「正直どうでもいい?」

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独りの英雄は、ステージの輝きを浴びられない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』6巻

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6 (ガガガ文庫)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6 (ガガガ文庫)
(2012/11/20)
渡 航

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   安易な変化を、成長だなんて言って誤魔化すなよ。    俺は、安易な変化を、妥協の末の割り切りを、成長だなんて呼びたくない。    諦観の末路を「大人になる」だなんて言って誤魔化したくない。 おもしッッッッしれー! 「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている」6巻感想。 発売からもう3ヶ月くらい経って、来月には7巻も出ますが・・・! 感想書こう書こうと思ってましたが、書く事がまとまらず、こんなに遅刻・・・。 さていきなり大文字でシンプルに言いましたが、6巻は本当に面白かった。 思えば5巻はまさしくこの助走をつけるための内容だった。八幡と雪乃のすれ違いは、心をするどく心を痛めつけた。それはそうだ、この6巻のためのタメだったんだよ。 ストーリーの盛り上がりはまちがいなくシリーズ過去最大。 しかしこのシリーズ特有の苦味あるシナリオも、過去最大に火を噴いている。 すっごいですよ、この痛々しさ。この毒々しさ。そこからにじみ出る青春の素晴らしさ。冷静じゃいられないこの感覚を、なんとか感想にしていきたいです。 過去の感想。 青春とは嘘であり、悪である。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』 優しい女の子は嫌いだ。 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』2巻 甘い青春には慣れない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』3巻 かつて「彼ら」だったぼくらが出来ること 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』4巻 憧れだった君を許せない。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』5巻 内容もヤバけりゃ特典商法もヤバい!なんと書店ごとに内容のちがうSS小冊子が4種類!アホか!と思いつつこれだけ惚れ込んでいたら買ってしまうよね(乾いた笑顔 俺ガイル63 画像前列にあるのが特典の冊子。左からとらのあなアニメイトゲーマーズ分。 一般書店用っていうのこり一種類が入手できませんでした、ぐぬぬ。 特典のためにホイホイ買いあさったら6巻が3冊になってましたけど、まぁいいや。 では以下、ネタバレを含んだ第6巻感想。ページ数も多くて「会社にいじめられながらもがんばったんだね、わたりん(ホロリ」と唸らざるを得ない。


八幡カッコよすぎる!! 6巻はとにかくこの一言。いやほかにも色々かきたいことはあるが、まずはこれ。もう八幡さん最高ですよ。キャラクターの魅力ってのは作品そのものの魅力に繋がる。ましてやこの主人公一人称視点のライトノベルにおいて、主人公がここまで魅力ある人物に仕上がっているというは、強力すぎる武器なのだ。6巻の300ページ以降くらいからの展開は何度読んでも震えてくるわー! 好きだからネットでもこの作品についての書き込みとかをよくチェックするんですが、ここまで読者受けのいい捻くれ男の主人公って、すごく珍しい気がする。 過去の俺ガイル感想でも八幡という男についてはけっこう書いてきました。 だから今さらなことは省いて、この6巻で改めて強く感じたことに集中します。 ●独りだからこそ出来ること 今回は彼のダークヒーロー的ポジションが最高に輝いた内容となりました。 こんな青春ラブコメはまちがっている。だからこそ出来ることがある。八幡だからこそ救える人がいる。例え救った人からすら嫌われようと、彼はそうして立っている。 このシリーズ最大の魅力は、ヒロインでもなくこの主人公だと思っています。 八幡の自己犠牲をともなった今回の大活躍は、震えるほどアツく、しかし哀愁を漂わせます。なんだろう、素直にダークヒーローともちょっと言えない。だって日陰者だから。弱者だから。 特に今回の307Pの八幡さんの背中!これだよ!なんというカッコよさ! そこからのテキストの流れも最高でしたよ。308P以降な。読んでてドキドキが止まらない。脳がギュンッギュン研ぎ澄まされて透明になって、八幡の思考が自分に流れこむ。そして圧倒される。なんて強い人間だろうか、と。 どれだけ心を強くすれば、この境地に到れるのか。

安易な変化を、成長だなんて言って誤魔化すなよ。 俺は、安易な変化を、妥協の末の割り切りを、成長だなんて呼びたくない。

このシリーズを好きなの理由の1つ、八幡独自のぼっち哲学。炸裂してます。 ぼっち哲学自分が勝手にいっているけれど、孤独であり孤高である彼のポリシーのことだ。 彼多くの人間が、笑顔でごまかして見ないふりをしてしまう自分を弱さを、八幡は真正面から受けとけ、まだ戦い続けてるんだ。戦うそぶりは見せないんだけど、戦ってるんだ。 彼はニヒリストだ。人を観察してはあざ笑う。 けれどその本質は、ものすっごくピュアなロマンチストなのだ。 5巻で出たようにまさに「潔癖」とも呼べるほどの、凄まじいこだわり。 6巻はさらにぼっちだからこその頭の使い方で事態を動かしていく。ある種のジャイアントキリングな構図は1巻から見られましたが、6巻のクライマックスでの流れはめちゃくちゃ熱く、キレイにハマっていましたね。 ●人から嫌われることを恐れない主人公 Q.集団を団結させるために最も効果的なものは? A.明確な、敵。 「人~よく見たら片方楽してる文化祭~ とか」のシーンは爽快でしたねえ! 目に入ったとたんにすっげぇ気持ちよくなった。アドレナリンドバドバ。 その後の雪ノ下のリアクションとか、かわいすぎでしょうこれ。 P214,215ページは名シーンの多い今回でも、とびきりお気に入り。この一瞬に、凄まじい進歩と、覚悟と、かっこよさがあるよ・・・。 彼女が自分から「また明日」って、バイバイって、手を振るんだ。それだけで。 でもこれで彼は致命的に悪役になる。物語のクライマックスでは、更にその道を進む。 嫌われることを恐れない主人公、八幡。 だけど、それで傷つかないなんてこと、あるものか。 傷ついたって彼は戦うんだ。だからコイツはめちゃくちゃにカッコいいんだ。 八幡がギリギリで報われるのは、本当の彼を知っている人物が、ちゃんといてくれているということ。そんな貴重な彼らにすら、八幡は踏み込ませないんだけどさ。 ともかく、彼だって傷つくんだ。そしてそのことに傷つく人だっているんだ。 誰も傷つかない世界だよ。でも、八幡自身はどうなんだよ。 物語のクライマックス。まばやい輝きがあふれ、歓声がはじけるステージを、じっくり記憶に刻み付ける八幡の姿は、凄まじい悲しみがある。 しかし同時に大きなカタルシスをしっかりと噛み締めることができるシーンでもあると思う。どこまで行っても、比企谷はステージに立てない。彼の頑張りをみんなは知らない。彼の誠実さをみんなは知らない。 嫌われる。失望される。そうして彼は誰かを救ったのに。 スポットライトを浴びないヒーロー。なんだよそれ、カッコよすぎやしないか。 クラスの円陣にも加わらない。「完成された円陣を外から見るのも案外悪くない」なんて言ってしまう。自分の立場を本当によく分かっている。わかっているからこそ、胸が詰まる。 けれどそんな胸が苦しい場面だけじゃない。彼を評価してくれる人も、確かにいる。支えようとしてくれる人もいる。あとは八幡が、それを受け入れられるかどうかだ。「受け入れる」と「甘える」は隣接している。注意深く、用心深く、八幡はほかとの距離をはかっているんだな。


自分を犠牲にするニヒリスト、八幡。彼の理解者たちが、いい活躍をした。 ●八幡と雪乃 5巻ラストであんな引きをしたからには、この巻はゆきのんのための一冊と言ってもいい。この作品のメインヒロインが誰かはわからないし八幡にとってのメインヒロインは戸塚だけれど、雪ノ下のための八幡のカッコよさに俺がしびれまくったのは事実。ゆきのんかわいすぎや! 第5章では相模や葉山といったリア充グループの会話を、八幡が脳内字幕を付けてその発言の裏を見るというネタがありましたね。そのエグく高度な会話スキルに旋律しつつ、でもオチは、「字幕が見えない(裏の感情が見えない)相手も、いるにはいるんだよな」と一人で納得する、というシーン。文脈からしてそれは雪ノ下のことだろうなぁと。 八幡にとってのそういうオンリーワンに近い存在に、彼女は近づいているんだよな。 6巻はゆきのんがかわいいシーンがいくつもあって、逐一挙げるのは難しい。 八幡と春乃さんと話しているところに横入りしてくるシーン(P220)とか、おいおいこれは(笑顔) こんな風にして、苦しんでいた女の子を救うことを、ほかの人は知らないのだ。 あとトロッコで裾を握っちゃうところとか、いつも通り会話してたらインカムで実行委員全員に聞かれたりとかな・・・。普段のクール雪ノ下しか知らない人は、あの毒舌ゆきのんを聴いてビックリしただろ&ぜったい八幡との関係を勘ぐるだろ・・・。7巻以降の伏線となるのか・・・?(ならねーよ

「私も、ああなりたいと思っているもの」 「・・・・・・ならなくていいだろ。そのままで」(P286)

とかナチュラルに口説き文句炸裂させちゃうからね八幡さん。つらいわー。 そして6巻の最終章、ラストはもう絶品だった。ここにたどり着くまでに6巻までかかった。 1巻のセルフパロのような感じ。明らかに似た会話劇と文章構成で、1巻のころとの違いを浮き彫りにする。ゾクゾクしっぱなしですよこれは。

「・・・でも、今はあなたを知っている」

あなたを知っている、まで雪ノ下が言うということの、この言葉にできない感動! 八幡と雪ノ下は、2人揃って人間関係に恐ろしくシビアだから。なんちゃっての友達ごっこなんて許せない2人だから。今だって友達になれていない2人だから。 「知っている」。ただそれだけのことが、それを相手に伝えるということが、どれだけ大切か。


●八幡とガハマさん 今回は出番少なめでしたけど、物語の大きな盛り上がりとなる巻であるだけに、かなり印象的なシーンがガハマさんにもありました。

「違うよ。待たないで、・・・・・・こっちから行くの」 「そうか・・・」 「うん、そうだ」

これとかなー。ニヤニヤするわー! 259ページからの流れは、八幡とガハマさんの今後の距離感の在り方を描いたシーン。

「約束」~「ゆきのんが困っていたら助けること」 「できる範囲でな」 「そっか、なら安心だ」

ここも素晴らしいのです。八幡が言う「できる範囲でな」に対する由比ヶ浜の信頼度の高さにニヤニヤするw めっちゃ信じてますねw


●平塚先生 とっさにベースひけちゃうセンセーかっこいーー!!昔やってたのか! ゆきのんや由比ヶ浜といった理解者とはまた違った、教育者としての視点から八幡を見守る彼女。6巻のクライマックスでは八幡をやさしく叱咤したシーンが特に印象的。 「誰かを助けることは、君自身が傷ついていい理由にはならないよ」 ●城廻めぐり かわいい。ハーレムラブコメだったらヒロインとして参入もありえた。 でもみんなの敵になってまで比企谷の味方になることはできないのが、彼女なんだよな。彼女の限界がそこ。いい人なのは間違いないしせっかくかわいいキャラデザもしているんだけど、こういう現実的な冷たさを突きつけてくるのが、この作品らしい。この作品のエッセンスをたっぷり持った、ナイスサブキャラでした。だからこそ、比企谷の味方になることができる数少ないキャラクターたちが映えるわけで。 ●相模南 いや~すごいね相模さん。虫唾がはしるってのはこういう女子だ。 ラノベでここまでリアルクズな女の子キャラとか出しちゃうのも面白いし、しかもそれを正すこともできないというのがすごい。しかしそれは敗北かと言われると、そうでもない。まさに住む世界が違うという感じで。 友達との遊びののりで委員長に立候補して、でも部下に自分より優秀な人間がいるから丸なげして、進行プランを崩壊に導き、すねて感動的な青春ドラマをほしがっちゃう。生ぬるい友情ごっこで周囲を強烈に迷惑された6巻のA級戦犯。 あああ~~~ムカつくわ~~~。というか俺は恥ずかしながらがっつりと比企谷に感情移入、とは言わなくても応援しながら読んでいるわけで、その視点から見ると、これだけイライラさせてくれる女はこれまでいなかった。すげえよコイツは。自分の話になるけど、学生時代の俺とは絶対に考え方が違ったであろう人物。 てめぇのせいで!!ゆきのんがヘバっちゃっただろうが!!!! でも本当にムカつくのは相模さんの取り巻きの女子モブABですが・・・。 ●葉山隼人 俺ガイルきってのイケメン隊長。まちがいなくカッコいい。でも間違っていないがゆえに、この作品では本当のヒーローにはなれない。 「俺も今日はいいところを見せたいからね。」(P295)を見るに、やはり彼は八幡に対しての対抗心も少々持っているようだよなぁ。 「人~よく見ると片方楽してる文化祭~」と八幡が言った場面の葉山の心情を想像するに少し、いやかなり、葉山なりに悔しいところがあったんじゃないかな。「また俺は助けられなかった」みたいな。 そしてクライマックスで「どうして、そんなやり方しかできないんだ」の一言に、全て理解した上で、八幡の思惑通りに動いてやることで、彼は敗北したことが示される。葉山の心の中だけの敗北感だ。それを悟れるのはきっと誰もいないだろうけれど。  ヒーローは、物語の主役は、葉山だった。それでも確実にやるべきことをやったのは彼じゃない。目の死んだ、協調性のない、クラスでも浮いている、単なるモブの少年なのだ。 ●材木座 サンキュー!愛してるぜ材木座! ●川崎 サンキュー!愛してるぜ川崎!


まとめみたいなこと。 もう書きたいことが多すぎて、ひとつの記事に押し込めるの無茶だったわと反省。 でもマジで面白い。あまりたくさんは読めていないけど、今集めているラノベで1番好き。 とくに主人公の八幡に関しては、俺の読書歴においてもトップクラスに好きな主人公になってきた。6巻の八幡は本気で、本気でかっこよかったし、それゆえに寂しかったのだ。 作品としては大きな盛り上がりを迎えた第6巻。八幡と雪ノ下の2人の関係においても、一区切りがついたと思う。 いや~4月からアニメもやりますけど、なんとか6巻までやってほしいなあぁぁぁぁ!! たぶん3巻までをやるんじゃないかなーと思っていますが、4巻からのこの作品の急成長っぷりはぜひ多くの人に知ってほしいし、こんなに面白い6巻だから映像で見たいっていうのが本音。 あとがきを読むに、6巻で折り返しに来たとのこと。 全12巻くらいでまとまるのかな。この作品がどこに着地するのが楽しみすぎる! ソリッドで甘酸っぱくて胸が苦しい、今最高に見逃せない物語ですわ。


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7 (ガガガ文庫) 7巻は来月19日発売。あらすじからしてもう期待度MAX。以下公式のあらすじ。  修学旅行。それは恋愛とトラウマの多発地帯 京都への修学旅行を前に、どこか浮き足立つクラスの雰囲気。 文化祭以来、教室内でさらに微妙な立ち位置になった八幡だったが、最初から地位なんてないようなもんだしな、と我関せず……。 ところが、奉仕部に持ちかけられた意外な人物からの「恋の相談」。そこにはまた別の人物の思惑も重なって……。 旅行は一気に波乱の予感。クラス内の人間関係、そして複雑な気持ちが渦巻き、答えを出せないまま八幡たちは京都へ。 まちがっている青春模様は、まちがっているラブコメ=恋愛模様を生み出すのか。 TVアニメ化を直前にさらに盛り上がりを見せるシリーズ第7弾。 ・・・とのことですが・・・あーやっぱり今回の文化祭でのヒールっぷりが次にもガンガン影響してきそうですわ・・・これは・・・どうなるんだ・・・。あ、3巻の時みたいにドラマCD付き限定版もあるらしいです。 ドラマCDといえば、冬コミでこれ買いましたよ。 俺ガイル62 マーベラスAQLブースでゲットしてきました。コミケ限定ドラマCDとかちょっともったいないよねえ。3巻のドラマCDの続編ということで、時系列としては3巻後のタイミングです。 ちゃんと3巻限定版のドラマCDもセットになっているので安心。 俺ガイル61 キャストフリトークのおまけまであって、なかなか満足度高かったですね。 小町役のあおちゃんがすごく楽しそうでいいなー。キャストもピッタリだし、3巻のドラマCDの出来を見れば最初から面白くしあがっていることはわかっていた・・・! こういうグッズまで買うほどハマるとは最初思わなかったなぁ。アニメの出来がよかったらBD購入も検討してるし。描き下ろし小説とかつくなら出来がうーんでも買いそうだし・・・。 まぁともかく小説もアニメも、ほかのメディア展開も、今から楽しみですわ!