「正直どうでもいい?」

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この想いよ君に響け!『悪戯ちょうちょ』2巻

悪戯ちょうちょ(2) (アクションコミックス(コミックハイ!))悪戯ちょうちょ(2) (アクションコミックス(コミックハイ!))
(2013/02/12)
綾瀬 マナ

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   耳で 心で ―――世界中で 音楽百合漫画、「悪戯ちょうちょ」2巻の感想です。 やー面白くなってきました!音楽漫画としても百合漫画としても盛り上がってきたじゃないかと。読んでいて作中の女の子とシンクロして、感情が高ぶっていく感覚が味わえました。もう、めっちゃくちゃ情熱的な漫画ですね「悪戯ちょうちょ」。 音楽の名門女子高にかよう少女たちを描いたお話。 主人公はピアノが大好きな女の子、さくら。そして彼女の親友である声楽科のなのは。 1年生にはまだ出場資格が与えられない学内コンクールに出ることを決意した2人。そして紆余曲折を経て、1年生ながらコンクール出場をもぎ取る。 そんなイレギュラーとなったさくらとなのはは、コンクールに向けて特訓を開始。そして2巻の内容へと入っていきます。


この漫画は、百合漫画としても音楽漫画としても気にっています。 どちらの方面でも、この漫画はすごくエネルギッシュで眩しい。というかその2つの要素は、この作品ではもはや一緒になって1つの「愛」になっている。それは大きくてキラキラしていて清らかで鬼気迫る。この迫力に呑み込まれてしまうのは、仕方のないことだと思う。 とにかく「好きだ!」という感情が思考を、身体を突き動かしていく。純粋すぎて繊細すぎて、時にやっぱり傷ついてしまうけれど。でもやっぱり「好き」は止められない。 がむしゃらに前に進んでいこうとする少女たち。アツいですよこれは。 さくらはなのはに想いを寄せています。なのはも彼女を好きですが、それは親友としての「好き」であり、さくらが欲しがる「好き」ではない。 親友としての「好き」を突きつけられるたび、さくらは胸を締め付けられます。 それでも彼女たちは強く強く結ばれている。2人だからこそ前に進んでいける。 そしてさくらは「好き」を、言葉より旋律に託す。 1巻にあった「この想いが音で伝わってしまえばいいのに―――」というのが、彼女のスタンスを表していますね。臆病なんだ。言葉にするのは怖いんだ。 だからか。口より雄弁にピアノは愛を語る。一音にすら想いをありったけ詰めて。なんという情熱的ラブレターだろうか! 2巻で一番カッコよくてお気に入りだったシーンも、そんなさくらの演奏シーン。 この想いを伝える。伝えたい、伝わらないなんて、言わせない! 悪戯ちょうちょ21 この気持ちが届くように祈りながら。気持ちを演奏に織り込んで、いつしか気持ちと一緒に指が曲が暴れまわる! この耳にはこの漫画で流れる音楽は聞こえていないはずなのに、何かが確かに聞こえるような感覚がする。自分の心が突き動かされる音がするのだ。 この漫画の演奏シーンは、熱いよ!そこに恋心が隠しきれないほど託されているから! 演奏シーンだけじゃない。曲の世界の解釈。これも魅力的です。 さくらが曲と向き合うとき、その曲の解釈がされます。 その音楽が持つ味わい、世界観、感触・・・それらを探っていく。 それが視覚的に描かれていくのですが、その1つ1つがとても美しい。 上でも述べたさくら自身の情熱と、その曲が持つ世界観がガッチリと組み合わさります。そしてさらにこちらの感情を揺さぶってくるのだ・・・! 曲世界の描写はそれぞれは瑞々しい感動に満ちていて、気持ちがいい。 その曲に込められた本来の意味そのとおりのものを掴めないことだってある。けれどその時その時の、演奏者が誰かに向けた特別なメッセージをのせて、焦がれるほどのラブレターは響く。 曲の真意を無視する曲解釈に怒る人もいる。だからさくらはそういうものとも戦っていくんだな。そういう人たちをどこまで圧倒させられるか。激情のピアニストの真価はこれから発揮されていくに違いない。 自分を見せつけて、不敵に笑ってみせる。カッコいいわ・・・! 悪戯ちょうちょ22


いやー2巻面白かったです。 個人的に1巻はいきなり物語が大きく動いて、面白かったんですがホンの少しのおいてけぼり感がありました。主人公の心がうまく掴めないままどんどん先に進んでいってしまう感じで。 けれど2巻で、状況が落ち着きましたね。そして留まったそこからゆっくり世界が広がっていく。性急に走り出した1巻から始まり、2巻ではじっくりと作品の深みを出した内容になっていたと思います。ストーリーや感情に緩急が付いて、一気に面白さが増したなと。 この漫画を読むなら2巻までを一気読みするのがいいかも。 2巻から新キャラが登場しました。さくらを担当する男性教師の藤奏美。 百合漫画でありながらメインキャラにはモテ系男性教師である。まぁ主人公たちはいっさい揺るがないので心配いらないと思うけれど。 この先生、まだどういう人物か読めないです。悪い人ではないですが、はてどう関係していくのやら。 藤から課せられる課題に苦しめられつつも、前に進んでいくさくら。 その一方でパートナーとなるなのはは壁にぶつかります。 2巻終盤は、2人の関係を大きくうごかす一大イベントが! そんなこんなの一冊でした。ゾクゾクさせてもらいましたよ! 恋愛感情モロ出しのエモーショナルな音楽描写。いいですねえ。 綾瀬マナさんの絵それ自体も、めちゃくちゃ綺麗です。光っている。 女の子同士の関係。うまく届かない想い。 思春期の繊細な感覚がキラキラまぶしいし、とってもかわいいですわ。 音楽への純粋すぎる愛。そこに大切な人への想いも叩きつける。「好きで好きでたまらない!」といったような真っ直ぐななパワーがはじける、眩しい風景。 3巻ではどのように話が動いていくのか! カバーをとった所の描き下ろし漫画もニヤニヤできますわー。 一緒にいたら方言が移っちゃったとかなにそれ。どれだけ一緒にいんの・・・。 『悪戯ちょうちょ』2巻 ・・・・・・・・・★★★★ 先走って生きる少女たちの気持ちを音楽にのせて。情熱的でリリカルな感触が素敵な漫画。