「正直どうでもいい?」

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底抜けのエロス&グロテスク!超ド級の昆虫亜熱帯SFマンガ完結『ムシヌユン』6巻

新しいブログを作ってみたということで軽率に試し書き。 そもそも前のブログでは学生時代のスタイルである「できれば3000文字くらいは書いて文章生産量だけでもよそよりも上を目指そう」という誤った方針からイマイチ脱却できなかったのでむりがきたのです。 いやまぁ、当時はそういう意識もそれほど無いままに、書いてたらいつのまにか長文だった、て感じだったのですが。

B078YKS5C1 ムシヌユン(6) (ビッグコミックス) 都留泰作 小学館 2018-01-30by G-Tools

はい。ムシヌユン。

ここ2、3年に出たマンガではトップクラスの面白さだったように思います。 読みながら「キモっ!!」「はぁ~~~~~キモ!!!!!!」とニヤニヤしながら読めちゃう、頭のいい大人の妄想と悪ふざけが大爆発してるこの作品。

亜熱帯SFと掲げられていますがこれがなにかっていうと、宇宙人からマジカルチンポを授かった青年がヘイトとリビドーをギンギンにたぎらせて、巨大昆虫が大量発生する孤島ジャングルを生き抜くという物語。 マジカルチンポ。いい響きだ。そして人間の性器の形をしていなければ一般青年誌でも一切のモザイク・修正をはねのけてチンポ描写は可能なのだという、学び。 これは凄まじい発明ですよ。あと虫姦もOKなんだ!バカじゃねーの!

主人公のキャラがとても濃ゆい。いかにもコミュ障で、幼稚で意思も弱く感情のコントロールもできない。見ていてイラっとくることもしばしば。しかしそんなヤツだからこそ何をしでかすか分からないヒヤヒヤ感がとても魅力だった。さっきまでヤラせてくれとマジカルチンポギンギンで迫っていたのに、次の瞬間には気が変わってヒロインに罵声を浴びせていたり、それなのに全然覇気もないもんだから女性たちからはバカにされっぱなし。 予測不能な彼の行動が、ギャグとしてもSF全開シリアス展開としてもうまく機能していて、まちがいなく立派な主人公だった。

マジカルチンポを手に入れたことで彼も有頂天となっていたが結局自分自身の性格的な問題で女性と心通わせることは叶わず、ますます彼は童貞をこじらせていく。 愛する女性への気持ちもマイナス方向に爆発し、ひどい罵詈雑言を吐きつける。そらのセンチメンタルな展開は、エロとグロと小難しいSF語りにまみれたクライマックスでこそ、一際人間くさくて輝いていた。

ムシヌユン6

ああ、なんて醜いのか。こんなに愚かな姿をむき出しにして、いいのか。

暴走や暴言は、ある種彼がはじめて女性に認めてもらおうとあがき苦しんだ結果なのだろう。見るも無残な大失敗に終わっているけれど。でも愛おしくなる。 ただただ、性に臆病な青年に過ぎなかった。クライマックスにて、ようやく「人として」憧れの女性と交わることが出来た直後に彼がこぼした涙はあまりにも切ない。

何を期待してたの? セックスなんてこんなものなのに。 男ってみんなバカみたいさ・・・

読解力が低いのでラスト2話くらいでいったいどんな事がおきたのか、わかるようなわからんようなって感じなんですけど、描写力でとにかく脳みそに情報が叩きつけられてくる感じでテンションも上がる。

昆虫だとか宇宙だとかSFだとか、気持ち悪いし小難しいしってことは百も承知なんですが こんなにもエンタティメントしている作品を見逃す手は無いと思う。

ストーリーはテンポよく進むしキャラはみんな個性的(味付けが濃すぎる感もあるがそれも良し!)だし、世界が危機に陥っている横で大真面目にバカなことをしているシュールな世界観もめちゃちゃ笑った。

 

怒りや不満や欲望が煮えたぎる心理描写、主人公のダメ人間ぷり、 マジカルチンポ無双・・・ 圧巻の昆虫ファック・・・。

最終巻の表紙はまっしろな砂浜に横たわる主人公たち。

そのまっしろな風景は、作品を読んで感じた、人間の心のとても深く清らかな色そのままのような気がしますね(悟り)