「正直どうでもいい?」

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ジゼルお嬢様の、ちょっとした昔話。 『ジゼル・アラン』2巻

ジゼル・アラン(2)ジゼル・アラン(2)
(2011/05/14)
笠井 スイ

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   人を不幸にするような仕事は しない ジゼルお嬢様の華麗なる活躍劇! Fellows!にて連載する笠井スイ先生の初連載作「ジゼル・アラン」の2巻が発売されました。 何でも屋を営むおてんばお嬢様ジゼルと、彼女に振り回されつつもそれが楽しい・・・?ような、色んな人々を描く作品。2巻ではジゼルのお屋敷時代のエピソードも収録。注目したいですね。 では感想をー。


突如現れた謎の老紳士。ジゼルと顔見知りらしいその正体は、ジゼル家の執事・モネ。 来訪の理由は、1巻でジゼルが起こした騒動が新聞で報じられてしまったため。 彼女の仕事ぶりを見るためにしばらくモネが付き添うことになり、いつもとは違う場の雰囲気にジゼルもエリックも戸惑い気味。はたして以来を上手くこなすことが出来るのか? そのつながりで語られることになるジゼルのお屋敷時代の話がやはり見所! 今でこそ年齢に見合わないアパートの管理人をしながら、これもまた年齢に似合わない何でも屋を喜びながらやっている女の子なのですが、本当はお屋敷にいるべきお嬢様。 一般市民に混じってこんなちょっとおかしなことをやってるのにも、理由があったのですね。 それにしても、お屋敷時代のジゼルは黒髪ロングであり、これもまた今とはまた違った魅力がありますねぇかわいいー。中身は今と全然変わってないので、お淑やかさなんてありませんが、これはこれでw 20110530230847.jpg それ掃除道具なのであまり綺麗ではないのですが・・・・・・お嬢様の好奇心には関係なし。 このようにお嬢様でありながら周囲が求めるその像からかけ離れた少女に成長したジゼル。 彼女の姉は理解を示してくれていますが、父親はこんなジゼルをなんとかしたいと思っているようで、ふとしたことからジゼルは父親と対立し、4日間に及ぶ抗議の引きこもりへ! また、ジゼルはいつも大好きな冒険小説を読んでおりこれも父親は批判をしますが、「流行の小説ばかり読んで」とぼやく父親に対するジゼルの言葉がとても印象的でした。 20110530230905.jpg 「きれいだったから」 「自由」を求めるようなことを口にするなどからも取れますが、ジゼルにとってお屋敷は窮屈でしたない空間だったのでしょう。好奇心が強い彼女は冒険小説を読んで、さらに外の世界への憧れを募らせていっていたのですね。 守られた平和な場所なのでしょうけれど、彼女はこれでは満足できなかった。 そうして自由奔放に何でも屋をするジゼル嬢が出来上がったのですね。 彼女のルーツを知ることができた上、黒髪ロングな彼女というのも新鮮で嬉しいお話でした。 2巻を大きく分けると2つの大きな話があり、1つが上で書いたモネ編。 そして2つ目にあたるのが後半のギー編と呼べるものかなと思います。 同じイニシャルを持つ何でも屋ということで依頼者の中で混乱が生じ、それが原因でジゼルの前に現れたのがこの町のもう一人のGの何でも屋・ギー。 20110530234218.jpg 余裕たっぷりなほほえみがなんともニクいイケメン野郎。これにはエリック君も焦る焦る! しかしコレがまた仕事の完成度という意味では手堅く完璧、出来る男なのです。 そんな彼に弟子入りをしようと考えたお嬢様ですが・・・周囲の人間はもちろん止めますが、ギー本人もかなり気が進まない様子。けれど何でも屋としてスキルを上げたい彼女も簡単には引き下がらない。 さてどうなるお嬢様の何でも屋家業・・・と、そんな感じの2巻です。 最後には華麗な仕事ぶりを見せ付けるジゼルお嬢様に後味もよし。 そういえば彼女の仕事に関して、エリックが面白いことを7話で言っていましたね。 無茶な方法で解決策を見出すジゼルお嬢様。今はそれでなんとかなるかも知れないが、もし万が一なにかトラブルが起きたなら、そのトラブルの責任は誰が取る。エリックは「ジゼルさんに決まってる」と言いました。 突き放したような言葉に一瞬聞こえますが、きっとエリックやいろんな仲間たちがいるのだから大丈夫。エリックくんなんか内心「俺が万が一なんて起こさせない」とかひそかに決意してそうなのに、それを言葉にはしないもんだからもう。態度で分かるんですよ不思議な信頼関係があるって。でも言わないのです。はぁ、かわいいなぁエリック。ジゼルを好きな自分を思う存分悩んでもっと可愛くなれ。


今回もジゼルお嬢様(結果的に)大活躍、そんなエピソードが複数収められた一冊に。 表情豊かなキャラクター、妥協を許さぬ書き込まれた背景画、衣装や小道具などからもこの時代へのこだわりが強く感じられる作品であるのは前回から変わらず。 本当に細やかな線までしっかりと描かれており、絵を見る楽しみは十分。 エピソードとしては第11話なんて好きですが、ツボだったのは第9話w エリック君の頭のくせっ毛をむしりとり活用するのですが、その活用法がなんとも酷い!エリックくんが知ったら泣くぞ・・・!ああでも、とっさにこうできるお嬢様は流石機転が利く。 んでもってしつこいですけど、やっぱり印象的だった黒髪ロングジゼル様。 でも黒髪ロング時代もいいですけど、今のボブカットがやはり彼女には似合っていますね。 またジゼルのお姉さんもいいキャラだったので、またの登場が楽しみです。・・・ありますよね? 1巻から作品の雰囲気がまったく変わっていませんが、キャラクターのちょっとした一面やらが深く見え出して愛着が沸いてきました。そういう意味ではどんどん面白くなってきてるかも。 今回も書き下ろし漫画がおおめで満足度高し。9話のアフターなんてかわいすぎるw さらりと読めますが、確かな充実感を得られる作品だなぁと改めて思いました。 伸びやかに日々を生きる女の子。服を汚し、髪を乱し、笑顔を生み出すお嬢様。 3巻ではどんな活躍を見せてくれるのか。楽しみですね。 『ジゼル・アラン』2巻 ・・・・・・・・・★★★☆ 一昔前のヨーローッパを舞台に、1人のお嬢様が駆け回るお話。読みやすいし読後感も良い。