい、世界のはてより君のなか。『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』7巻

女の子たちのどこまでもゆるゆるなクソ平和。その僅か数ミリの裏側にまで忍び寄るアポカリプス。正直面白すぎるし頼むからもっと刊行ペースあげてくれ~~~~~~~1年3ヶ月ぶりのデデデデ新刊がこちらになります。いやでもスペリオールに掲載された読み切り「TEMPEST」も面白かったですね。他にもいろいろ同時進行で描いているのでペースアップは難しいのだろうか。

今回のカバーイラストはマコトくんだ。真打登場の感がある。しかしこうなると次のカバーの予想も難しくなってくるな。男子が解禁されてついに大葉くんか?

後半戦に入って世界の秘密も明かされつつある本作。なにか、なにかとんでもないことが次の瞬間には起きていそうな・・・日常を脅かされるギリギリの緊張感がたまらない。焦らしに焦らしてくる!狂い続ける世界と、ふつうであり続ける少女たちの日常のギャップがどこまでも魅力的。でも徐々にその境界線はおぼろげで融解しつつある。非日常は彼女らの空間にまで染み出してきている。

明らかに世界はマズい方向に突き進んでいて、けれどだれもその流れを止めることができない。当たり前のように日は昇って沈んで、誰かは誰かを好きになって、あるいは殺して、どこにでもある日常であり続ける。終末と隣合わせの平穏。

 

 

 

デ71

まぁそんなことはさておき季節は夏!!オタクども水着回を拝み倒せ!!ビレバンで買った怪しいレコード会社のクラブミックスCDかけながらレンタカーで飛ばせ!!!いやそんなシーンはなかった。水着回がありがたいのは本当だ。

デ72

実はさっぱり泳げないカナズチおんたんかわいすぎません?

前回でポチャった門出もなんとか海までに脂肪を絞ること成功していてよかった・・・っ!まだ若干腹回りがふくよかだけど!そこがかわいい。お前ら本当に大学生かよってくらい、無邪気だ。

うお~~~~~~夏!! きっとこれで最後の夏。読者はさんざんビビらされてるんですよ。地球滅亡までのカウントダウンまでブチ当てられて、こんな晴れやかな夏のひとときをどんな気持ちで眺めていればいいんだ。残酷すぎやしないか。

デ74

ノローグでも触れられているけれど、これから先どうなるんだろうという言い知れぬ恐怖が脳裏につねにチラついている。きっとみんな。この時代に生きる者としての宿命として。けれどどこまで深刻に考えているのかは人それぞれだ。"彼女"は人一倍敏感に、終末の匂いを嗅ぎ取っていた。次の夏ははたしてあるのだろうか。私達の未来はどうなっていくのだろうか・・・

そういう不安を胸にしながらも「普通の夏」を思いっきり満喫する。水着回だなんてはしゃいでる場合じゃない。こんなの、最後の晩餐に近い。覚悟を持って読まざるを得ない。こういう緊張感がこの作品の醍醐味とも思うのですが、巻を重ねるごとにエモさもその裏にある破滅の予感もどんどん強烈になってきて、非常に心臓に悪い。いろんな感情が走りすぎてもう道路は渋滞中。

おんたんの絶叫告白、あそこはもう震えるしかなかった。この時代この状況にあって、数奇な偶然から出会った2人だからこそたどり着いた結論だ。けれどその想いを成就するにはあまりにも壁は高く厚い。ふだんフザけ倒している彼女の胸の内に、こんなにもあつい感情があるのかと動揺しつつも嬉しさも爆発してしまうよ・・・。よく言ってくれた・・・!!5巻の唐突なキスから何歩も進んだ。ゲーオタ少女にもついに恋する季節が。けれどその相手は。そして世界はもう。ああ。ああ・・・もう、世界の残酷さを思い知る。

少女らしい甘酸っぱい彼女は空気を読んでピエロを演じているのだけれど、ふたばちゃんに真面目に反省を促した彼女の表情からもわかるが明らかにこの夏にスイッチが入ってしまっている。おんたんのそういう仮面キャラというか、筋のある2面性が本当にたまらん。しゅき。

でもおんたんも、全部しらなかったフリして全部なかったことして、恋に没頭して逃げ込むことを良しとしないまじめな女の子で本当に眩しい。世界なんかどうだっていいから君のことをだけを知りたいのに、だってその君が、世界をどうにかしちゃう厄介者なんだから。未来よりなにより、君のなかみを知りたいのに。

「だってそれじゃ、大葉がいない世界って事じゃん。」

平和な世界より、こんな終末にあっても出会えたことを嬉しく感じてしまうくらい、あまい熱に浮かされているのに。

 

デ73

 

そして物語はおんたんの秘密にクローズアップしていく。というのも7巻クライマックスで明かされたのはかなり衝撃の事実で、物語の根幹を揺るがすものだ。そしてそのカギはおんたんが握っている・・・!

たしかに気になって読み返してみれば過去にも気になるシーンがあるある。やはり伏線は初期から張られていたというわけだ。その大仕掛けを明かしたということは、いろいろ作品も終盤に差し掛かっているのだろう。

実は思っていたよりもずっと昔から宇宙人は地球にやってきており、ひそかに人間をのっとって生態調査をしていたという。そしてそれをさらに上回る、おんたんの秘密。上記のシーンでもおんたんは自らの記憶に違和感を覚え、苦しみを見せている。消えた、あるいは消された記憶に、世界の命運がかかっている可能性が高い。

ここにきて若干のループモノ感が出てきた。宝田の正体は果たして?っていう言及が作中でもされたが、たしかに進行中の空中都市避難計画である母艦「Osean」って、つまりこれ奴らが乗っているUFO母艦と同じなのでは・・・?そして54話で語られた宇宙人たちの真の目的を照らし合わすと、つまりいま人々が殺して回っている侵略者とは、かつて地球から飛び出した人間の末裔が進化した姿だったのでは、という推測が立つ。彼らからすると地球に残してきたかつての仲間たち(地球人)が思いほかに強く進化しており、宇宙から帰還したところ為す術もなく殺されまくっているということになる。(元)同族同士で殺し合っている・・・虚淵脚本かな?

いよいよ全貌も見えてきちゃったかも知れない。しかしそうなるとおんたんの秘密がいっそう気になるし、そもそも大葉くんはどういうスタンスで地球にいるのだろうか。地球人を関係を築きつつある彼の動向こそがすべてのカギか。

全部ぜんぶブッ壊れちゃうデストラクション、もしかしなくても、もう目前。なんとかしてくれ神様よ。おんたんや門出やみんなが、どうか笑顔でいてくれる結末を。あるいは終末を。