「正直どうでもいい?」

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楽しいことはずっと続くんだ。『はじめてのあく』16巻

はじめてのあく 16 (少年サンデーコミックス)はじめてのあく 16 (少年サンデーコミックス)
(2012/07/18)
藤木 俊

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   たぶんずっと、一生 楽しい日々です。 試験期間とかぶってて今まで更新したいけどまだかけていない単行本が山積みですが 今日は「はじめてのあく」16巻で更新。これにて最終巻です。 ああー終わってしまうー終わってしまうーと寂しがりながら読んだ、最後の1冊。感想が遅刻しまくってしまいました。 表紙はみんな集合しての賑やかなイラスト。見ているとほっこりします。 ふと考えてみれば16巻ですよ。これって結構なもんです。なかなかな長期連載。 連載は全部で160話。それだけの数の思い出が積み重なっています。 それがいよいよ終わりだと思うと心にくるものもあり、じっくり時間をかけて読みました。 書き下ろし漫画もたっぷり(ホントに多い)収録した、充実の最終巻です。


季節は冬ではじまります。高校3年の冬は、みんな忙しいです。 でも勉強一色に染まりきらず、なんだかんだでみんな集まっては賑やかにその瞬間を楽しんでいます。見えていないところで勉強頑張っているのは間違いですけれど。 でもこうして顔をあわせば、能天気ともいえるような心地よさが生まれますね。将来がかかってシリアス度が高まっているはずなのにそう感じさせない雰囲気がはじあくらしいw やはりこの作品は1、2話で完結する単発エピソードが魅力的で。 長くはない尺の中で、むちゃくちゃにいろんなキャラがはしゃぎ回って走り回って悶えちゃってたりするのが大好きでした。 はじあくのシリアス展開は、悪いとは言わないけど個人的にはハマれきれなかったかな。 特にこの最終巻のラストあたりは、この作品ならこういう切迫したスリリングさを押し出すより、もっとしみじみと魅せることもできたんじゃないかなと思ったりも。まぁそれは1読者の押し付けがましい希望だったのでどうでもいいや。それで嫌いになるわけなんて無いし。 で話を戻すと、単発エピソードにこそこの作品の持つ「喧騒の魅力」は現れていました。 最終巻である16巻でも、総括となるシリアス系の話もありますが、前半はいつもどおりのあんなノリ。いつもどおりのこんなノリを読みたいのでばっちり楽しめました。 はじあく161 はじあくといえば、こっ恥ずかしくて悶え転がるラブコメイベントの数々。 お気に入りのキャラも多くいるんですが、シリーズ後半か盛り上がってきた緑谷とユキのペアに注目はいってしまうな・・・! これまでキューコやアキを中心に、恋する子たちをおちょくる役だったユキ。じゃあ彼女自身が恋したらどうなんのよ?・・・で、始まってみたらかわいすぎるじゃないですかー! 告白してもらいたくてソワソワしてるユキとかたまんないです・・・! 「告白してもらえますように」とかお願いしてる場合かよ!散々みんなをいじっておいて、いざ自分のことになったら待ってばっかりだよ!かわいいなクソ! いやしかし、惚れられているって分かってるからこそのちょっとワガママな振る舞いでもあるよな。その上で緑谷のそばにいるあたりも最高に可愛らしい。いつか付き合い出すというのはきっとわかっていて、その直前のお互いの「好き」を探り合ってる時のフワフワ感をめいっぱい意識的に楽しんでるかのような。 そうとも知らず緑谷は一生懸命である。全部バレてるとも知らずに・・・!がんばれ男の子。 それと、やはり最終巻だからこそか破壊力の高いエピソードもありました。 アキ関連なんかは間違いなくそれです。このページとか頭に焼き付くって。 はじあく162 あーあーあーあーいい笑顔だなー! あの恥ずかしがり屋のアキがこのド直球ってのがまたいいですね・・・。 こいつらは付き合う云々よりさっさと結婚しちまえって感じなのです、まる。 アキにたいしての赤城のリアクションというか、雰囲気もいいですよね。夢中になっているというより、自分を「アキのファン」と言い切るあたりに、すでに彼の中では距離感をはっきり定めている。 いきなり結婚だなと言ったりする決断力と、でも飄々とした自由の効いた愛し方。 こういう男がやっぱ頼りになるんじゃないの、なんて思ったりした。 燃えるように夢中になって舞い上がるのがアキだし、いいバランスなんじゃないかな。 しかし時折見える赤城のうろたえ方は微笑ましくて好きだったな。


で、もちろんメインのキョーコとジローにも1つの決着がつくわけです。 くわしくは書きませんが、すごく「らしい」終わり方でしたね・・・最終話は超ニヤニヤしたなぁ。最後の決め台詞は恥ずかしすぎるだろw  前のページで来るぞ来るぞと思ってページめくったら予想を上回る恥ずかしさでしたね。 そして「そうそう、これだよ」と納得できる、あの心地いい賑やかさとともに幕が降りる。 と思ったらオマケページが充実しすぎですごいんです。 20ページもあって、ぎっしりと本編のその後を見せてくれる・・・! じっくりとエピローグをやってくれる作品っていいよなあ。しかも明確な未来を提示してくれる。 最後までこの居心地の良さはブレなかったな。いい作品だった。 正真正銘のラスト、オマケ漫画の終わり方は、楽しい日常はいつまで続いていくんだと、優しくも力強く言っているみたいでした。日常を満喫し、ときに日常を守るために戦った。自分も、この日常が好きだからこの漫画を楽しみにしていた。この作品らしいな。 「たぶんずっと、一生 楽しい日々です。」なんて、この作品にピッタリの言葉です。 だから「さようなら」は似合わないかな。 「またね」と言いたい。そういう気持ちでこの漫画を記憶しよう。 『はじめてのあく』16巻 ・・・・・・・・・・★★★★ 気持ちのいい最終巻。オマケ漫画も素晴らしかった。お疲れ様でした。


・・・で単行本の感想は書き終わったんで、次はこっちを。 はじあく164 同人誌「夏休みの友2」! 藤木俊先生本人が書いたはじあく番外編の一冊。夏コミ行ったかいがありましたね。 「はじあくコミケ地獄編」と付けられている通り、コミケが舞台になっています。 はじあくのメインキャラの面々がコミケをどう楽しむのか・・・どう考えても同人ならではの要素が詰め込まれています。お前らコミケ慣れしすぎィ! いつも通りのはじあく的面白さは当然ありますし、コミケあるあるネタも笑うw 緑谷とユキのラブコメも熱く見逃せない。読めてよかったと思います。 それと黒澤先生ぱねーッス!意外すぎるわ! あとがきも面白かったなー、キョーコについてぶっちゃけられてます。 表紙がきわどいですが内容は健全。ファンとして嬉しい一冊でした。