「正直どうでもいい?」

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今、別れの時。お嬢様は泣いて強くなれ。『ジゼル・アラン』3巻

ジゼル・アラン 3 (ビームコミックス)ジゼル・アラン 3 (ビームコミックス)
(2012/06/15)
笠井スイ

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   自分の大事なものは ちゃんと大事にするんだ! ジゼル・アランお嬢様活動記録、結構お久しぶりの第3巻が発売しています。 1年1ヶ月ぶりですかね。これくらいのペースで続いていくと思います。と言っても2巻までの流れが3巻で一旦終わってしまうので、これからどんな展開になるのかわかりません。 まったり続いていくといいんですが、内容は結構心が苦しくなる方向に・・・! そんな注目の第3巻の感想をー。  前巻→ジゼルお嬢様の、ちょっとした昔話。『ジゼル・アラン』2巻


1人で仕事を頑張るジゼルアラン嬢。3巻はそんなエピソードで幕を開ける。 今までは結構エリックや他の大人たちが側にいましたが、これに関してはジゼルだけが仕事に向かっている。はたして上手くいくのかなーという。 ジゼルが直接大活躍をするわけではない。けれど時に戸惑い立ち止まった人は、ジゼルの真っ直ぐさに何かを気付かされる。そしてまた立ち上がる。そんな姿が印象的なエピソードでした。 何らかの形で、ジゼルの清さや愚直ながんばりが周りにいい影響を及ぼす、というのがこの作品の王道であり、気持ちのいい展開です。 社会のルールを無視した少女の暴走が、最終的には肯定されてしまう。 下手すると作品のリアリティが失われそうなんですが、この作品は上手いことそれができていて、ジゼル嬢の魅力である破天荒さに直結させてストレスなく仕上げている印象。 とんでもない失敗したらどうするんだよ、ってハラハラさせられることも多いですがw しかし、今後しばらく(?)はジゼルの側にはエリックはいない。 2巻のラストの読むからに、2人のこの先の道が別々のものになっていくことは予想していましたが、いざその瞬間がやってくればなんて寂しい・・・! 個人的に3巻で一番に印象的だったのもこの2人をめぐるシーン。 特にやはり、ジゼルとエリックの別れのシーンは・・・様々な感情がグルグルめぐって寂しいやら切ないやら辛いやら・・・。 引越しの準備をすすめるエリック。机から出てきたのは、古いキャンディー。 このキャンディーに関してのエピソードもしんみりと心に来る。これはエリックがジゼルと初めてあった日に、彼女からもらったもの。ジゼルはそんなこと、きっと覚えちゃいないけれど。 そして部屋の落とされて、拾い上げられぬまま放置される飴玉・・・なんかもう、未練たらたらのエリックの心理をそのまま表しているようです。思い出も今の気持ちも、置き去りです。 けどそうするしかなかった。「夢を叶えたい」「ジゼルの側にいたい」という思いは拮抗していたんだろうけど、結局彼が選んだのは夢だった。それが正しい。でもすごく未練がある。 そしていざ出発というシーン。その裏面で渦巻く感情やその葛藤が素晴らしい。 淡くも苦しい緊張感にドキドキさせられます。 ジゼル2 「私もエリック好きだぞ」 嬉しい言葉だ。けれどそこに、エリックが心から嬉しい意味は込められていない。 子供だからこその残酷さが、本人の知らぬ所でエリックをちくりと苦しめる。 そして目の前の別れの寂しさに、エリックはうまく笑ってやることもできない。 ジゼル3 なんだろうな、こののっぺりした感じの笑顔は。笑顔なんだけど笑えてない。 こういう微妙な表情の描写すごいですねえ。もともと画力は高いのですが、このシーンはまた格別にグッときました。いい表情を描く作家さんだ、笠井スイ先生。 別れた後のジゼルの凄まじい寂しがりっぷりを見たら、エリックは喜ぶかなぁ。いや心配するだろうな。今の状態はけっこうそわそわしてしまうので、早くまた一緒に戻ってほしいが・・・! ジゼルの「好き」は恋愛としてのものなのか、それとも友人としての強いつながりが込められたものなのか、なかなかどっちつかずなように見えます。というか必ずしもそのどちらかを選択しなきゃならないわけでもないか。好きは好きさ。 恋愛としての好きをジゼルに求めても意味がないって、エリックも薄々わかってるだろうし。 でもだからこそ見てみたい!初恋にときめくジゼル嬢のなやましい表情が!


ところでジゼル嬢って、ピュアすぎて無防備なエロスを感じる瞬間があります。 例えばこんな朝のシーン。光で寝間着が透けて体の輪郭が分かるあたりとか。うむ、健康的かつ爽やかなエロス。いいですね! ジゼル1 3巻はエリック関連が胸を打ちましたが、他にも面白いエピソードが多い。 リュカくんの再登場なんかも実に胸をほっこりさせられ、そしてニヤニヤできる。 17話で宇宙を舞台にしたファンタジーをイラスト化したシーンがあるのですが、この部分の迫力や美しさもお気に入り。冷たい水の瀬から惑星の外へ突き抜けていく爽快感! オマケ漫画も多くて、雑誌で読んでいる自分も満足です。 このシリーズは単行本の描きおろしオマケがとても可愛くて見逃せないな。 しかしまぁ、これからどうなっていくのかが怖いやら楽しみやら。 夢を追って掴んだと思ったと思いきや、現実は・・・。 エリックの死んだような目が、また前みたいに輝いてくれるといいんだけど。 でも今は1人でも頑張って働こう、ジゼル嬢。次の依頼はなんだろう。 『ジゼル・アラン』3巻 ・・・・・・・・・★★★☆ 新展開へ入った第3巻。離れてもなんとなく想いあっている2人が微笑ましく切ない。