「正直どうでもいい?」

漫画 音楽 娯楽

本気で挑む恐怖との対峙。 『さくら荘のペットな彼女』2巻

転載記事。詳しくはこちらで→[告知]小説の感想記事に関して 少々の修正を加えただけです。昔に書いたものなので現在とはノリが違うのも多いかも。 もう5巻まで出てるのにいまさら2巻ですかって感じですが、むぐぐ。

さくら荘のペットな彼女〈2〉 (電撃文庫)さくら荘のペットな彼女〈2〉 (電撃文庫)
(2010/04/10)
鴨志田 一

商品詳細を見る

ペットな彼女 …なんて危ないワードで思春期の少年たちの純情ハーツを甘く掻き混ぜる本作。 美少女と共同生活。しかもその娘は自分じゃパンツを履けないほど自堕落な女の子。 必然的に美少女から必要とされる実にオイシイ設定、さらにお色気もありという 独占欲もばっちり満たされて男性読者大満足なシリーズ第2巻です。 と、そんな酷いまえがきをしたところで本題へ。 もちろんそういう要素もモリモリ含まれているのが本作でありますが 一筋縄でいかない、青春の苦さも味わえるのがこの作品の強み。 今回のキーワードは、凡人敗北…といったところでしょうか。 この作品は、小さな世界しか描かなかった。 それはさくら荘でのバカみたいな日々。 知ってる人間ばかりの、やさしい世界。 けれどこの2巻で初めて、外部が描かれる。これは非常に大きいと思います。 終盤に主人公・空太がビジネスの世界に踏み出すのです。 これまでのにぎやかで暖かな世界とは違ったそこで、彼は負けてしまう。 それまで自分を突き動かしていた自信。 それはただのうぬぼれだった。 現実と出会って、うぬぼれだったと分かってしまった。 こんなみっともない涙は流したくない。 そうこぼす空太の姿は、多くの人にも当てはまるのかもしれません。 そして声優志望である七海も、この巻で敗北を経験します。。 本気を出すというのは、本当に怖い。 一生懸命が、本気の努力が、まとめて一蹴されてしまうのです。 それでダメだったら、周りにも自分にも、言い訳できなくなってしまう。 だから適当に流して受け止めて、ゆるく生きていくのもいいかも知れない。 痛みを知らない、平和な人生です。 けれどきっとこの世界は、それでもがむしゃらに挑戦する人間を 救ってくれるチャンスをきっと作ってくれているとも思うし、願います。 それなきゃ男じゃないさ。 必死こいて頑張るのがカッコいいんだ。 ちょっとずつましろんも成長して、まともに生活できるようになりつつもあるのも注目。 個人的にはいつまでもなんにもできないままでいて欲しい(酷い)わけですが 彼女もまた、一人の主人公として成長を続けているということでしょう。 漫画の連載も決まりました。彼女にとっての本当の試験は、これから。 そしてましろんは圧倒的天才として描かれているわけですが こういう存在がいるからこそ、空太も燃えるのでしょう。 才能があり努力も惜しまない…そんな相手に凡人が立ち向かうには それ以上の努力が必要不可欠なのですから。 と、なかなか青臭いことを書いてみたわけですが こういう現実的に甘酸っぱい青春物語って、なかなか貴重だなぁと。 もちろんラブコメ成分も多分に含まれていますので、お勧めw 甘く切ない…ではなく苦々しい青春喜劇でございます。 イケメンもいるから女性読者も嬉しいですね!!(笑顔