「正直どうでもいい?」

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決着、決着。人間とホムンクルスの生き様に痺れる! 『鋼の錬金術師』26巻

コミケ乙でした。仮免受かりました。路上でひょろひょろ走ってます。 今回ネタバレ凄いので未読の方注意ー。

鋼の錬金術師 26 (ガンガン コミックス)鋼の錬金術師 26 (ガンガン コミックス)
(2010/08/12)
荒川 弘

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   やりごたえのある 良い人生であったよ 集められた5人の人柱を礎に、ついに本格発動された国土練成陣。 それはアメストリス全国民の生命を賢者の石のエネルギーにさせ、神を手にするための儀式。 20100816194007.jpg そして全アメストリス国民の息が途絶えた。 そこに立っていられたのは僅かな人間達と、錬金術師。 真を姿を取り戻し、身に神を宿した「 フラスコの中の小人」。 さぁ、始まるぞ、終わりが。 はてさて、もうラストバトルも大詰めも大詰め! アニメが終わっても原作はまだ終わってない鋼の錬金術師、第26巻です。 なんてったってこの巻はオッサンですよ。そう、ホーエンハイムとブラッドレイ! まずホーエンハイムがカッコよすぎるのです。 賢者の石そのものである彼は、そのエネルギーを使って術を仕えない錬金術師たちを必死にまもるホーエンハイムエドの表情もいいですねー。立ちふさがり自分たちを守ってくれている、強い父の背中を見上げています。 20100816183657.jpg ホーエンハイム 孤独のまま彷徨い、家庭を成し、けれど幸せを背に再び孤独に歩みだした。 一度は途切れてしまった、家族の絆。 全ては自分の罪を償いをするため。そのための人生だった。だからこの戦場にいた。 けれど挫けそうになった、その瞬間ですよ! 20100816194012.jpg 彼を背中を押したのはエドとアル。息子たちです。 「ボンクラ親父だけど・・・いいとこ見せたくなっちまうなぁ!!」 笑顔でそう叫ぶホーエンハイムにこっちも笑顔になってしまうというもの! 闘いの中で進化する人間関係って素敵ですなー。


さてお次はブラッドレイ。憤怒のラース、ホムンクルスです。 彼の生き様もまた、ホムンクルスという存在を語る上で欠かせないものなのでは。 もともと彼は人間であり、色々とイレギュラーな要素を持ち合わせているのですが 彼の思考、行動、信念は強烈に印象に残るのです。 そしてこの巻ではついに彼の退場シーンが描かれてしまうのです。 スカーとの熱戦の末、「運悪く」敗北を喫したブラッドレイ。 ブラッドレイはこれまでにも、予想外の出来事を楽しんでいる節が見受けられました。 そんな彼だけに、このような決着は彼にとっては納得できる、最高に楽しめた闘いだったのではないかなぁと思えたりします。だって、凄く良い表情してんだ、このオッサン。不測の出来事による偶然の結末を、素直に受け入れてる。 そしてやりごたえのある人生だったと零して、ゆっくり目を閉じる・・・。 「憤怒」を司るホムンクルスは、相反して安らかに、そして誇らしげに倒れ伏した。 戦い抜いた、1人の戦士としての死。 その表情に宿るのは、心からの満足感。 ああ、なんだよ、これじゃまるで、人間みたいじゃないか。 20100816183653.jpg さらば、ブラッドレイ。 ちょっと画像チョイスが間違った気もします。 ランファンに語った言葉の意味、そしてランファンに伝えた意味については また誰かが書いてくれると思います(チラッ


さてホムンクルス&家族つながりでセリム・ブラッドレイも。傲慢のプライドです。 彼もまた痺れる最後を迎えております。 彼は非常に従順に「お父様」に付き従うホムンクルスとして活躍をしていましたが この巻ではじんわりと彼のアイデンティティが崩壊していきます。 決定的だったのはエドが放ったこの言葉。 「おまえがオレ達にこんなボロボロにされてんのに お前に一瞥もくれてないんだぞ!」 これに明らかに動揺するセリムには、ホムンクルスの深い部分を覗けた気になりますね。 心のどこかでは見返りを、愛情ややさしさを求めてしまっている。 そして一番は、決定打となる一撃の直前のこのシーン。 20100816183701.jpg (クリック拡大) まさかの再登場を果たしたキンブリーの影響で出来た一瞬の隙。 そこに飛び飛んできたエドを目の当たりにして、思わず死を悟ってしまったのか。 彼が最後に思い浮かべたのは、ホムンクルスの兄弟達でも、お父様でもない。 人間としてのセリムの居場所であった、家族のこと。 そこにブラッドレイ本人も含まれていることが、またなんというか・・・! 彼らは紛れも無く家族であり、彼は家族を愛していた、と。 それを読み取ることができる、切ないワンシーンでしたね。 もちろん小さくなったセリムが小さくつぶやいた2文字にも、胸が熱いのです。 そんな鋼の錬金術師26巻でした。 最終第27巻は11月発売。 もはや何も言いません。黙って最後まで付いていくだけです。 1期アニメから原作入りして、もう7年ほど・・・・・・大好きな作品が終わるのは悲しいことですが やはり愛するからこそ、行き着く果てを最大限味わいたいというか。 アニメも好評なまま終わりましたが、原作はどうなるでしょうね。 楽しみすぎる最終巻まで、ドキドキが鳴り止みそうにありません。 『鋼の錬金術師』26巻 ・・・・・・・・・★★★★ いよいよ次でラスト。こんな面白い漫画終わっちゃっていいのかよ。いいんだよ。 全て紡ぎ終わる瞬間まで、この作品は気が抜けません。