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あなたをもっと知りたいから。 『藍坂素敵な症候群』2巻

転載記事。詳しくはこちらで→[告知]小説の感想記事に関して 少々の修正を加えただけです。昔に書いたものなので現在とはノリが違うのも多いかも。 発売当初に書いたものなので、いまさら2巻ですかという感じですがご容赦。

藍坂素敵な症候群〈2〉 (電撃文庫)藍坂素敵な症候群〈2〉 (電撃文庫)
(2010/05/10)
水瀬 葉月

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C3と同時進行の「藍坂素敵な症候群」のシリーズ第2巻。 「ぼくと魔女式アポカリプス」に惚れ込んだ自分としては1巻の時点で大興奮でしたが 2巻ではグロさだけでなく、やり口のエグさや精神的なやりきれなさも加わり まぁ相変わらず表紙から想像できないハードっぷりエレクト状態ですとも。 (1巻の記事はこちら→) 今回の新キャラは、ギリギリの緊張感が大好きで生傷絶えない涅槃皇終。 そしてその友人である、風紀委員の仁央。 仁央の仕事の手伝う中で嬉し恥ずかしイベントを連発していく医術部の面々でしたが とある部活を訪問したことで、物語は意外な方向へ向かっていく。 まぁ前半のラブコメパートについて書くと 俺が本気で気持ち悪いノリになるので避けるとしまして(終たんチュッチュ^^) 今回は終盤で明らかになる今回のテーマ「異常と友情」について。 終は微笑みを残し、犠牲となるために走り去る。 どんな侮辱を、暴力、陵辱を受けるかわからない。 けれど、笑ったのだ。 自分が友を救えるのだから。 そこには確かに、友情があった。 しかし彼女は仁央は拒絶する。終の変態(異常)性を理解できないがために拒絶してしまう。 仁央は終とは決して相容れぬ「安全依存症」になっていたのだ。 友人から拒絶される悲しみ、恐怖される苦痛は、どれほどのものでしょうか。 誰しもが持っている「他人とは少しだけ違う趣味」を大きく助長してしまう本作のキーワード「症候群」は、どうやっても悲しい現実しか生み出さないのかもしれない。 理解し、理解されること。 友情をはぐくむ上で重要なそれが、彼らには悲しいほどに難しすぎるのです。 理解されるはずのない異常性。 それを抱え続けなければならない彼らの苦悩の新たな一面を この2巻では友情の終焉という形で、苦々しく描き出しています。 そしてここで医術部の、もうひとつの温かな存在意義を再確認させられる仕組み。 恋愛でも友情でも、人と繋がるということは、時に痛みを伴う。 傷つき傷つけられる、必ず瞬間がある。 けれどその傷を癒せるのも、また人との繋がりだと思います。 当り前のようだけれど、そういう人たちを大切にしたくなる、いい本でした。 …でここで一つ苦言。 この作者さん、C3でもそういう傾向になってきているんですけど 新刊出すたびにキャラが増えていく…。ゲストキャラですけど。 説教大好き上条さんが主人公の作品じゃないんですから キャラ増やすより既存のキャラの深部にスポットライトを当てていってほしいですね。 あーでもそれはシリーズの〆にとっておいてあるのかも。好きなんで買いますけどw


[追記] 次の3巻でこのシリーズは完結しました。なかなか上手く終わったと思います。