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打ち砕け、無限の教室! 『空ろの箱と零のマリア』1巻

転載記事。詳しくはこちらで→[告知]小説の感想記事に関して 少々の修正を加えただけです。昔に書いたものなので現在とはノリが違うのも多いかも。

空ろの箱と零(ゼロ)のマリア (電撃文庫)空ろの箱と零(ゼロ)のマリア (電撃文庫)
(2009/01/07)
御影 瑛路

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3月2日、中途半端な時期にやってきた転校生「音無彩矢」からの、突然の宣戦布告。 僕はその行動の意味も、この世界の秘密も、“箱”の存在も知らなかった。 けれど気づくことになる。 この『教室』は、『所有者』の願いによって、同じ日を何千何万と繰り返していることに―― というほんのり香ばしい設定な本作ですが、かなり面白かったです。 二転三転どころか5転くらいする後半の怒涛の展開! 何度も何度も、推理の根本からひっくり返されるのはもはや快感の域。 正直序盤は停滞感MAXで理解不能の状況が展開されて、これは失敗したかなーと思ったら 中盤からの、具合的には『27754回目』からのスピード感はたまらなかったw これは作者の狙いにハマった感じでしょうねぇ、やられた。 この作品のキモは、間違いなく『閉塞感』。 繰り返される、望むはずの日常。ただそれを享受さえしていればいい。 けれどそれでも抗おうとした時、この作られた日常が不快感しかもたらさない。 努力も情報も感情も、全て無かったことになる、圧倒的虚無感。 先の見えない迷路をさまようような、どうしようもない不安を味わえます。 「敵」がいないというのも面白いなぁと。 実際いることはいるんですが、本当に打ち倒すべきは「状況」そのものという。 解決方法が自分では思いつかなかったので 主人公たちが答えを見つけてくれた瞬間は、とても気持ち良かったw 非常に重たいシナリオと設定でしたが テキスト自体は非常に読みやすく軽めなテンポ。 キャラクターたちのやり取りもコミカルなものが多くて楽しめました。 そしてラストも、主題から離れ過ぎない・かつライトノベルらしい絶妙のラインで決着。 これはいいシリーズだなぁ。 現在4巻まで出ているので、ちょっとずつ読み進めていこうと思います。