「正直どうでもいい?」

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“あなた”が足りない物語。怒涛の「皆殺し」、完結。 『ひぐらしのなく頃に解 皆殺し編』6巻

来週から学校始まります・・・。

ひぐらしのなく頃に解 皆殺し編 6 (Gファンタジーコミックス)ひぐらしのなく頃に解 皆殺し編 6 (Gファンタジーコミックス)
(2010/08/21)
竜騎士07

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   我こそはオヤシロさまなり 長らく続いているひぐらしコミカライズシリーズも、いよいよここまで来ましたね。 原作第7章「皆殺し編」、この度完結です。 原作もやりましたが、やはりこのシナリオは何度読んでも胸も目頭も熱くなる。 というわけで、当ブログではお久しぶりのひぐらし漫画の感想を。 そういえば皆殺し・祭囃し1巻以来ですね。随分と空いてしまいました・・・。 一応注意。 ひぐらしシリーズ全体通してもトップレベルなネタバレが含まれています。 もう少ないかもですが、この表紙を見て「右の子だれ?」となる人は当然のごとく回れ右さ。


原作ひぐらしはオムニバス形式(例外あり)の全8章構成の作品です。 中でもこの「皆殺し編」は、完結編「祭囃し編」への足がかりというポジションでもあるように 読者を悩ませたであろう謎の多くが次々明かされていく展開。 漫画版では5巻ですでに時報トミーが殺され、大石さんが殺され・・・ キリキリと体のいろんなところが痛みそうな場面からこの6巻がスタートします。 ついにやってきた「予定時刻」。鷹野率いる山狗が梨花・沙都子の家へと突入。 なんとか家を脱出した2人でしたが、殺人武器を手に彼らを追う男たち。 小さな女の子2人が大人数の男たちに殺されそうになる、この不愉快な緊張感・・・! しかし、そんな状況を打ち破ってくれるのは、やはり彼らだ。 20100908222033.jpg 部活メンバー! 鍛え上げられた戦闘術を各々駆使し、その場の山狗部隊を一掃! そして彼らは温かく、頼もしい笑顔を自分に向けてくれた。 山狗と敵対するということは、すなわち命を狙われるということ。 それにも関らず、仲間たちは今そこにいた。 「仲間なんだから当然だ」。彼らの行動原理はそれしかない。 だからこそ、信じた。 これなら、大丈夫。今度こそ大丈夫。彼らと一緒なら、絶対に大丈夫。 運命を打ち破れる。 そう、信じてしまった。 けれどそんな希望は、たった1発の銃弾が打ち砕く。 鷹野が、彼らの前に立ちはだかる。 20100908222040.jpg (クリック拡大) ああ、この絶望感。 なんとかなってくれよ、なんて泣き言を、この物語は許しません。 1つずつ、1つずつ消えていく命。 ご丁寧にも銃弾で頭カチ割られたところもじっくりと描写。ヒュー・・・気分悪ぃ。 しかしこういうところも逃げずにしっかりと見せてたのは、有難いかもしれない。 明確な形で思い知らされます。 負けたんだと。 勝負は決まった・・・残るは最後、梨花の死しかしさらに滾るのはここからですよ! 負けてもなお、梨花は抗うのです。 麻酔無しで自分を殺せと、鷹野に命じてみせるのですよ! それに吃驚しつつも狂喜乱舞な鷹野さん。ニコニコと解剖を始めました。 これは今回の梨花が出来る、最後の勝負なのです。 絶対に忘れないようにするための、最後の意地。 鷹野が犯人であると突き止めたこの記憶を、次回へと繋ぐため―― この痛みを、この悔しさを、魂に刻みこんでやる。 20100908222015.jpg (クリック拡大) 生き生きしすぎです鷹野さん・・・。 今回、恍惚に染まりまくりの鷹野さんがたくさん登場していますので 鷹野さんファンは・・・・・・そういう面でも楽しめるかも・・・?


んでやっとタイトルに書いたことですが。 「皆殺し編」は、最後に一手足りないだけの、本当に惜しい物語なのです。 もう少しで運命は打ち破れたのです。手が届くところまで彼らは行けたのです。 けれど負けた。 なぜか。 “あなた”が、足りなかったんです。 20100908222046.jpg あなたは信じてた? 運命に打ち勝てるって信じてた? この言葉は、いつだって傍観・諦観のままだった羽入に向けられた言葉です。 傷つくことを恐れ、勝負を望まなかった彼女への言葉です。 けれど、なんだかこれ、自分に言われてる気がしてハッとします。 本当に、この「皆殺し編」で全てが解決するなんて思ってなかっただろう? 最初から「今回も誰か死ぬんだろうな」なんて考えただろう? 『次』の完結編にばかり、ハッピーエンドを期待してただろう? 本気でこの皆殺し編の世界を応援したのか? ・・・あー。そうだ、そうだ。 傍観者は、俺たち読者もだったんだ。 圭一は言うのです。 「一緒にずっといたんなら 俺たちはもう仲間だ」 自惚れかもしれない。いや、自惚れに違いない。 けれどこれが「自分」のことだとしたら、どれだけ素敵なことだろう。 勝手な解釈で勝手に盛り上がってれば世話ない感じですが・・・ この物語には“あなた”が必要なのかもしれない。 心からの声援で、本気で幸せを願って、敵に立ち向かう“あなた”が。 いいんですよ、思いこみで。 だってそっちの方が、熱いじゃないですか。


さてこれはあんまり内容と関係ない話ですが、 やっぱりひぐらし漫画を読むBGMは、原作サントラだよね!!ということw 今回で言うと「search and destroy」「嘘」「Birth and death」は外せない・・・! それはやはり、原作をとても大切にしてくれた漫画だからですかね。 ここまでじっくり描いてくれるコミカライズもそうそう無いと思います。 ホント、スクエニのこの企画は成功だったなぁと。 どのシリーズをとっても、それぞれの作家さんの魅力あふれる、それでいて原作愛もしっかりと感じさせてくれる出来。何度も読み返してしまいます。 しかしそれももうすぐ終わり・・・。 残るは『祭囃し編』。寂しいけれど、最後まで楽しませてもらいますよー。(偉そう ではまとめ。 記事を書くあたって、どこまで内容に踏み込むのかは毎回頭を使うところではありますが 今回はかなーりネタバレしてしまって反省・・・。 いやしかし、本当に、何度読んでもこのエピソードはきつい。 けれど、同時にたまらなく大切な、大好きなお話でもあります。 強い絶望と、それでも消えない彼らの信念! 昭和58年夏の戦いは、毎回惨劇が繰り返されるばかりだった。 けれど、初めて勝利の光が、かすかに見えたのです。 いざ、最終章へ。 全ては、『祭囃し編』へ。 『ひぐらしのなく頃に解 皆殺し編』6巻 ・・・・・・・・・★★★★ じっくり6巻も使って描かれた、最後の絶望の物語。やっぱり超面白かった。 ひぐらしのコミカライズシリーズは本当ハズレ無し。