「正直どうでもいい?」

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生まれたての物語と、果てしない胸騒ぎ!『中学性日記』1巻

記事タイトルは似合いそうな曲から引用。

中学性日記(1) (アクションコミックス(月刊アクション))中学性日記(1) (アクションコミックス(月刊アクション))
(2014/02/10)
シモダ アサミ

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   お前のブラ オレが選んでやる!! ・・・通常更新がだいぶ出来ていませんでした。 休んでる間も漫画は当然追っていて、更新したい本にもたくさん出会いましたが、とりあえずコレだけはやっておきたいのがシモダアサミさんの「中学性日記」! タイトルどおりの内容で、ずばり思春期全開な中学生たちを描くもの。 思春期における興味や悩み、その爆心地は“性”にほかならない! 異性が気になる!自分が気になる!無駄に繊細になっちゃう! 一話完結のオムニバス形式で読みやすく、エピソードがどれもこれも・・・こう・・・もうね・・・微笑ましい!かわいすぎる!! 思春期らしいコンプレックスに苛まれる男の子とか女の子とか、もう大好きなのです。よってこの作品もバッチリどストライクなわけで、俄然テンションも上がる。 きっと誰もが通過したあの空間、あの季節、あの時間!意味もわからずずっとソワソワしてたあの日々! 懐かしく思うのと同時に、自意識の地獄にいたあの頃を思い出して悶絶したりして・・・読んでいて心揺さぶられまくる。そんな人は結構いるんじゃないかと思う。 第1巻は5つのエピソードを収録。それぞれの感想を書いていきます。


●「杉田くんとおっぱい」 胸。男からすると未知なものなのではあるけれど、それ故にガンガンに興味を惹かれる。みんな口にはしなくても思っていたはずだもの、あ、あの娘はけっこう大きいんだな、とか。 このエピソードはおっぱいそのものより女性下着好きな杉田くんと、周囲よりおおきく膨らんでしまった胸にコンプレックスを抱いている野口さんのお話。 恥ずかしくてブラを買いにいけない彼女のため、そして自分の知的好奇心のため、杉田くんはランジェリーショップへと向かう!! 中学性1 本来女性の領域である話題にズカズカ押し入ってくる杉田くんの、いい意味で空気よめてない感じがかわいい。彼によって不安から救われる野口さんの心の動きも、さわやかで幼い恋心の発芽が見えて頬がゆるむ!赤面中学生女子、バンザイ!! 第1巻ではこの話が1番好きかなぁ。ラブコメ的展開もあるし、知らない世界に飛び込んでいくような、謎の高揚感があります。(知らない世界=ランジェリーショップ) あと教室で女子が集まってかわいい下着の見せるシーンの羨ましさがスゴイですね。おかしいよこんなの!中学生男子には刺激が強すぎるよ! この話は試し読みできますので、気になる人はぜひ。 思春期の繊細さと無神経さと愚かしさ可愛らしさ、全部詰まってる!大好き! 野口くんは成長してからモテそうだなぁ。そうでもないか? ●「森田くんのチン毛」 毛。そりゃあ思春期には当然付きまとってくるナイーブな話題ですね。 まだ下の毛が生えてこないことが悩みの森田くん。友人から教えてもらった「女子の下の毛を持ってると願いが叶う」なんて笑えるおまじないを信じて、好きな女子に「毛をくれ!」とアタックする底抜けのバカです。 必至なんだけどアホでしかない、こういうのも思春期らしさか!恋愛的にまるく収まらないのもいいオチでしたね。フラグへし折った・・・。 好きな女子の毛はどんな風なんだろうとか妄想してしまうのもゾッとするけれど、興味あるんだから仕方ないよね! 森田くんは毛が生えてなくて恥ずかしい派でしたが、自分は逆でしたね・・・、 俺は中1の修学旅行に毛がはずかしくて全剃りして行ったらみんな当然のように生えてて逆に恥ずかしい思いをした経験があります。後日濃いのが生えました。 ●「花巻さんは普通」 毛。引き続き毛です。前回でヒロインだった(毛をくれと追いかけられた不憫な)花巻さんが主人公で、前回の舞台裏を交えながら進行していきます。 花巻さんは毛深い身体がコンプレックス。我が道を往く系女子の木野さんにアドバイスをもらい、少しずつ前を向けるようになった、かな?という具合。 身体にまつわる話だからこそなかなか相談しづらくて塞ぎこんでしまうのはやはりこの年頃だからこそあるし、大人になっても難しい時は難しかったりするだろうな。 だから花巻さんが大人になってからも、この時もらった木野さんの言葉は大切なままだろうと思わせてくれる。けっこういい友だちになると思うし、どこかで離れ離れになったって花巻さんは覚えているだろうなーなんて感じて微笑ましい。 ●「前野くんの発芽」 生理。これも男はわからない世界だけに、主人公の前野くんも最初はさっぱり自分が感じているものが何なのかわからなかった。 前野くんはある朝から、女子のからだにまとわりつく不思議なにおいのオーラを感じるようになり、戸惑います。 このエピソードは生理にまつわる女子のコンプレックスを中心的に見たものですが 周囲や自身が急速に大人になっていくことに耐えられない男子(主人公の前野くん)の繊細さも現れているように思えます。 今までとは違うにおいを身にまとうようになった女子たち。含みのある笑みをこぼす男子たち。それらは第二次性徴の影響。周囲の変化に戸惑ってしまう。 中学性2 けれど、好きな女子が女性になるその瞬間を見つけて、それはまるで花が咲くように感じてしまう。なんてこっ恥ずかしい!少年心の根っこにある妙なロマンチックさですよ!性の芽生えは恋の芽生え・・・ッ! こうやって周りと気持ちを響かせ合いながら、でもズレたり間違えたりしながら進んでいくのが、思春期っていいねぇと思います。おっさん臭いこと言ってると思います。 吉川さんは最後に「女の子でよかった」と微笑んでくれる。それも読後感良し。 ●「小鳥ちゃんのお肉」 体型。異性の目を気にしまくり、空回りしまくりな季節なわけで、男女ともに自分の体に大小のコンプレックスは抱きますよね。 小鳥ちゃんはぽっちゃりした女の子。友達からは体をプニプニと触られてしまうことは少し不満で、けれど好きな幼なじみの少年に触られることは、すこし嬉しい。 ストーリーは幼なじみものらしい可愛いもので、個人的にヒロインもお気に入りです。 思春期を迎えて、いままでとはちょっと違った感情に戸惑ったする幼なじみ2人とかね・・・王道も王道で最高だからね・・・! コンプレックスでがんじがらめになって、自意識過剰なくらい怖がってしまう小鳥ちゃん。その様子は読者視点からはとてもかわいらしいけれど、本人は必死。 けどそんな悩みは、好きな人がくれた大切な言葉ひとつで、たちまち吹っ飛ぶんだ。 中学性3 小鳥ちゃんが不安がっていることについて、それを晴らすために必要な一言をちゃんと投げかけてあげられる壮ちゃんはイケメンだなぁオイ! ラストシーン、壮ちゃんが独占欲を見せる場面なんか最高にニヤニヤしちゃいますよね。恋愛的な独占欲とはちょっと違うかもだけれど、それで舞い上がっちゃう小鳥ちゃんのかわいいことかわいいこと・・・・・・!いい空気のまま2人は関係を築けていけそうだなと、おもわずニッコリしてしまう良短編。


そんな全5エピソードを収録している「中学性日記」。 巻末のオマケ漫画では現状じゃ100%女子と仲良くはできないタイプの男子が描かれていて、まるで冴えないこの残念感もまた青春らしい! 一冊通して、思春期の悶々とした感覚が凝縮されています。生々しさとファンタジーのいいバランスが取れていて、「身に覚えがある、かつてのあの感情」を作品と共有できているような、親近感が湧く仕上がり。ほのぼのとしたラブコメの雰囲気で読みやすいです。 男子には男子の、女子には女子の。俺には俺の、誰かには誰かの思春期がある。 「俺が思春期だったあのころ、女子や他の奴らはいったいどんな事を考えていただろう」 という未だに続く疑問を少しずつ溶かしてくれるような、よけい謎を深めてくれるような、思い出の風景の裏側をちょっとだけ覗けるような感覚もいい。そういうのが思春期漫画に必要なものですよ。 昔を思いだして叫びたくもなる。けれど同時にほんのり思い出が愛おしくなっちゃったりする。 きっとだれだって思春期ってものに弄ばれた時期があったのだ! 心とからだが一気に大人に近づくあの季節。おろかで可愛らしい思春期の小さな失敗たちは、それを目にする我々の胸に、なにか刺激的な感情を呼び覚ます。 あーあ。中学生ってかわいいね。もう絶対、戻りたくはないけれど。 この本、期間限定ではあるものの(発売後1ヶ月以内)、購入すると電子版も無料でゲットできる取り組みがされています。 今回感想を挙げるのが送れてしまったせいで期限が切れてしまいましたが、自分はバッチリ入手しておきました。月刊アクションはこういう取り組みをやってくれるそうで、なかなか重宝しそうです。 『中学性日記』1巻 ・・・・・・・・・★★★★ 俺こういうの絶対好きだろうなーと思いながら読み始めて、案の定だったパターン。 あまりの可愛らしさに悶絶しつつ、なんだかしんみりしてしまった・・・。