「正直どうでもいい?」

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首輪が欲しい、命令が欲しい! 『ココロの飼い方』1巻

ココロの飼い方(1) (ヤングマガジンコミックス)ココロの飼い方(1) (ヤングマガジンコミックス)
(2011/02/04)
コタニ ヨーコ

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   だから あたしから逃げないで 今日はヤングマガジン連載中、コタニヨーコ先生の「ココロの飼い方」1巻。 第一話掲載時には各所で話題になっていたようで、かなりインパクトのある作品です。 自分も後追いのように読んだのですが、思春期の男の子と女の子の本当の「ココロ」がぶつかり合う、最高にニヤニヤできる青春恋愛漫画でした・・・!とても甘くて、ちょっと刺激的。 中学卒業の日、主人公・土屋尚雪は人生初の告白をします。 記念受験ならぬ記念告白。当然玉砕し、この経験を糧に恋愛的に成長する未来の自分を描いてすらいた彼ですが、お相手・高田心の答えはまさかの「あたしも好きだよ」と告白受諾! 好きだった女の子と予想外に付き合うことになり浮かれる尚雪・・・しかし初デートは上手くいかず、心は途中で帰っていってしまう。どうやら予想していた交際とは違ったようで・・・。 そしてギクシャクしたまま同じ高校に入学した2人。すぐにデートの日の真実が分かります。 彼女が思い描く、理想の男女交際の形。 それが一般的なものと違ったせいで、彼女も戸惑ってしまったとのこと。 心が望むもの、それは―― 20110207132048.jpg (クリック拡大) 恋人に「飼われる」こと・・・! かわいらしい彼女とのおかしな恋愛が始まってしまったのです。


そんな、普通の男子高校生には手に負えない恋愛観を持っている心ちゃんですが まるっきり変な考えばかりする女の子というわけではないというのが面白いです。 欲望として「飼われたい」という思いはあるものの、それが普通ではない事も恋人である尚雪が積極的に求めているわけでもない事は彼女はちゃんと分かっています。 けれど素直な心は、その欲望を抑えようとはしない。思ったこと、言いたいこと、やりたいことをすぐに現実にカタチにして行くパワーのあるキャラクターです。彼女は食い意地の張ったキャラでもあるのですが、自分の欲に忠実であるということで一貫性がありますね。 しかしきちんと不安も抱いている。ここが可愛いんですよね・・・! 「おかしな子だって思われないかな」「付き合いきれないって思われないかな」みたいな考えは、多分いつも頭の片隅にある。自分を分かってる。 20110207132014.jpg 首輪を欲しがったり命令しても良いよと言ったり・・・過激な言動が多い心ですが、これも一種、不安の表れなのかもしれませんね。何でもしていいからいなくならないでね、的意味もあるように感じたり・・・!(勘違いったらすっごい恥ずかしい妄想ですねこれ) まぁ、彼女の場合は抑圧されることが望みなのでこれが正解かは分かりませんw でも不安があることは間違いありません。 尚雪は彼女から一度逃げてしまうのですが、彼に対して「あたしから逃げないで」と涙を流すシーンがあります。不思議な恋愛観を持っていても女の子。不安が溢れてしまうこともある。基本アグレッシブなのにふいに弱い面を見せてくるから侮れませんね・・・あーかわいいな! また、自分が普通ではないことはなんとなく分かっていても、本当に把握し切れているともなんとなく思えません。罪悪感ほぼ0。だからこそ押しが強い。けれどポジション的には受け手。この誘い受けっ娘めー! 抑圧されることが彼女の望みなのですが、そのためには抑圧してくれる人が上手くないといけません。優しすぎてもやりすぎても上手くいかない、妙なスリルを孕んだ関係性。愛あってこその抑圧。なんてこった完全にSMじゃないですか。現状、彼女にハードな束縛願望があるようには見えませんが、それもこれからどうなっていくのか分かりませんし。本当にこれが高校生の恋愛でしょうか・・・頑張ってください尚雪くん、この先の展開が気になり過ぎます。 あ、あまりハードにやられても困るかなぁ。今の生ぬるい感じが良い。 異質な関係だけど、不思議と優しげで爽やかでもある。丁度いいバランス。


独特のヒロインが注目されがちですが、主人公の尚雪もかわいいんですよね。 彼を通じて見るヒロイン・心は本当に行動に予想ができない。 やっぱり女の子ってワケわかんない生き物なんだよな。 彼女に惑わされ狂わされてる尚雪は等身大の男の子で、そういう主人公だからヒロインがまたさらに輝いて見えます。2人セットで可愛いのです。 20110207132052.jpg ドキドキするなぁ。 男の子と女の子が交差すれば物語は始まってしまうのです(禁書○録的に また心に振り回されてばかりの彼ですが、少しずつ変化もあったりします。 彼女を受け入れ、自分を変えていく。変わる決意をしていく。 心をなんとかするのではなく、逃げるでもなく、彼女に応えるために。 とは言っても最初から上手くはできず、暴走してしまったりも・・・しかし途中でなんだかヘタレてプリクラ取るだけに終わります。心に慰められる尚雪という構図も面白かったですね。 まだまだ上手く出来ない。けれど確かに変わっていっている。今後の尚雪に期待。


ではまとめ。 青年誌掲載ということで結構過激な下ネタが多いです。 けれど思春期の少年少女の微妙~な空気感がたまらない作品でもあります。 設定のわりにやらしくなりすぎていないという点も上手い。 キャラも馴染みやすくテンポも良いラブコメディ。SM要素もありますが、まだまだライトな内容で読みやすいです。絵柄も可愛らしいですし、結構女性にもオススメができr・・・いやどうだろう・・・。いやでも、面白いのは確かです。何度悶えたことか! あと各話のタイトルは曲名から取っているみたいですね。作中でも出た「好きだという気持ちだけで 何も食べなくていいくらい 愛しい顔を見せてくれよ」はくるりの「男の子と女の子」。第一話「初恋クレイジー」はスピッツでしょうか。ファンなのでほんのり嬉しかったり。 それと・・・結構イベント進行のペースが早いんですよね・・・もうおっぱい触っちゃったよ!もっと触りたいけど触れない境界をふわふわしてもじもじして欲しかったのですが・・・いや、まだまだヤることはある!( これからのどこに向かっていくのか・・・どこまで行ってしまうのか・・・2人に目が離せません! 『ココロの飼い方』1巻 ・・・・・・・・・★★★☆ 本当に犬みたいな心にヤラれました・・・!設定と雰囲気の若干のミスマッチ感も良い。