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もっと知りたい…女の子の秘密。『思春期のアイアンメイデン』1巻

思春期のアイアンメイデン(1) (ヤングガンガンコミックスSUPER)思春期のアイアンメイデン(1) (ヤングガンガンコミックスSUPER)
(2013/04/25)
渡辺 静

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   女子って…女子って…すげぇ。 小学校の中学年くらいのとき、男子と女子でわけられて授業をしたことは案外よく覚えています。いわゆる性の授業。その頃のほかの記憶はあまり無いんだけれど、覚えているということはそれだけ当時の自分にしても印象深かったイベントだったんだろう。 男子だけ集められて、先生が黒板に大きく「金玉」って書いてたなー。今考えるとシュール。でその働きとかをなんか普段は違った緊張感で聴いていた気がする。 はて、ではあのとき女子たちはどんなことを勉強したのか…。 当時も今も、結構そこんところ興味ありますよ! さてそんなわけで渡辺静さんの新作「思春期のアイアンメイデン」感想。 女子への興味がつきない思春期の男子中学生が『女の子のふしぎ』に迷い込むファンタジックな日常系ラブコメディです。 異性への興味。男子中学生という生き物は8割それで構成されているようなもの! いい具合に思春期をこじらせた中学生たちがその欲望や戸惑いを全開にしており、実に俺好みの世界観でございます。思春期漫画いいよね…! 女の子が秘密にする「あの日」って一体なんぞや。 不思議と興奮で脳みそいっぱいさせられる、ここは女の子のミステリー。


主人公・真山はエロいこと大好きなアッパー系な思春期少年。 教室では友達と大声で下ネタトーク。女子のパンツを見ようと必死。その他多数の女子へのセクハラ三昧の、どう考えてもしょーーもない中学二年のクソガキである。 でも振り返ってみれば中学二年のころなんてこんなものだ。俺もあの頃は透けブラをネタにできるくらいの若いエネルギーがあったはずなんだ…。今となっては…まぁいいやこの話は。 そんな等身大な少年には、月子という幼馴染の女の子がいます。 成績優秀、ルックス・プロポーション文句なし。そして真山と距離を取る。 かつて真山と月子は本当に仲がいい幼馴染でしたが、いつからか男子と女子の別々の世界に分かれていくのはよくある事。 昔とは違って「女の子」っぽくて、しかもどんどんかわいくなっていく月子。彼女への寂しさや憧れや苛立ちや、色んなものを真山は抱えています。 しかしある日、真山は目撃してしまうのです。とびきりの女の子の秘密を! とくに男子には絶対に秘密にしたい、女の子に来る『あの日』を! そうして始まる真山と月子の奇妙な関係は、かつての絆を取り戻していく過程でもあります。不思議なかたちで距離を縮めた2人。繋いだキーワードは、女の子の『あの日』である。 女の子の『あの日』!! 男からすれば触れていいものかなんなのか、ともかく神秘的で秘密だらけで、知りたいけどきっと知っちゃいけないようなフワフワしたワードである。でも興味はあるよねっ!(ニコッ 女の子のあの日=ドキドキは避けられない。 『あの日』がどういうものなのか。それがこの作品の最大のポイントであり、独自の捻りを加えたもので面白い。どんなものかは実際に見て貰いたいものです。 ヤンガンのサイトで第一話が公開されていますので、折角だからおいておきます。 →http://www.square-enix.co.jp/magazine/yg/introduction/sisyunnkino/ これが月子の『あの日』。本来のそれとは違うのに、現象のあり方としてはそれに近い。なんとも憎い距離感の設定となっています。 アイアンメイデン11 さ、さいですか…。 否が応にもドキッとさせられるこんな瞬間がこの漫画の持ち味のひとつ。ねぇ、だってこんなの男はドキドキするでしょうよ!女の子の体の秘密だもの。 月子の秘密を知ってしまう主人公の男の子。誰にも知られたくない、知られちゃいけないとっておきの秘密。それを2人だけで共有するという嬉し恥ずかしなラブコメ展開! 秘密。なんて甘美で禁忌的な響き。異性の体の秘密を握るのってイイな! 身体がおおきく変化する思春期。それに戸惑いは当然あるでしょう。他の人と比較して一喜一憂したり。はたまた異性の体を覗き見て、性別の違いを確認したり。 そういうことにどうしようもなく心が敏感に繊細になってしまう時期。 この作品はその雰囲気をバッチリとらえた思春期漫画なのです


設定とキャラクターがかみ合わさって、見事に思春期空間を作り上げる本作。 ファンタジー要素はぬきにしても、単純に主人公とヒロインの関係は思春期らしい、いじらしさと愛おしさでラッピングされており、気持ち悪い笑みをこぼすことを避けられない! 特に先にも書いたように主人公がかわいいです。クソガキで。 人にイタズラ…主にセクハラをしかける悪ガキ系の主人公。隙あらばスカートを覗き込みまたはめくり上げ、胸を揉むわ堂々とヤラせて発言するわ。中学生とは言え、さすがにもう子供だからなで納得できるもんではありません。迷惑人物。 けれどヒロインのために頑張ってみせる時もある。すぐに素直にはなれないけれど、月子のために全校生徒の注目を集めようと大事だって成し遂げる。そういった誠実さをなかなかうまく描いており、素直になれない彼の不器用さと相まって、一見すると迷惑DQNな彼がかわいいヤツにちゃんと見えてくるw 「ヤリたい!!」と大声で言っちゃうような、実際に女の子の胸を揉むような主人公。 でも本当にいざそういう局面になりそうな時、彼は慌てふためきます。 アイアンメイデン13 このチキンっぷり!!完全に口だけ野郎ですよ!! でもねぇ、全体的に粋がってる様子とか、未知の領域に踏み入ることに躊躇してしまうとか、非常にわかる。根性なしめ。かわいいじゃないか。 必要以上にアピールをして、それが叶いそうになった時、尻込みしてしまう。 完全に間抜けなんだけど、これこそが思春期らしい迷走の形のひとつだなぁ。 「女子って…すげぇ…」と感動するときの真山くんは、読者に重なる存在になる。 身体を張った『反撃』で見事に真山に一泡吹かせた月子。 けれど男の子の前で服に脱ぐということは…その上自分の身体にさわらせるということは…平気でなんていられるわけがない! ということで混乱する真山を後にしたあと、正気になってものすごい勢いで赤面! アイアンメイデン14 かわええ…!! 男子が女子を意識してしまうように。 女子だって男子を意識してドキマギしっちゃったりもするのだ! 第3話は男の子と女の子、両サイドから見ても絶品のニヤニヤエピソードですね!!


思春期をこじらせた男子と女子の不思議な関係。 性を意識してぎこちなくなった、未熟な男女の関係が本当にかわいい。 男子、とか、女子、とか。そういう呼び方ができる空間がそもそも愛おしいですね。 特に第3話と第8話のドキドキ感が素晴らしく、お気に入りの話です。 第8話は、月子の身体の様子を確かめるというシーンが凄くいい。 アイアンメイデン12 硬い 柔らかい 硬い 柔らかい カリッ… ふにっ… その硬さとやわらかさ。その温かさを、じかに触ってみる。 このじっくりと確かめる描写…こんなのドキドキするに決まってる!! 月子の「コーフン…してるんだ。私の…体で…」の独白がエロさに拍車をかける。 相手が自分に興奮している…なんてことを自覚して、めちゃくちゃ照れるんですよ。大人っぽく妖艶に振る舞うことなんてできない「女の子」の魅力。 そしてなぜか授業中に勃起してしまっていたあの謎現象がついに解明された。そんな理由だったのか、夢が広がるw 真山に猛アタックをしてくる下級生も登場し、ラブコメとしてこれからどんどん勢いは増していくだろうなと、その予感を与えてくれる第一巻でした。 設定の面白さとそれが溶け込む日常描写。なによりファンタジー要素を通じて鮮やかに浮かび上がる思春期の輝き!これぞ美味!2巻も楽しみにしております。むふー。 『思春期のアイアンメイデン』1巻 ・・・・・・・・・★★★★ アイデアの面白さもそれを生かしたラブコメ展開も素晴らしい。ナイス思春期漫画!