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愛は無限か有限か。『ねじまきカギュー』5巻

ねじまきカギュー 5 (ヤングジャンプコミックス)ねじまきカギュー 5 (ヤングジャンプコミックス)
(2012/06/19)
中山 敦支

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   カモ先生の愛は無限なのっ!!!!!! ウハー、かっこいい表紙だ。顔色悪そうなお姉さん大活躍の「ねじまきカギュー」第5巻! まぁ美脚キャラということでしっかりそれをアピールしたイラスト。しっかり肉肉しいふとももだったり体のひねりだったり怪しい表情もいいなぁ。 これまでで1番好きな表紙かもしれない。インパクトも十分。 まぁこのマブルゥ姉さんが大活躍する巻なのですよ。 前巻→君が好きだと叫びたい。『ねじまきカギュー』4巻


ガタビシスターズがあっさり全滅してしまった前巻。 あんだけ「真打登場!!」的に登場した彼らが瞬殺される展開にはかなり驚かされた。 中山先生はもともとどストレートなバトルをやるために捻くれた展開をやる作家だと思うんだけど、この意表の付き方はすごく上手かった。俄然5巻への期待も上がっていました。 意外性をずっと持ち続けるというのは難しいことだと思うんだけど、やっぱこの作品上手い。 さて、5巻の主役はやっぱりマブルゥさん。4巻の時点でヤバいオーラを放ちまくりでしたが5巻はそれを全力全開に発揮しています。いやぁ病んでる病んでる! カギュー1 とにかく濃ゆいキャラが勢揃いの本作においても、一際あぶない雰囲気を持つお姉さん。 何を考えているのかわからない、とらえどころのない挙動も怖いのですが、明らかに常人の感覚ではない重度のシスコンぶりも面白い。 自分は頭から水を被せられても温厚なままだったんだけど、カギューの頬に水滴がいくつか付けられただけで場を考えず一般人をタコ殴り!狂気ですらある溺愛。 あきらかに常識に縛られて動く人間でいないため(まぁそんなキャラはこの作品たくさんいますけど)、どう動くのかが本当にドキドキする。 そして39話は日常パートをちょっとやってから一波乱起こすのかな、と思いきや休み一切なしに緊張感MAXのバトルへ突入。この行き急ぐかのような疾走感はこの作品の目玉か。 で、実際このマブルゥさんがハンパなく強いのだ。 本作の主人公のカギューちゃんお姉さんであり、別の「螺旋巻拳」を継承。 マブルゥとカギューの姉妹対決は過去にない緊張感を持って展開しています。 姉を大好きなカギューちゃんだけど、姉がカモ先生を殺そうと知っていがみ合う2人。 「恋愛と家族愛、どちらをとるか」 今回のバトルは、単純に言えばそういう要素が強いのかなと。 まぁきっとどちらかを切り捨てることはせず、どちらも守りぬいてしまうのがカギューという女の子の強さだと思うのだ。マブルゥさんは強すぎるけどねえ、なんとかして欲しいな。 容赦なくカモ先生を追い詰めるマブルゥが「十兵衛(カギュー)だけを一生愛せないなら、カギューの側にいる死角はない」「人の愛は有限なんだぜ」と言うわけですが agyu-2.jpg カギューちゃんのムチャクチャな反論! でもこれ本気に思っているのが彼女なんだよなあ。心のそこから信じている。 カモ先生は誰もかもを愛して、自分も幸せにしてくれる。カギューちゃんは周囲の人みんなが「好き」という気持ちで幸せになっていないと満足しないようで。愛とは奪うものじゃないと。 そしてカモ先生もまたカッコいい。コイツこんなにカッコよかったけか。 命が危険になっても自分の意志を曲げない。 「僕にも生徒は皆家族同然だっていう教師としての意志がある」(P104)です。 カギューだけを愛せるとはいえない。カギューは特別だけど、他の生徒達を愛することはやめられないと。・・・いやぁ熱い。カモ先生、こんなにカッコよかったのかとw いつも優しいばかりの男だというイメージだけど、こういう時絶対に主張を譲らない。強い。


マブルゥが登場してからエンジンかかりっぱなしでテンション高いですねえ。 加えて5巻の終盤でさらに状況が代わり、ますます見逃せない状況に。 新キャラの生徒会メンバーも登場して、どう状況がかき回されるのやら。またしても濃い連中が増えたよ。生徒会長はまた随分とクセモノのようだし。そしてなにより・・・ カギュー3 マブルゥさんの暗躍怖いわ・・・!! 4巻のあのこっ恥ずかしいくらいの青春パートはこの展開のためだったのかと。 そして36話のラストで見せた暗黒面がいよいよ炸裂といったところ。 人間に潜む本性が暴かれるシーンはこの作品に多く登場しますが、その度ゾクゾクさせられますね!ここも好きなポイント。 人を好きになること。 そのシンプルなのに複雑になりがちなことを、怒涛のハイテンションで綴るバトル漫画でありますが、5巻もまたそのテーマにがっつり踏み込んだ内容であり、アツい。 バトルのスピード感や迫力が極上の魅力をきらめかしている。しかし決して勢いだけではない。 心震わせられるメッセージ性も込められており、ハイテンションの中でモヤモヤを見事に昇華させるカタルシスがある。小難しいことを、小難しいままの言葉じゃなく熱いエネルギーとして本能に直接叩き込んでくるような感覚が気持ちいい。 そういえばトラウマイスタも追い越して、中山先生としては最長の連載になっていますね。もう5巻かー、これからもゾクゾクさせてもらいたいものです。 『ねじまきカギュー』5巻 ・・・・・・・・・・・★★★★ 圧倒される物語。勢いは十分、しかし6巻はもっとすごい展開になっていきそうな・・・!